認知症が進むと、あらゆる判断が難しくなります。
身体が衰弱すると、意思の表示が難しくなります。
するとどうなるか?
自分で自分の最期を選ぶことが、できなくなってしまうのです。
例えば胃ろう(胃に空けた穴に栄養を入れること)をすると、ご飯を食べる力がなくなった後も生きられます。
それを「長く生きられて嬉しい」と捉えるか、「食べられないなら死んだ方がマシだ」と捉えるかは本人の受け取り方次第です。
例えば身体が衰弱して、お迎えが近い時に「住み慣れた家に居たい」と思うか、「家族に迷惑だから施設に居たい」と思うかは、本人の気持ち次第です。
命の危険が迫った状態になると70%以上の人が今後のケアについて、自分で決められない状況になるといわれています。
人生の最後で「本人次第」が出来なくなってしまのです。
本人に意思確認が出来ずに、利用者様のご家族と医者を中心とした老健の職員でターミナル(看取り)ケアを決めざるを得なくなったことは山程ありました。
自分で自分の最期を決めるにはどうすれば良いのでしょう?
その答えのひとつがACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。
人生会議という愛称もあるACP。
ACPとは、万が一の時に備えて自分の大切にしてることや希望などを信頼する人たち(家族やかかりつけ医等)に相談し伝える、「これからの治療やケアに関する話し合い」とされています。
具体的な方法は
1.自分の人生の最期が近いという状況を想定し、その時に大切にしたいことを考える
2.自分が意思表示できなくなった時に、「自分がどう最期を迎えたいか」を汲んでくれる程に信頼できる人(もしくは人たち)を選ぶ
3.かかりつけ医に現在の自分の病状や状態について詳しく質問する
4.選んだ信頼できる人と一緒にこれからの治療やケアについて話し合う
5.医療・介護従事者に伝える
となっています。
ACPを行うことで、自分の最期を自分で決めやすくなるメリットは勿論、専門家や信頼できる人たちと話し合った方が多くの案が出て、より本人の意思を反映したプランになるメリットもあります。
また、周囲の人間に伝えることで、いざという時にスムーズに連携が取れる。というメリットも考えられます。
それに副次的な効果になりますが、「何を大切にするか」を考えることで現在の人生の優先順位を決められ、より充実した生き方ができるようになるでしょう。
家族などの大切な人に後悔や無用な悩みを与えないためにもACPをしてみてはいかがでしょうか?
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こちらはシリーズものです。