東海道線の通勤特急、特急湘南12号に乗る | 余計なコトは書かなくていいだよ!

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雨が降る中、東海道線小田原駅から品川駅へ特急湘南12号に乗ってみよう。小田原と言えば東海道新幹線を使えば品川まで26分と30分すら掛からない。それに対してこの列車は同区間を64分で走っている。速達性で比較すると話にならないが、料金面だと新幹線自由席は1,760円で特急湘南はチケットレス特急券で920円。30分遅くても840円浮くなら敢えて在来線特急という選択肢もあるだろう。

 

 

特急湘南12号は小田原駅5番線から8:02に出発。2024年3月のダイヤ改正から4番線だったところこちらへ番線が移った。また14号が平塚始発へと短縮されて小田原を出る特急湘南の最終便はこの12号となる。改札を抜けてホームに降り立つと列車は既に到着していたものの、ドアは開いておらず運転士も先頭の14号車に着いていなかった。7:57にドアが開き客扱いを始め運転士が先頭車に来てスイッチ整備を行ったのが8:00。結構余裕の無い折り返し作業だった。

 

 

車内はJR東日本で一時期積極的に取り入れた座面スライド機構付きのリクライニングシート。シートピッチは普通列車グリーン車より若干狭い960mmだが10mmの差では全く気にならないだろう。周りを見渡せば着席状況を示す頭上のランプが自分の座る席以外、全て赤か黄色の表示となっていた。やっぱり小田原だと有料着席列車で通勤と言えば新幹線であり、特急湘南のメインターゲットは平塚以東のサラリーマンなのが現実だ。

 

 

8:02に特急湘南12号は小田原を発車。空気を運ぶ状態なんだしJR東日本としてもわざわざ国府津車両センターから小田原まで列車を送り込み、何度も折り返し作業をさせたくはないかもしれない。旅客線を快走する12号だと平塚までノンストップ。二宮~大磯間で車掌が座席のチェックをするため巡回してきた。ガラガラとは言え14両分歩いて戻って行くのは面倒に違いない。20分弱停まらないから長編成でも余裕なのだろう。平塚に到着するとまず1名が乗車し、茅ヶ崎で2名、辻堂が6名で藤沢が8名と湘南エリアへ入ると瞬く間に座席は埋まっていった。

 

 

最後の乗車駅、大船で6名が乗り込むと14号車は窓側が全て埋まり通路側もちらほら座っている乗客も。辻堂からだと品川なら50km圏内で特急料金をチケットレス価格で660円に抑えることができ恩恵は大きくなるだろう。列車名の通りで湘南の通勤客をターゲットにしているのは間違いない。大船~品川間は30分間ノンストップだ。同じ着席手段でも普通列車グリーン車は戸塚、横浜、川崎にも停まるし藤沢付近で満席になることが定番である。そう考えると比較的空いていて窓側ならコンセントが使えてチケットレス特急券で少し安い特急湘南の方が魅力的だ。しかし、あくまで通勤特急の役割で日中は走らないし特急踊り子も本数が少ない。もしかしたら特急湘南も将来は平塚~小田原間の運転を更に減らすかもしれない。

 

 

神奈川県において圧倒的な乗降客数を誇る横浜を気持ち良いスピードで通過し、京急と併走しながら都内へ。京急もまた三浦半島から横浜をパスして品川を目指す着席有料列車となるモーニング・ウイング号を走らせている。朝だと3本しか走らないけどWing Ticketは一律300円と安いし予約状況を見ると前々日から「×」マークが付いて概ね好調だ。JR東日本だと着席有料列車が軒並み特急化されて京急の3倍近い料金を奪っているにも関わらず、乗車率は悪くなく「多少高くしても人間楽したければ金を出せるんだな」と思わせる。

 

 

目的地の品川で特急湘南を見送り、改札へと足を運ぶ。その間にも途中抜き去った後続の列車が次々とホームに滑り込んで大量の人間が階段に吸い寄せられていく。通勤電車は座れたらある程度自分のスペースを確保できるが、立つとなったら押し合いへし合いで駅へ着く度に神経を尖らせる。辻堂や藤沢なんか座るのもほぼ不可能だしグリーン車を含めて1,000円近く別料金が発生しても惜しまない通勤客は多いだろう。それがビジネスとして成立してライナー、そして特急へとステップアップしている。不安視されている中央線グリーン車も朝夕は間違いなく席が埋まるはずだし、私鉄も積極的に有料着席サービスが拡大し続けている。通勤ライナーのパイオニア的存在の湘南ライナーを引き継ぐ特急湘南も正直ボッタクリと言わざるを得ないけど、一応成功の部類に入っているのだろう。