【おまけ】なぜハーマイオニーはハリーではなくロンを選んだのか?

 

 清水愛さんの演目「Harry Potter」を機に、映画シリーズをまとめて観た。少し遅れたが、H30年GWはハリーポッター漬けになった。

 ちょうど大阪東洋に行くと定宿にしているDVD試写室「I love video&DVDてんじんばし」にハリーポッター・シリーズが揃っていた。全八巻のうち最初の1~4巻と7巻の計五巻があったので4巻まで観た後に、天満のTSUTAYAに行って残りを借りて一気に観た。

 正直言えば、途中でだれてくる時もあった。長いのと登場人物が多すぎて途中で頭の整理がつかなくなる。家族でハリーポッターの映画を観に行って途中で居眠りして子供たちに非難を浴びたのをふと思い出す(笑)。まぁ今回は気合いを入れて拝見した。というか、只今、二回目を観ようとしている。しかも、7→8→6→5→4→3→2→1という逆の順で。

 私は7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝part1』が一番好きになった。ハリーがロンとハーマイオニーの三人で死の秘宝の分霊箱を探す旅に出かけるところ。この場面が長すぎるという人もいるが、逆に私はこの場面を丁寧に映像化してくれて嬉しかった。ロンがハリーのやり方に疑問と不満を持ち出して、かつ嫉妬心からハリーとハーマイオニーの間を疑い、一緒の旅から途中離脱する。三人の心の揺れや葛藤が見事に描かれている。

 ロンが抜けたテントの中で、落ち込むハーマイオニーを元気付けようと、ラジオの音楽に合わせて、ハリーがハーマイオニーをダンスに誘うシーンがある。ハリーとハーマイオニーはダンスで抱き合いながら、このままくっついてしまうのかと思ったほど。しかし、ハリーはハーマイオニーが親友ロンのことを好きなのを知っているから、決して手を出さない。ここで手を出したら、ファンタジーではない泥臭い展開になってしまうもんね。

 

 それにしても、ハリーポッター・シリーズを通して、私が‘最大の謎’だと思ったのが「なぜハーマイオニーはハリーではなくロンを選んだのか?」だった。

 誰が見ても、ハーマイオニーにはロンよりハリーの方がお似合いだ。

 ハーマイオニーは賢くて強い女である。

 ハリーは強い男で勇敢である。当然、ハーマイオニーは一人の男性としてハリーの魅力に惹かれたはずである。しかし、ハリーは両親の仇であるヴォルデモート卿と戦う運命にある。そのためハリーは自分の死を予見していた。そんな自分の運命に最愛のハーマイオニーを巻き込みたくないと思ったのではないかな。ヴォルデモート卿を倒すまでは協力してもらいたいが、自分の死のショックを引きずってほしくないと考えたのかもしれない。そうした心の壁がハーマイオニーの恋心を跳ね付けたとも考えられる。

 一方、ハリーに比べて、ロンは弱い男である。生きてるクモを怖がる小心者。ウィーズリー家の六男であり、兄たちが全員優秀なためひけ目を感じていた。そんな彼も、ハリーたちと行動を共にしながら成長していき、5巻では監督生にもなっていく。それでもハリーに比べれば見劣りする。なぜにハーマイオニ―はロンに惹かれていくのか?

 ハーマイオニーのように強い女は、ロンのような弱い男を放っておけないのである。つまり、ロンの弱さが最大の魅力なのである。彼の言動ひとつひとつに寂しさと弱さが潜んでおり、女性の中に眠る、「守りたい」「助けたい」という本能を刺激する。彼の女神になりたいと、本能が騒ぐのです。幸せになれるかどうかは別として、ね。

 

 原作者のローリングは、2007年に小説『ハリー・ポッターと死の秘宝』でシリーズを一旦完結させたのだが、2016年に本編の後日談を描いた事実上のハリー・ポッターシリーズの最終巻(または完結巻)『ハリー・ポッターと呪いの子』が発売された。

 この本の冒頭は、『ハリー・ポッターと死の秘宝』のエピローグとして19年後が語られたシーンから始まる。ハリーとジニーの子供たち、ロンとハーマイオニーの子供たちが登場していて微笑ましい。そしてハリーの次男であるアルバス・セブルス・ポッターがホグワーツ魔法学校に入学する展開となる。当然に彼がハリーと同じく主役になるのかと思い気や、なんと本作の主人公はハリーの敵役だったドラコ・マルフォイの息子スコーピウス・天使・マルフォイなのに驚く。次男アルバスは影が薄い。もし彼がハリーとハーマイオニーの子供であればもっと強いのになぁと思っちゃう(笑)。

 この作品のモチーフは「逆転時計」にある。この逆転時計を使うことによって過去の事実を変えて「もしも」の仮想世界を見せてくれる。そのひとつが、ロンがハーマイオニーではなくパドマ・パチルと結婚していること。ハーマイオ二―がなんかすごくキツい独身女教師になっている設定。彼女のガリ勉頑固な強い女さが完全に裏目に出まくった人生を送っているわけ。これには我ながら拒絶反応が出る。

 

 こうした展開は、前作『ハリー・ポッターと死の秘宝』で一旦完結した時点で、原作者の頭の中にあった模様。

シリーズの最後で結ばれるハーマイオニーとロン。原作者のJ.K.ローリングのもとには、ハーマイオニーにはハリーと結ばれてほしかったというファンの意見が殺到したそうだが、実は、ローリング本人もこの結末を後悔していたのである。インタビューで「2人の恋愛は最初に考えていた設定を守って書いたの」「ファンの怒りの声は聞こえていたけれど、作品から離れて初めて客観的に見られるようになった」と告白。さらに「ロンとハーマイオニーは将来、結婚カウンセリングを受ける羽目になったと思う。ハーマイオニーはハリーと結ばれるべきだった」とも……。原作者にここまで言われてしまうなんて、ちょっぴりロンが気の毒になる。(笑)

 

                                    おしまい

 

 

 

 

『ハリーポッターがやってきた ―うさかめver―』  

~清水愛さん(ロック所属) の演目「Harry Potter」を記念して~

 

 

ハリーポッターが仲良しのロンとハーマイオニーを連れて森のストリップ劇場にやってきた。ヴォルデモート卿との死闘を制したハリーは、協力してくれたロンとハーマイオニーに御礼の意味を込めて慰安旅行に誘ったのだった。

 

彼らは、森のストリップ劇場のうさぎちゃんやバンビちゃん達のかわいいステージを楽しく観劇していた。

ハーマイオニーがふと、舞台の後方で、カメさんが懸命にリボンを投げている姿が目に入った。気になって、周りの者に聞いた。そして、カメさんがうさぎちゃんをこのストリップの世界に誘ったこと。うさぎちゃんがカメさんを頼りにし、しかもそれが愛情に変わっていること。しかし、カメさんは自分がカメであるコンプレックスからか、うさぎちゃんの求愛を断っていること。そんな噂話まで聞こえてきた。

ハーマイオニーはそんな二人を見て見ぬふりができなかった。というのも、ハーマイオニーはいまやロンと結婚を前提にした公然の仲になっているものの、心の奥にはハリーに対する憧れが燻っていた。

ハリーは死ぬ覚悟でヴォルデモート卿と対決していたので、ハーマイオニーの気持ちには応えなかった。それがハリーのハーマイオニーに対する思いやりであった。ハーマイオニーの淋しい気持ちを察し、支えたのがロンだった。ロンの優しさを受け入れたハーマイオニーには後悔がなかった。しかし、うさぎちゃんとカメさんの姿を見ていると黙っていられない気持ちになった。

 

ハーマイオニーは劇場側に面白い企画を提案した。

森のストリップ劇場にはたくさんの動物たちが踊り子や客として、いた。彼らは決して同じ種族ではない。カメさんのように、自分はウサギよりも下等な動物だとコンプレックスを抱いている者もいるだろう。そこで同じ目線で相手が見れるように魔法で人間にしてあげる。その上でステージで5対5のフィーリングカップル・ゲームをやることにした。

カメさんとうさぎちゃんが選ばれて人間に化けた瞬間、そこには最高の美男美女が現れた。誰もが目を見張った。「なんてお似合いのカップルでしょう!」と口々に話した。

ゲームは楽しく進んだ。

 

帰り際、ハーマイオニーは、うさぎちゃんにお土産を与えた。‘惚れ薬’という魔法で調合した薬。これを飲めば相手は自分に惚れ込む。最期はカメさんにこれを強引に飲ませなさい!と話し、渡した。

結果的に、この薬は使うことはなかった。いや、使う必要がなかったのです。

 

                                 H30年5月