出張撮影専門 スタジオたいとう です。
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さて、本日はまたまた アートビュー4×5 のはなし。
これで3回目です。
初回
https://ameblo.jp/studio-taito/entry-12572976643.html
2回目
https://ameblo.jp/studio-taito/entry-12573386831.html
写真工業1959年9月号に国産ビューカメラの特集があり、トヨビューとアートビューが紹介されていました。
他の機種はなく、この時点で日本製4×5判ビューカメラは2機種だけだったようです。
北野邦雄氏はなかなか国産の4×5判ビューカメラが現れなかったことを嘆きつつ“昨年あたりから東京の富山製作所と大阪の酒井特殊カメラ製作所の両社が4×5判ビューカメラに乗り出してきて、アートビューとトヨビューのカメラを発表し、既にアートビューは三百名以上のカメラマンに使用されているとのことである。但しいずれもカメラだけであって、レンズ会社、シャッター会社は沈黙を守っているのは困ったことである”と、カメラ登場後も相応しいレンズが製品化されていないことを指摘していました。
なお、北野氏は両機を端的に“アートビューもトヨビューもグラフレックスのバック、したがってその取枠類がそのまま利用出来るものであるが、それ以外ではアートビューが独自の構造設計であり、トヨビューは主としてグラフィック・ビューⅡ型をコピイしている”と紹介しています。
「アートビューカメラを使って」と題した八木治氏の記事では書き出しに“アートビューカメラは、一昨年の試作第一号から使っていますが”とあり、ここから最初の試作機が1957年に存在していたことがわかります。
富山製作所のウェブサイト内「弊社製品のあゆみ」にも“1957年 アートビューカメラ 日本初の全金属製4×5ビューカメラ”と記載されており、1957年に誕生したと考えて良さそうです。
製作者ご本人、富山製作所の富山長男氏も寄稿しており、タイトルは「アートビュー4×5の設計」。
※以下の引用は富山氏の文章です。
レールについて“各国ともいろいろの型の一本レールを使用していますが、アートビューでは、日本の材料を考慮して二本レールとし、長焦点レンズを使用することも併せて考え、継足式としました”。
“蛇腹も同様に、何個でも継ぎたして使用出来るようにし、標準蛇腹はワイドレンズを使用してもアオリの可能の寸法で決定しました。そのためアートビューの標準蛇腹は、他のビューカメラより幾分短かくなっております”。
アートビューが4×5のビューカメラとしては小ぶりな印象を受けるのは、レールや蛇腹を継ぎ足すことを前提に設計されたためかもしれません。
富山氏によると当時はアートビューに適した国産三脚がなく、カメラにあわせて三脚まで試作したそうです。スリックから適当な製品が発売されたため試作で終わったものの、これが後に全国の写真館で活躍しているアートスタンドの原点かと思うと非常に興味深い出来事だと思います。
ちなみに、アートビューは台座の部分が左右に傾けられるようになっていますが、これは“スリック三脚には無い左右傾斜装置を”カメラ側に加えた結果でした。
仕様の表も一部抜粋します。
1、寸法
高さ24 巾21 厚17センチ (最小)
重量4キログラム
2、アオリ(前部)
上下アオリ 上11.5cm 下2.2cm
左右振りアオリ 30度
前後振りアオリ 30度
左右スライド 4センチ
アオリ(後部)
左右振りアオリ 30度
前後振りアオリ 30度
左右スライド 4センチ
3、バック
レボ式 着脱式集光レンズ型ピントグラス
4×5判用取枠パックホルダー及びロールホルダー仕様可能(リンホーフ・スピグラ型共用)
引伸器光源取付可能
仕様表の一部引用終わり。
以上です。
これでおそらくこのブログが最も詳しくアートビュー4×5について日本語で書かれたウェブサイトになったはず。
ただの趣味で調べて書いただけでスタジオたいとうは富山製作所とは無関係です。
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