ヒロシマ取材と『八月のシャハラザード』 | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

『夕凪の街桜の国』を舞台化するにあたり、

ヒロシマに取材に行ってきた。

 

夜行バスとはいかなかったが、

主人公の歩いた道を辿ってみた。

 

戦争の痕跡を目の当たりにすると、

やはり言葉は出てこない。

 

悲惨な戦争の映画や舞台はいろいろあるが、

こうの史代さんの作品は『夕凪の街桜の国』も

『この世界の片隅に』は今までとは

全く違う切り口で描かれていると思う。

 

『この世界の片隅に』に関しては

私の中のアニメ映画ナンバーワンである。

 

まだ、稽古も始まったばかりで

どんな舞台になるか見えないが、

出演者スタッフ、全力で向かうつもりだ。

いつも通りだけど(笑)。

 

 

 

Seedlimg公演『八月のシャハラザード』の稽古を見学した。

 

 

「相手の目を見て」

 

相手の考え(または気持ち)を知るには、

ボクサーが対戦相手の目を見るように、

相手の目を見るとよい。

 

だが、

 

目で演技するわけではない(映画の演技は別として)。

舞台俳優は、主に声と体で演じる。

 

良いものには近づき、

いやなものからは遠ざかれ。

 

 

スタニスラフスキーが言っていた。

 

「善人を演じるならば、彼の中の悪人を探せ。

悪人を演じるならば、彼の中の善人を探せ」

 

もっともだが、忘れやすいことだ。

 

人物の表面をなぞるだけの俳優は、

こじんまりして退屈だ。

 

 

 

適切に作り上げられた舞台には、余分なものがひとつもない。

足りないものも、ひとつもない。

 

チェーホフは言った。

 

「一幕でマスケット銃を暖炉の上に置くな。

三幕で誰かが撃たれない限り」

 

つまり、不要なものを見せて期待させるな……ということだ。

 

 

森川監督が故・飯島愛の例を出して、そんな話をしていた。

 

「台所に何もなくていい……観客は全て私を見てるのだから」

 

また、劇場でお会いしましょう。