淋しい誕生日を迎えている。
家族は崩壊し、みんなわたしの元から去っていった。
この歳(63)になってひとりきりになるとは思わなかった。
父も死んだ。
母も死んだ。
長年飼っていた犬も死んだ。
離婚してバツイチになった。
娘たちは結婚したり同棲したりで、わたしになんか寄り付かない。
もう何年も会っていない。
何十年ぶりのアパート暮らし。
ひとりになって想う、また振り出しに戻ったンだと。
20代の頃、銭湯に行ってた。
今の若い人たちは銭湯なんて知らないのじゃないか。
60代になってまた銭湯に通うことになるとは、
想像もつかなかった……。
でも、どこか心地がいい。
四時に入る一番風呂は気持ちがいい。
若いころ、銭湯に行くと必ず入っているオッサンがいた。
わたしが熱いので水を入れると、
「ぬるめるな!」と言って恫喝された。
以前、“STRAYDOG”で制作をやっていた女史が『女の子ものがたり』を観に来た。
なんでだろ。たくさんもめたりしてたのに、いい思い出しか浮かんでこない。
彼女と楽しい酒しか飲めない。
冬の先に春があって、夏があって、秋があって、また冬がくる。
人生はそんなことの繰り返しなのだ。
lineでお祝いしてくれた人、ありがとう……また、ひとつ歳をとってしまった。
明日、アパートにある小さな庭の雑草でもむしってみよう。
なにかいいことがあるかもしれない。
わたしが生まれたのは4月1日。
高橋克実さんも4月1日。
松田幸起も同じだ。
みんなおめでとう!
幸せな人生を歩んでくれ。