ワーサルシアターにて、
『あなたには帰る家がある』が上演される。
八年ぶりの再演だ。
重松隆志と佐藤仁は初演にも出演していた。
あれから八年。
あっという間だった。
“STRAYDOG”から去っていく者もたくさんいたが、
この二人と、森川圭監督は長々と付き合ってくれている。
森川「住まいの在るところが故郷ってことでもないんだよね」
佐藤「どういう意味ですか?」
森川「自分を理解してもらえる場所こそ故郷なんじゃない?」
重松「そうですね、疲れてるときとか、ほっと落ち着ける場所、
行きたくなりますもんね」
森川「そーゆーとこが故郷なんじゃないの?」
重松「ある人にとっては実家かもしれないし、彼女とか彼氏、
仲間の居る場所だったりってことですよね」
森川「そこに理解してくれる人がいれば、
明日からまた頑張ろうって気になるンじゃないの」
佐藤「一流の人は、一流の人と一緒に仕事をしたがるけど、
二流の人は三流の人と仕事をしたがる、ってことですか?」
森川「違うね」
重松「ワケわかんね、仁さん」
佐藤「ギャハハハハ……」
重松「こないだ先輩の芝居を観に行ったンですけど、
情けない男の話で……」
佐藤「奥さんに逃げられて子供たちにも何も言えないって
男の話だったね」
重松「その言えなさに俺は共感するンですよね」
森川「言えないのがいいの?」
重松「その哀愁がね」
森川「ドラマってのはね、A地点からB地点に行って、
ほんの少しでも成長するのがいいんだよ。
『この世界の片隅に』 もそうだけど、
日本が戦争に敗けたと知った時、
あの大人しかった主人公が烈火の如く怒るよね、
そーゆーのがないとね……」
重松「俺はその何もなさに感動するンですよ」
佐藤「何もないがあるンですね」
森川「なんのこっちゃ……」
稽古場で子役の加藤央睦(ひろむ)から手紙の入ったお菓子を貰った。
優しい文面に癒された。
子役二人、左、福島悠斗くんと加藤央睦くんも大人に混ざって楽しそうだ。