全ての人に音楽を ~音楽のお見舞い~
音楽のお見舞い
音楽が体にいい影響を与えるということは最近どんどん立証されています。
ザルツブルグ大学医学部付属病院では様々な試みを始めており、3000床ある入院患者さんにいつでも音楽を聴かせたところ痛み止めの処方が減ってきた、との報告があります。
ご病気の方こそいい音楽を聞いていただきたいと思うのですが、なかなかコンサートに行かれません。
又病状によっては音楽家が病室に入れないこともあります。
そこでスマホひとつあればいつでもどこでも聴く事ができるYouTubeコンサートを思いつきました。
コンサートの様子を録画しYouTubeに貼っておき、病院のベッドからでも好きな時好きなだけ体力に合わせて音楽を楽しむことができます。
曲目もリラックスできて前向きになりやすく、体の活性化にもつながると科学的にもデータが上がっているものを選びました。
このコンサートの公開録画を添付のチラシのように8月31日(土)に行います。当初9月2日を予定しておりましたが、企画段階で貸し切りのお申し込みをいただき、このたび追加公演を行うことにいたしました。
どなたでも無料でご入場いただけます。
皆様のお越しをお待ち致します。
ご予約をお願いいたします studio-to2@nifty.com
新しい伝統
今年も常に美しい音楽、そして新しい物の発見にかけて行きたいと思っております。
ヨーロッパの各地を廻って様々な地、様々な音楽祭で演奏させていただいて、各国の演奏スタイル、新しい演出に触れていると伝統を大切にするヨーロッパの中でも大きな変化が出てきているのだなあと驚くことがあります。
ヨーロッパの音楽祭は伝統と新しいものがまざってそれについて批評が飛び交います。
例えばザルツブルグの音楽祭なども、ここは年にいくつもの音楽祭(有名な夏の音楽祭の他にイースター音楽祭、モーツアルトの誕生日の音楽祭、聖霊降臨祭音楽祭等があるのですが、例えばイースター音楽祭などもカラヤン・ベルリンフィルのころとはずいぶん違う演目、演出が目立ちます。
シーズン中に必ずレクイエムはプログラムに加わるのですが前回は何と馬が登場する演出だったです。
ウィーンフィルの友達から噂を聞いて行ってみたのですが、なんと舞台の中央は全部馬場なのです。
前列のいい席をいただく事が出来たのですが、馬が走ると砂ほこりが座席を襲い馬のにおいもしてきます。
馬に乗ったバレリーナが美しいポーズで馬場を周るのですが・・・
それでもウィーンフィルの格調高いモーツァルトは新しい美を描いていたと思います。
この演出について賛否両論の意見が今宵飛び交うのだろうなあ、と思いました。
ベートーヴェン、ショパン、ラベル、バッハも恐れを知らず新しいものにチャレンジを重ねています。
伝統を崩さず新しい解釈、私も積極的に挑戦したいです。
私は今年、先ずブラームス「雨の歌」でそれを考えています。
2月2日渋谷のL'atelier で演奏します。サロンコンサートなので演奏終了後すぐお客様と意見を交わすことができるので楽しみです。
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2月2日(土)17:00 L'atelier 03-6427-1088
渋谷区東1-26-30 イーストビル
03-3399-0184
090-3573-6280
ワイン付き 5,000円
(12歳以下のお子様はご遠慮いただいております)
ストラディヴァリウスはどんな音?
ヴァイオリンのお好きな方はストラディヴァリウスの音をぜひお楽しみいただきたいです。
ストラディヴァリウス 「ドラゴネッティ」 1700年作
ストラディヴァリウスは90歳を超すまで生涯名器を作り続けた大天才です。
どんな音かというと口で説明は難しいですが「別世界に誘う音」という印象です。
長い生涯ですので時代によって音色もずいぶん違ってきます。
私もヨーロッパの大きなコンサートの時などは使わせていただいております。
ボンフィルハーモニーのドイツツアーの時に使わせていただいたストラデ「ドラゴネッティー」は1700年56歳の時の作でです。
私が使う少し前までフランク・ペーター・ツィンマーマンが使っていました。
ヴァイオリンの裏側にドラゴンのような模様があるとか、ドラゴネッティという人が所有していたというのがこの名前の由来だそうです。
初めて手にし、音を出してみたときから「私に対する誘い」のようなものが感じられました。
やってみたいことが続々と出てきて、それに弓が追いつくのが大変という印象でした。
深い世界が初めて見える瞬間でもあったように記憶しています。
ヴァイオリンは時がたつと材料の木が枯れて来て繊維が絡みつくからいい音になる、ともニスの作り方に秘密があるともいわれていますがいずれもなぞのようです。
オーケストラと合わせた時、オーケストラのボリュームが高いので気になったのですが、客席から母が聞いてくれて「ストラデの音だけ透かし彫りの中を泳ぐはっきりした一筋のもののように聞こえる、だから細かいニュアンスも決しておろそかにするな」と怒られた記憶があります。
それから防音室の中で弾いていても扉を破って外に音が漏れやすい、ということもあります。
人によって違いはあると思いますが私にとって演奏中に過度に燃えやすくなるという傾向があります。
メンデルスゾーンを弾いた時、2楽章がすごくうまく行って最後のパッセージが体中に止めようのない熱いものになってしまいました。(多分ヴィブラートも多すぎ)とその時指揮者バイセルが振ったテンポが恐ろしく速いテンポだったのです。
客席にいた母がこのテンポ大丈夫かなあ、と冷や汗が出たそうです。
結果的には最高に燃えたメンデルスゾーン! と高い評価をいただきました。
燃えるって素敵なことですね!
楽器によって、又共演者によって、そしてその日のお客様の作ってくださる空気によって演奏家は一度しかない演奏をしています。
ぜひ別世界にごいっしょしましょう!
名器の数々を生んだイタリアの クレモナ