今回は、TSの踊り子・時咲さくらさんの、シアター上野でのH28年9月結の公演模様を「ストリップは浮世絵的美人画」と題して語ります。

 

 

 

今週のシアター上野公演では、和物二個出し。1.3回目に「戦う絵夢子」と2.4回目の「お葉」の二作品を演じている。

それぞれを紹介するが、長くなるのでレポートを二つに分けたい。

ここでは演目「戦う絵夢子(えむこ)」を披露する。

「2016お正月inミカド。初めての和物!! 和傘を使ってみましたー。」

私は2015の周年のときに「ストリップは心のふるさと」と題して、周年作「田舎のセレブおときさん」の話を書いた。「麦畑」♪で始まる「田舎のセレブおときさん」のイメージが強く残っていて、最初、おときさんのノリで和物を演じていると感じた。だから、本格的な日本舞踊というより、おときさん風にコミカルに演じてくると予想していた。

最初の出だしは、案の定、アニメの帝国華撃団(セガのコンピューターゲームの「さくら大戦」シリーズ)の主人公が着るピンクの着物姿。しっとりした大人の着物ではなく、華やかな少女の着物。楽しく主題歌にのって踊る。ちなみに、帝国華撃団の主人公の一人に真宮寺さくらがいる。彼女は、正義感があり、純真で周りへの気配りもできる女性。生まれが東北の仙台。彼女がおときさんのイメージなのかな。

二曲目からは、着物を脱いで、軽装へ。ブラとスカートのセパレートな赤い衣装。更に赤い腕輪をして軽快に踊る。

和物とは言え、しっとり系ではなくコミカル系でまとめているのかと思って観ていた。

ところが、ラストに、傘を使っての、しっとりと着物姿を演じているシーンが「一幅の絵」になっている。青の強い紫色の花柄襦袢を着て、赤の和傘をさして、ゆっくり舞う。

「2曲目の赤い衣装はユイリー姐さん、1.3曲目は鮎原かおり姐さんのです!!」そう言われると、確かに記憶にある。

 

 ラストの着物姿は、浮世絵の美人画のように見えた。やはり、日本女性には着物がよく似合う。これが日本文化のもつ極致なのだと感ずる。それを絵画という芸術に高めたのが浮世絵の美人画である。そして、浮世絵の美人画も‘艶’がポイント。

 おときさんが和物に艶を求めているように、ストリップは女性の艶を出すものと考えれば、浮世絵もストリップも同じ根源に通じる。

 今回のレポートの題名を「ストリップは浮世絵的美人画」として、次のレポートで話す演目「お葉」につなげたい。

 

 

  おときさんが演目「戦う絵夢子」を解説してくれた。「戦う絵夢子はオリジナルストーリーです。」ご要望に応えて、おときさんの解説を私流の物語にしてみたよ。艶っぽく書いてみたつもり。どうかな。

 

 ある国に、将来を誓い合った恋人がいた。

 平和だったその国に悪の王国が魔の手を伸ばしてきた。男たちは国を守るために立ち上がったが、戦いに負けてしまった。

 絵夢子は捕虜になった彼氏を取り戻すために、特殊訓練を受けて、悪の王国に侵入した。ところが、悪の王国の兵隊に捕まり、悪の王様の前に引き出された。王様は絵夢子の美しさに驚いた。そして、彼女を性の奴隷にすることにした。

 絵夢子は、殺されなければ機を見て彼氏を救い出せると考え、王様のなすがままに従った。心さえ許さなければと、揺るがない自信があった。ところが、これまで沢山の女性を相手にしてきた王様は、女性の身体の全てを知り尽くしていた。

「えっ!? そんなところを愛撫するの!? そこダメ・・感じちゃう。我慢できない・・」

 絵夢子は王様の軽やかな指使い、優しい口づけ、激しい息遣いに身体が敏感に反応し出した。とろけるような快楽の海を彷徨った。

 王様は絵夢子のM性を嗅ぎ取り、次々と新しい性の喜びを教え込んでいくのであった。

 絵夢子は、彼氏を救い出したいという気持ちは残っていたものの、王様の性の奴隷としての喜びから抜けられなくなっていた。                

  おしまい

 

 

 最後に、おまけで童話をひとつプレゼントするね。

 帝国華撃団については、私はアニメの知識が全くなかった。そのため勝手に宝塚歌劇団をイメージして観ていたほど(笑)。

 ネットで調べてみたら、次のように説明されていた。「ふだんは大帝国劇場の『帝国歌劇団』として活動し、有事には秘密防衛組織『帝国華撃団』として帝都東京を守るべく戦う。」

面白かったので、言葉をもじって『TS華撃団』という童話を創ってみたよ。(笑)

 

 

平成28年9月                         シアター上野にて