今回は、TSの踊り子・時咲さくらさんの、シアター上野でのH28年9月結の公演模様を「ストリップは浮世絵的美人画」と題して語ります。

 

 

 H28年9月結のシアター上野は開館記念興行としていいメンバーが揃った。

今週の香盤は次の通り。①俐菜(TS)、②RIKA(蕨ミニ)、③春野いちじく(TS)、④石原さゆみ(道劇)、⑤時咲さくら(TS)〔敬称略〕。

いま人気絶頂の若手の踊り子である、石原さゆみさんと春野いちじくさんを揃えただけで本興行は成功したも同然。初日から大入りが続いた。

仲良くしているRIKAさんとも1年8か月ぶりになる。RIKAファンの方とよく大阪で呑んでRIKAさんの話をしているのであまり久しぶり感はない。ちなみにRIKAさんの周年グッズに書いてある「大人のリカちゃん人形」という用語は私が名付け親。以前、RIKAさんのレポート&童話をプレゼントしてから、RIKAさんは私のことを「先生」と呼んでくれる。照れちゃう。「大人のリカちゃん人形」が益々大人っぽくなったね。

そんな中、私にとって、今週のハイライトは時咲さくらさん(以下、愛称の「おときさん」と呼ばせてもらいます)。三ヶ月前の6月中に大阪晃生で久しぶりに会って、彼女の和物に感激。実に八ヶ月ぶりになり、しばらく会っていないうちに全く違ったおときさんに変貌したステージになっていて驚いた。着物姿を褒めたら喜んでくれた。「着物演目観てくれてめっちゃ嬉しいです。」「私は大正ロマンが好き!!! かわいい着物が多いです。当時の女性っておしゃれさんばかりですね。」このときに、今度、おときさんのレポートを書こう!と心に決めていた。7月中のTSでもたくさんステージを拝見し、そして今回のシアター上野で機は熟した。

 

今週のシアター上野公演では、和物を二個出し。

なんと、おときさんは今年に入って和物を四つも作っている。「2016年は艶っぽく・・・そして和への挑戦おときさんです♡ 今年は4演目、和をつくりましたー♡」とのコメントに驚き。わわわわ・・ってな感じ(親父ギャグ↓ 失礼)

おときさんは今年3月頭に四周年を迎えている。「四周年そして五年目のおときさん宜しくね。」デビューから応援しているが、もう四年半経つ。中々おときさん後の後輩が育たず、デビューから三年位いつも一番下という新人扱いが続きかなり苦労したと思う。その分、たくましく成長してくれて、今やTSの中核メンバーに定着してきている。今週もそうだがトリをはるのに相応しい貫禄を見せている。

 

最近、私は「ステージの重み」について考えている。

ひとつの公演の目玉というのがあって、大抵それはトリが務める。では、トリをはるに相応しい風格とは何だろう?

よくギャラの高い人をトリにもっていくケースが多い。真新しい新人ではあるが、有名AV女優であれば人気も高く集客が期待できる。この場合、「知名度」「ギャラ」の高さが重みとなっている。なんで踊れない私なんかがトリなの!?と不満をこぼす新人さんをたまに見かけるがギャラが高いのだから文句は言えない。

まあ、一般の興行では、各劇場の看板をはっている方々をトリにもっていくケースが多い。ステージを観ていて客が納得する。だから、本公演が成功するかどうかはトリにかかっていると言われる。ホント、トリって責任が大きいと思う。ギャラが高くないとやってられないよね(笑)。

トリをはれる方は、さすがと思える「ステージの重み」がある。

いくら客を呼べると言っても「かわいさ」や「若さ」だけであれば軽すぎて、客が納得できる重みが無い。「かわいさ」や「若さ」だけだと一時的にはいいかもしれないが人気は長続きしない。

では、どうしたら「ステージの重み」をつけれるのか。それは人によって違う。ある人は踊りを極めようとするだろう。ある人は他の人がなかなかできない空中ショーをやる。また、ある人は若さが無くなる分を年齢とともに艶を高めようとする。その延長に‘和’がある。

五年目を迎えたおときさんはまさに‘和’を追求し出した。日本女性の美しさは着物によって映える。これは絶対である。そして年齢とともに内面の美しさが高まると、立ち振る舞いによって着物の美しさも成長する。踊り子を長くやるには和の領域に入っていくのは間違いない選択である。

蛇足ながら言うと、日本は倭の国と呼ばれる。倭⇒和を尊ぶ国。ある踊り子さんがしみじみとコメントしてくれた。「いつもこの仕事してて思うのは、和が大切っていうこと。楽屋もみんなが和を大切にすれば何でもうまくいく。」新人さんの中には、この和の大切さが分かってない方もいるようだが、長く新人時代を経験したおときさんは和の大切さをとてもよく理解している。彼女こそ、踊り子の大切な伝統(マナー)を後輩に継承していける人材なのだと感じている。

 

今週のシアター上野公演では、和物二個出し。1.3回目に「戦う絵夢子」と2.4回目の「お葉」の二作品を演じている。

それぞれを紹介するが、長くなるのでレポートを二つに分けたい。

ここでは演目「戦う絵夢子(えむこ)」を披露する。

「2016お正月inミカド。初めての和物!! 和傘を使ってみましたー。」

私は2015の周年のときに「ストリップは心のふるさと」と題して、周年作「田舎のセレブおときさん」の話を書いた。「麦畑」♪で始まる「田舎のセレブおときさん」のイメージが強く残っていて、最初、おときさんのノリで和物を演じていると感じた。だから、本格的な日本舞踊というより、おときさん風にコミカルに演じてくると予想していた。

最初の出だしは、案の定、アニメの帝国華撃団(セガのコンピューターゲームの「さくら大戦」シリーズ)の主人公が着るピンクの着物姿。しっとりした大人の着物ではなく、華やかな少女の着物。楽しく主題歌にのって踊る。ちなみに、帝国華撃団の主人公の一人に真宮寺さくらがいる。彼女は、正義感があり、純真で周りへの気配りもできる女性。生まれが東北の仙台。彼女がおときさんのイメージなのかな。

二曲目からは、着物を脱いで、軽装へ。ブラとスカートのセパレートな赤い衣装。更に赤い腕輪をして軽快に踊る。

和物とは言え、しっとり系ではなくコミカル系でまとめているのかと思って観ていた。

ところが、ラストに、傘を使っての、しっとりと着物姿を演じているシーンが「一幅の絵」になっている。青の強い紫色の花柄襦袢を着て、赤の和傘をさして、ゆっくり舞う。

「2曲目の赤い衣装はユイリー姐さん、1.3曲目は鮎原かおり姐さんのです!!」そう言われると、確かに記憶にある。

 

 ラストの着物姿は、浮世絵の美人画のように見えた。やはり、日本女性には着物がよく似合う。これが日本文化のもつ極致なのだと感ずる。それを絵画という芸術に高めたのが浮世絵の美人画である。そして、浮世絵の美人画も‘艶’がポイント。

 おときさんが和物に艶を求めているように、ストリップは女性の艶を出すものと考えれば、浮世絵もストリップも同じ根源に通じる。

 今回のレポートの題名を「ストリップは浮世絵的美人画」として、次のレポートで話す演目「お葉」につなげたい。

 

 

  おときさんが演目「戦う絵夢子」を解説してくれた。「戦う絵夢子はオリジナルストーリーです。」ご要望に応えて、おときさんの解説を私流の物語にしてみたよ。艶っぽく書いてみたつもり。どうかな。

 

 ある国に、将来を誓い合った恋人がいた。

 平和だったその国に悪の王国が魔の手を伸ばしてきた。男たちは国を守るために立ち上がったが、戦いに負けてしまった。

 絵夢子は捕虜になった彼氏を取り戻すために、特殊訓練を受けて、悪の王国に侵入した。ところが、悪の王国の兵隊に捕まり、悪の王様の前に引き出された。王様は絵夢子の美しさに驚いた。そして、彼女を性の奴隷にすることにした。

 絵夢子は、殺されなければ機を見て彼氏を救い出せると考え、王様のなすがままに従った。心さえ許さなければと、揺るがない自信があった。ところが、これまで沢山の女性を相手にしてきた王様は、女性の身体の全てを知り尽くしていた。

「えっ!? そんなところを愛撫するの!? そこダメ・・感じちゃう。我慢できない・・」

 絵夢子は王様の軽やかな指使い、優しい口づけ、激しい息遣いに身体が敏感に反応し出した。とろけるような快楽の海を彷徨った。

 王様は絵夢子のM性を嗅ぎ取り、次々と新しい性の喜びを教え込んでいくのであった。

 絵夢子は、彼氏を救い出したいという気持ちは残っていたものの、王様の性の奴隷としての喜びから抜けられなくなっていた。                

  おしまい

 

 

 最後に、おまけで童話をひとつプレゼントするね。

 帝国華撃団については、私はアニメの知識が全くなかった。そのため勝手に宝塚歌劇団をイメージして観ていたほど(笑)。

 ネットで調べてみたら、次のように説明されていた。「ふだんは大帝国劇場の『帝国歌劇団』として活動し、有事には秘密防衛組織『帝国華撃団』として帝都東京を守るべく戦う。」

面白かったので、言葉をもじって『TS華撃団』という童話を創ってみたよ。(笑)

 

 

平成28年9月                         シアター上野にて

 

 

【おときさんからのコメント嬉しいよー♪】

・戦う絵夢子のレポート、ありがとうございます。お葉のも楽しみになってきましたー。太郎さんの言葉、表現、圧倒されています。

・太郎さんの物語『戦う絵夢子』、最高です!! すごーく艶っぽくて私好みの物語、ストーリーです♡ 王様エロいですね(笑) 絵夢子は幸せそうです!!

・『TS華撃団』TSの緒姐さんがたくさん出てるお話し、素敵でした。TSには素敵な踊り子さんがたくさんですね。幸せです。

 

 

 

TS華撃団 

~時咲さくらさん(TS所属)の演目「戦う絵夢子」を記念して~

 

 新宿にTSミュージックというストリップ劇場があった。

 その中に、踊り子さんの派閥争いがあり、花組、桃組などに別れていた。

 また、その組の中でもトップを争う激しい攻防があった。例えば、花組のトップスターと言えば、さくらさんと時咲さくらさん。この二人が「自分の花びらが一番キレイだ」と争っていた。この対決は「TSのサクラ大戦」と呼ばれていた。

 それに対して、桃組のトップスターである山口桃華さんが「踊り子の魅力はお尻よ」と至上最強といわれるお尻をフリフリさせていた。

 一方、乳組というのもあった。そこのトップスターであるきよ葉さんと宮野ゆかなさんが、「女の武器はまだあるわよー」と言って、大きなおっぱいをプリンプリンさせた。乳組には絶対的巨乳の雛形ひろ子さんもいた。

 それぞれの組が激しく自己主張していた。

そんな折、新人の春野いちじくさんが入ってきた。彼女をどこの組が奪うか!?

肝心のいちじくさんに希望を聞いたところ、桃組がいいとのこと。やっぱり、いちじくはお尻と相性がいいんだね。(笑)

 

 そんなこんなと派閥争いが絶えなかったが、実際のところ、他の劇場にも魅力的な踊り子さんがいて、TS内部だけで内輪もめしている場合ではなかった。

 TSの中で優勢に立っていた桃組も、他の劇場の桃組とお客の争奪戦を行っていた。

 新宿のももか!? 渋谷のももか!? 

渋谷でも新人の平野ももかさんがデビューした! 彼女のお尻も侮れない。

 ちなみに、TSの中で無所属の中谷ののかさんが、「ももか・ももかと言うなら、ののかもヨロシクね!」と一人気勢を上げていた。

 そうそう、花組といえば、渋谷に花咲はなさんという美しい花びらをもつ新人もデビューし注目されていた。

 

ストリップ業界の環境はかなり厳しく、実はTS自体も閉館騒動が起こっていた。

TSのメンバーは一致団結して、この厳しい状況を乗り切ろうと考えた。そこで組織されたのが「TS華撃団」であった。先ほど挙げたメンバーの他にも、今やTSの中核であるKAERAさん、元スケバン(?)の貫禄・三枝美憂さん、その美憂さんに誘われて元ヤンキーの咲さん・愛さんも参戦。他にも、売出し中のいちるさん、演技派の鏡乃有栖さん、永遠のロリ系うさぴょんこと葵うさぎさん、のほほんアイドル山咲みみさん、TSの誇る美人の俐菜さん、早く戻っておいで小森ななさん、辞めないで!AVの館花あやみさん、森かんなさん、忘れちゃいけない雪咲ほのかさん、先島ひよりさん、安斉みなさん等々。

 彼女たちは普段は踊り子として出演しているが、有事のときは「TS華撃団」として活躍した。

                                    おしまい