バードウォッチングをしていると、鳥が全然見られない日が必ずありますよね。バードウォッチングで野鳥が見られないことを「坊主」といいます。「今日は○○に行ったけど坊主だった・・」という感じです。
この坊主という言葉。もともとは釣り用語らしいです。魚が釣れないときに坊主、一匹も釣れないときは丸坊主ともいうそうです。坊主というようになった語源には諸説あるそうで、お坊さんの頭には毛が1本も生えていないから「もう毛がない。」つまり「儲けがない。」からきている、という語呂合わせのような説もあります。また、百人一首で「坊主めくり」をして遊ぶ時にも、坊主が出ると持ち札を全部返してゼロになるので、そこから来ているという説もあるそうです。いずれにしてもお坊さんの頭に関係していそうですよね(笑)
何故いきなり坊主の話をしているかというと、本日の私のバードウォッチングが完全に坊主だったからです。朝5時に起きて交代で2時間半以上運転して京都の北部の海岸に行ったものの、シギ・チドリはおろか海鳥も見られず、農耕地に移動するもシギ・チドリの気配すらありませんでした。仕方なしに但馬のコウノトリの郷公園でコウノトリだけ見て帰ってきた次第です。
バードウォッチングで何度も坊主を経験していますが、坊主になる要因はいくつかに分けられると思います。
1.時期・タイミングが適していない
バードウォッチングで出会えて嬉しい鳥と言えば季節の渡り鳥ですよね。鳥たちは体内にカレンダーがあるのか、驚くほど正確に毎年渡ってきます。例えば関西で見られる春の渡りのコマドリは4月の1週目には鳴き声も聞こえないのに、2週目に入ると途端にあちこちから目撃情報が出て来ます。年によって多少の誤差はあるものの、ほぼ週単位(4月の○週目というように)で渡ってきます。そのため、特に週末しかバードウォッチングの時間がとれないバーダーたちは、1週間ずれると大きく当たりが外れることがあります。私もよく、「先週まではいたのに」や「昨日まではいたのに」と言われることがあり、このタイミングを計るのは相当の経験が必要かと思われます。
2.天気が適していない
バードウォッチングは基本的に屋外で行う活動なので、天気も重要になってきます。土砂降りの中カメラを構える勇者もいますが、基本的には雨の時には出かけない方が多いのではないでしょうか。(機材が心配ですしねぇ・・)
雨と同じくらい厄介なのが強風です。実は今日の探鳥では、目的地の海岸についた途端に冷たい強風が吹き荒れ、鳥を探すのもそこそこに車に避難した一幕もありました。鳥は風を利用して飛ぶ生き物ですし、体も軽いので、風が強い日には目立たない場所でじっとしていることが多いようです。強風の日は探す方も大変で、鳥の方も見えないことが多いので観察には適していないと考えられます。
※例外として、海鳥の中には普段は沖で活動していて、海が荒れるときに陸寄りに移動するものもいるそうです。
3.環境が適していない
初めての場所にバードウォッチングに行くこともありますよね。そんな時、現地に着くと自分が想像していた環境と大きく異なりショックを受けることがあります。実は今日行った農耕地にも水田がたくさんあると思ったのですが、行ってみると水を張った田んぼが全く無く、シギ・チドリを探しに行ったのにがっかりしてしまいました。確かに数年前の情報ではシギ・チドリがいたそうなので、ここ数年で農作物が変わったり農業を辞めてしまう人がいたりして環境が変わったのでしょう。このように、情報を頼りに現地に行ってみても想像と違っていることもよくあるため、これは自分の目で確かめた貴重な最新情報と考えるしかありません。
もう一つショックを受けがちなのは、現地に行くと思ったより観光客が多かったり、釣り人の車で駐車場がいっぱいで停められない、というパターンです。こちらも行ってみないと分からないですし仕方ないのですが、悔しい気持ちになります。
坊主の時は物足りない気持ちになり勝ちです。特に交通費を時間をかけて遠征したときには。そんな時には何かほかに楽しいことをして気を紛らわせましょう。美味しいものを食べたり、綺麗な風景を楽しんだり、虫好きな人は昆虫観察に切り替えるのもありですね。かくいう私も気持ちの切り替えが苦手で、落ち込んでしまいます。今回の坊主は天気のリサーチ不足もあるので、反省も生かしてリベンジしたいと思います。