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介護施設でよく言われる『スピーチロック』
果たしてゼロにすることは可能なのでしょうか?
今回は介護施設で働く介護福祉士として、スピーチロックとは何なのかも併せて考えていきます。
少し専門的な話になりますので、興味がある方、介護士の方以外は面白くないかもしれません…
そもそもの話になりますが、スピーチロックという言葉をご存知でしょうか?
老健でもよく言われる単語で、簡単に言えば拘束の一種です。
デジタル大辞泉には『言葉で相手の行動を制限したり、拘束したりすること。特に医療や介護の現場で、患者や高齢者の行動を言葉で制限・拘束すること。』とあります。
フィジカルロック(身体拘束)、ドラッグロック(眠たくなる薬などを過剰に投与・服用させる、薬剤による拘束)と並んで挙げられる、いわゆる3つのロックです。
具体的には
立とうとした利用者様に「座ってください。」
何かをしようとした利用者様に「〇〇しちゃダメ。」
職員を呼んだ利用者様に「待っていてください。」
ということなどが挙げられます。
難しいのが、同じ言葉の内容でも、シチュエーションや言い方、態度、表情によってスピーチロックか否か変わる場合もあるところです。
デジタル大辞泉にもあるように、これらの言葉で利用者様の行動を制限・拘束すればスピーチロックとされます。
介護士として、スピーチロックをしないためにはどうしたら良いのでしょうか?
まず1つ目が『理由を聞くこと』です。
行動に対して否定するのではなく、その原因を探る。
こうすることで根本的な問題の解決に繋がります。
デメリットは時間も労力もかかることです。
2つ目が『相手(利用者様)に選択肢を示すこと』です。
例えば「座ってください」ではなく「座っていただけませんか?」という疑問形にすることで、行動を制限する形ではなくなります。
疑問形にしても相手の聞こえ方によっては、スピーチロックになってしまうので注意ですが…
3つ目が『目安や理由を伝えること』です。
待って頂くのなら待ち時間を伝える。
「今他の利用者様の介助をしているので、5分だけ待ってください。」
時間が分からないなら理由を伝える。
「他の利用者様がトイレを使っているので、空くまでトイレに行くのを待ってください。」
注意点は職員のメリットだけを考えた理由であれば、当然ながら不適切なケアになることです。
この3つの方法を意識することでスピーチロックは減ってきます。
では、よく施設目標に掲げられる『スピーチロックをゼロにする』ことは可能なのでしょうか?
断言しますが不可能です。
いつでも、どんな状況でも、全ての職員がスピーチロックをしない。
理想としては素晴らしいのですが、そもそもスピーチロックはどんな時に発生するのか?
それを考えれば実現不可能だと分かります。
発生するのは大きく分けて
①職員が対応を面倒くさがった時
②職員がスピーチロックとは何かを分かっていない時
③職員に余裕がない時
④利用者様に危険が迫っている時
この4つです。
①はスピーチロックゼロの目標を掲げ、施設風土を変革していくことで無くせるでしょう。
➁も職員教育で解決します。
ただし③と④は少なくても今の介護業界ではゼロにできません。
③については人手不足で業務に追われ、余裕がなくて対応できない。
そんな状況も多いのですが、介護保険法で決められた『複数の利用者様に対して職員一人』という人員配置基準では、人手不足ではなかったとしても全てに対応できません。
職員も人間なので、能力の限界やストレスの許容量があります。
いつ何時でもイラッとしない、焦らない、他人を優先できる。余程の聖人君子しか不可能ではないでしょうか。
④については複数の利用者様が同時に危ない行動(転倒などのケガのリスクが高い行動)をされた際に起こりがちです。
「ならば、ケガのリスクを無くせば良いじゃないか。」
そう思われるかもしれませんが、職員の努力によってケガのリスクを減らせはしても、ゼロにすることはできません。
相手が人間である限り行動を読み切ること不可能です。
もしゼロにしようとするならば、それこそ3つのロックをするしかなくなります。
利用者様のことを考える程にケガをする可能性の高い切羽詰まった状況になったら、スピーチロックが出てしまうこともあるでしょう。
最後にスピーチロックに対する介護施設としての理想的なアプローチを考えて、この記事の締めとしたいと思います。
スピーチロックを減らすのは可能、しかし無くすのは不可能。
けれどもスピーチロックは虐待になる可能性がある。
この事実から目を背けることなく、スピーチロックはダメだということを職員に周知し、スピーチロックを回避する方法を伝える。
これが第一歩です。
ダメだとしながらも、『スピーチロックをしてしまう=職員個人の問題』ではなく『スピーチロックをしてしまう=施設の問題』として捉えて改善をはかる。
そうやって誰かに問題を背負わせることなく、全体の問題と捉えて努力を重ねることでより良いケアに繋がっていく。
そして、利用者様も職員も笑顔が増えていく。
それこそが理想のアプローチだと私は思います。





