TS所属の春野いちじくさんの新作「いちじく太郎」について語ります。

 

 

 

 そんな彼女の今週の出し物は、定番の演目「砂の城」と先週の大和で初出ししたばかりの新作。既に、いちじくファンから桃太郎をモチーフにした演目と聞いていた。童話好きの私は前評判のいい新作を楽しみにしていた。

 さっそく内容を紹介しよう。

 いちじくさんが桃太郎の格好、紋付きの裃(かみしも)姿で登場。明緑色の肩衣と黒い袴。白足袋を履いている。

 長い髪を垂らし、後ろを白いリボンで結んでいる。

「水曜日のカンパネラ」のCDアルバム「私を鬼が島に連れてって」から代表曲「桃太郎」が流れる。この歌詞が最高に面白い。お客が歌詞を聞いて喜んでいる。

 次に、坂本慎太郎の曲「鬼退治」が流れる。この歌詞も面白い。この歌詞に合わせて、犬と猿とキジのぬいぐるみが登場。キジはふくろうのぬいぐるみを使っている(?)。小さなおもちゃの車に乗せて、車を紐で引っ張る。まさに、桃太郎が子分を連れて鬼退治に出かける。

 次に、鬼の格好で登場。頭に黒い角を二本。胸元を白い包帯で巻く。その下には青いひも状のブラ。下半身は、赤と黒の斑模様の布を腰に巻く。

 黒い日本刀を振り回す。金棒の代わりか!?

  最後に、青いマントを持ってベッドショーへ。

3曲目は逆鱗の「FISH STORY」、ラスト4曲は椎名林檎の「NIPPON」。

 

いちじくさんに「今回の新作‘桃太郎’すごくいいね」と話したら、「今回の演目名は桃太郎ではなく‘いちじく太郎’です」との返答に大ウケした。最高の命名である!

今回の新作のメルクマールは、選曲の面白さと演目名のユニークにある。

彼女の持つ‘選曲の妙’については、演目「砂の城」のベッド曲で意味深な曲「砂の城」を使っているところも感心していた。特に新作は選曲が全て!とも言い切れる。

ちなみに、「水曜日のカンパネラ」というのは、ステージではコムアイ(本名:輿美咲、1992年7月22日生まれ24歳)という女性が一人で歌っている。ただ、一応グループ名で、作曲を担当しているケンモチ(ケンモチヒデフミ、本名:剣持英郁、1981年8月2日生まれ35歳)、そしてコムアイとケンモチの二人を引き合わせたDir.F(ディレクター・エフ、本名:福永泰朋、1982年生まれ34歳)が彼女の活動を支えている。なお、水曜日によく打ち合わせていたことから「水曜日のカンパネラ」という名前にしたらしい。

 

 1,3回の演目「砂の城」はシリアスな作品。今までの作品はこのようにマジメ路線で作られている。それに対して、2,4回目の新作はコミカルな内容で、軽いノリで作り上げられている。この不マジメ路線(失礼!)が凄くいい。いちじくさんはこんなのも作れるんだ!という驚きと懐の広さを感じられる。ある意味、この作品により更に人気がブレイクする予感がする。

 3月中の一周年を前にして、若きTSのホープ・春野いちじくさんの才能に惚れ直したところである。

 

 

平成29年2月                            大阪東洋にて