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ある不眠の利用者様がおられます。
その利用者様が老健(介護老人保健施設)に入所された当初、夜はほぼ寝られませんでした。
それでも職員たちの努力とアイデアで不眠を解消できた。
今回はその成功例を紹介します。
そもそも、夜寝れないことが悪いことなの?
そういう風に思う人もいるかもしれません。
倫理的には全く悪くありません。
ただ身体に悪いのです。
睡眠不足だと日中の活動量や集中力が低下しますし、ストレスも溜まりやすくなります。
何より健康を損ないかねません。
それと介護者側の理由にはなりますが、夜間は人員配置が少ないため、何かあった時の迅速な対応がしにくいのです。
必然的に転倒のリスクは高くなってしまいます。
不眠の利用者様(仮にK様と呼びます)は歩行器を使用する女性の高齢者です。
何も持たなくても歩けますがふらつきが強く、転倒される可能性が高い方です。
バリバリの認知症の方で、その場のやり取りはできますが、男性職員のことでも娘と間違われます。
元看護師ということが関係あるのか、人の世話をするのが好きな性格です。
このK様、日中も起きておられますが、入所初日からまあ夜寝られません。
寝られたとしも1・2時間くらいです。
夜にふらふら歩いて転倒される。
他の利用者様の部屋(四人部屋なので)に入られる。
何日もこんなことが続きましたが、我々介護士もただ手をこまねいたりしません。
転倒はケガへと繋がり、最悪の場合K様が亡くなる可能性だってあるのですから。
昼間に身体を動かしていただく時間を設けたり、好きな編み物をしていただいたりと、日中の活動量を上げることで夜の睡眠に繋げようとしました。
夜に部屋から出てこられたら一度リビングに来ていただき、温かい飲み物を提供しつつ、落ち着かれるまで話を聞いたりもしました。
夜はリラックスできる音楽をかけたり、照明も真っ暗にしたり明るくしたり、本人が寝やすい明るさを模索したりもしました。
他にも色々しましたが本当に全く効果が出ませんでした。
※本題から逸れるので具体的には書きませんが、転倒防止や転倒時のケガ防止の対策も行っています
アイデアが出尽くして八方塞がりになった時、ある若い女性職員が言いました。
「この間K様が寝る時に、私の体調を心配して脈を測ってくれたんですけど、測っている内に(K様が)そのまま寝ちゃったんです。」
そこからK様は寂しくて寝られないのではないか?という仮説を立てて我々は動きました。
家族様に説明し了承を得てから、その試みを始めました。
毎晩K様が寝られるまで職員がベッドの横の椅子に座り、手を握りながらK様の話を聞くという試みです。
するとあれだけ不眠だったK様が夜寝られるようになりました!
… と言っても、3・4時間程で起きてこられ、また寝られるまでベッド横で手を握る必要はありますが。
それでも夜間の大部分の時間寝られるようになりました。
1つのアイデアから不眠は解消したのです!!
実際に施設で働く立場からすると、職員たちの頑張り次第で生活上の困り事は解決できます。
とは言い切れません。
実際に解決できないまま他の施設に移られたり、体が弱って寝たきりになられたりと、我々の力が及ばなかったことも沢山あります。
良い手段は分かっていても人数的に実行できない。
そういうこともあります。
それでも今回みたいに、八方塞がりになったところから解決の糸口が見えることもあるのです。
希望は捨てられません。
この成功談が介護が必要な誰かの役に立つことがあれば良いなと思います。
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