演劇を観劇する気のない人たち | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

“11月22日(水)~26日(日)まで

高円寺明石スタジオにて
つかこうへい:作
森岡利行:演出
『蒲田行進曲』を上演します。
演劇や映画、テレビを志す人なら
役者に関わらず見ておくべき
伝説の舞台です。
舞台が原作となり、
映画でも日本アカデミー作品賞を獲っています。
この度、“STRAYDOG”に上演許可が降り、
上演させていただく運びになりました。
是非、観に来て下さい!”
 
私はいつも上記のような
メールを講師を務める俳優の専門学校や
俳優やマスコミ志望の大学生に
私の名前で送ったりして観劇を勧めている。
(招待にしてあげる場合がある)
 
前回の『へなちょこ』もあなたたちくらいの
若い人達がまだ未熟ではあるけど
頑張ってるから観に来てね、とか送っても
あまり観に来ない。
メールに返信すらない。
 
大丈夫かと思ってしまう。
社会に出て、会社なんかに入ったら大変だぞ。
マスコミ関係に就職するのに
演劇観たことない、なんて恥ずかしいことなのだよ。
 
どうして来られない人は、
たかだか一週間の間の観劇二時間、往復二時間の
計四時間が自分のために割けないのだろうか?
 
それがマスコミを目指す人ならなおさらだ。
学校の授業とバイトとデイトだけで、
マスコミの世界でプロになんかなれないはずだ。
 
観劇の時間を作ることは自分の為なのに……
それが、自分にとって面倒臭いことであっても、
若い時代に辛苦を舐め、
人間が生きていく上での基本的な礼儀を学ぶことは
物凄く大切なことなはずなのに……。
(挨拶、返信や折り返しの電話等)
 
それでも来る人もいるから、
そーゆー人には未来は拓けていると思う。
(足を運ぶことで出会いもある)
 
私がこの世界でやってこられたのは
二十代で小劇場に携わっていたからだ。
 
最初に入った劇団がプロの集団
(座長や役者が芝居で食べていた)で、
そこで全てを学んだと言っても過言ではない。
 
何年もやっていて、売れていく人も目の当たりにしたし、
辞めて他の職業に就いた人も見てきた。
 
プロと言われる人の勉強量は半端ではない。
今もテレビドラマのプロデューサーや、
映画のプロデューサーとご一緒するが、
“STRAYDOG”の芝居は必ず観劇してくれる。
ありがたいかぎりだ。
 
俳優やマスコミで働きたい人は、
“STRAYDOG”の芝居ではなくても、
劇団四季やつかこうへいさんの作品は
観ておいて損はない。いや必ず観ろ。
何かをアウトプット(表現)したけりゃ
インプット(入力)するしかない。
 
そして、運や縁を掴める場所に足を運ぶ。
私が脚本家や監督になれたのは運や縁しかない。
才能ではない。いや、運や縁を掴む才能はあったかもしれない。
好きなことをがむしゃらにやる才能はあったかもしれない。
 

 

 

居酒屋で佐藤仁を呼び出し、彼の誕生日を祝った。

 

 

その席で制作のIに柴田が説教された。

「だいたい柴田さんの演出の稽古場って仲良しクラブになってるんですよ」

「和気あいあいとやらないと、若い人はすぐ辞めちゃうからね」

「そんな奴は辞めればいいんですよ」

「え……いいの?」

「劇団とか組織を運営していくのは大変なんですよ……トラブルの連続で、

まぁ森岡さんが相当、大変な人なんで仕方ないんですけど(笑)、

こんなに次から次へと難題が生まれるもんだと思いますよ。

何も問題のない楽しい集団にしたいって願ってますけど、

仲良しクラブになったらダメでしょ。大学のサークルじゃないんだから。

常に緊張感持った関係でいなきゃ、プロとは言えませんよ」

「そ、そうなのかなぁ……」

「何ですかその曖昧な返事……」

隣で総務のTがピース!

場は笑いに包まれて緊張のない明るい誕生会となった。

仲良しクラブじゃん(笑)。

 

『へなちょこヴィーナス』を観に来てくれた徳江かなと渡辺万美。