この記事を読んで頂きありがとうございます![]()
はじめての方はこちらをご覧下さい。
先日、介護職員等の虐待件数に関して最新データが公表されました。
※令和5年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
これによると2023年の時点で、介護職等による虐待が1123件(前年比+31.2%)も認定されています。
『介護職員等』なのでこの件数には、それ以外の職員も含まれるものの、内訳を参照する限りでは9割以上介護職員が関わっていそうです。その数1119人。
件数増加について「介護が必要な人数が増えたから当然」という意見もあります。
ただ、介護が必要な人数の増加は1年で約2%です。
2022年12月の要介護&要支援者数696.8万人
2023年12月の要介護&要支援者数708.1万人
※介護保険事業状況報告
要因の一つではあっても、小さな要素です。
大きな要因はトップ5まで「職員個人の課題」とされています。
トップ5は以下の通り。(項目は要約しています)
1.虐待に関する意識・知識不足
2.ストレスや感情コントロール
3.倫理観や理念の欠如
4.性格や資質の問題
5.介護に関する知識・技術不足
確かに個人に課題があるケースはゼロではないでしょう。
しかし、私も一時期フロアリーダーや施設管理者の補佐として、虐待防止の取り組みを行なっていたので、この考え方は危険だと感じています。
実は深堀りすると組織にも課題があるケースばかりだと思います。
何故知識や技術が不足しているのか?
どこからストレスが来ているのか?
そしてこれらが何故虐待に至るまで放置されていたのか?
それぞれの事業所を運営する会社や法人が主体になって考えないと、今後状況は悪化するばかりでしょう。
・答えを共有できるペーパーテストが主体の虐待防止研修
・ベテラン職員にルールを徹底できない虐待防止委員会
・介護現場のことを全く知らない施設管理者
・人手不足や残業時間が多いなどの過度な業務負担
例えばこのような、組織をあげて改善するべき課題が本当はたくさんあるはずです。
間違いなく介護業界の人手不足は加速していきます。
現場の負担は今より重くなり、本来は不採用になるレベルの「どうしても虐待をしてしまう人」も採用率もされるようになるでしょう。
組織的にもかなり厳しい現状にあることは理解してるつもりですが、一体あと何年「職員個人の課題」と言うつもりなのでしょうか。
また、今回の虐待件数の増加の原因の一部は「通報・相談意識の向上」「虐待の判断基準が厳しくなった」などを挙げる人もおられるかもしれませんし、部分的にその影響もあるでしょう。
ただ件数が増えているという現実があります。
委員会や研修のやり方を見直したり、労働環境を改善したり、様々な対策を取らないといけません。
こんなことを言うと一定数「国が何とかするべきだ」と主張される方がおられます。
もちろん「国がなんとかしてくれる」のが一番ですし、私も賛成です。
そこに訴えかける、声を届ける努力をしないといけないというのは正論でしょう。
しかし、長い間何ともなっていないのだから、今それぞれが出来ることをしないと虐待件数が減らないこともまた事実です。
関連記事はこちら





