ガール・スパークス | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

何度か監督をしていると、

カメラをのぞく機会がたくさんある。



その時思うのはその配役の顔になっているかどうかだ。

配役になっているということは俳優であるということに

等しい。



やはり映画でもテレビでも舞台でも素人は素人なのだ。

少し演技を勉強した(少しテレビや映画、舞台に出演した)くらいじゃ

舞台に立っていても、画面に映っていても配役(俳優)ではないのだ。



先日そんなことをドラマデザイン社の山本さんと話していた。

私はけっこう若い人にチャンスをと広くオーディションし、

初めての人でも舞台に上げたり、ドラマに出演させたり

するのだが、鍛えられていない人はやはり鍛えられていない。



時代劇やアクションの殺陣のことを考えていると、

やはり本当にやっている人とはスピードも迫力も違うのだ。

言えば漁師は何十年も漁師やってたりするもんね。



だから俳優になりたい人は少しでも多く

演技という経験を積まなければならない。

それは(何度も言うが)紙を積み重ねるような作業なのだ。



トム・クルーズの『ラスト・サムライ』に映画監督が出演していたが、

どう見ても英語の喋れる映画監督にしか見えなかったのは

私だけか(笑)。



撮影はニュージーランドと訊いた。

その監督はその後に撮った『クライマーズ・ハイ』の

ラストで主人公にニュージ-ランドに行かせたが、

監督が『ラスト・サムライ』のスタッフに会いたかっただけじゃないの(笑)。



話しがそれたが、

“STRAYDOG”の舞台に立った俳優志望者は

ずっと舞台に立つこと、芝居を続けてくれ。



「ナニがしたくてここ(東京)にいるのか?」



を忘れずに。




で、若手公演『ゴジラ』の予約が始まった。

本公演や番外公演を観て予約してくれているお客様、

ありがとうね!




この芝居は私がまだ小劇場の役者だったころ、

離風霊船という劇団で上演した岸田戯曲賞作品で

すっごおおおおおおおおおおおく面白い作品だ。



本当に、これを観ないと小劇場は語れない。

NHKの芸術劇場でも放送された(私も出演)ンだぜ。



いやいや、本当にあの頃(80年代)は小劇場ブームで

たくさんのお客さんが来てくれた。



テレビのプロデューサーが観に来てくれて、

ドラマにも出演させて貰ったもんだ。



私は『ゴジラ』でハヤタとレポーターをやらせて貰った。

今大活躍中の俳優・高橋克実さんはモスラを演じていた。




なんとモスラは映画の仕事がなく、

インファント島で繭を製造して細々と暮らしているのだ。

「昔はアイドルだったのに……」とぼやきながら……(笑)。




この芝居で全国ツアーも行った。




せっかくのチャンスなので、

映画が好きな人も、アイドルが好きな人も、

一度『ゴジラ』を観てくれ。

面白い芝居とはこういう芝居を言うのだ。
(予定調和で、客が泣く前に役者が泣いて、

上っ面の涙を誘うお芝居とは全く違うぞ)



これを観れば、きっと小劇場の芝居が好きになる!



森岡利行「監督日誌」


で、映画の話し。

画面から本気が滲み出ていた

大阪芸大出身の若い監督(石井裕也)の超傑作映画を観た。

この監督の作品は『川の底からこんにちわ』でも

唸らされた。



予定調和のない爆笑映画(もちろんぐっとくるところも!)だ。



森岡利行「監督日誌」


『ガール・スパークス』


女子高生・冴子は怒っていた。何に対して怒っているのか、

とにかく世界中の何もかもにムカつきっぱなしだった。

そんな冴子の父親は、ネジ工場の経営者。

しかし家では女装をしながら料理をするという、

いわゆる奇人変人だった。彼をはじめ、

冴子の周囲にはおかしな人間ばかり。

やりきれない怒りに、冴子は走った。ただ闇雲に…。




「才能のある俳優こそ壁にぶつからせなければならない。

なぜなら壁はその俳優を成長させる唯一の栄養だから」


モリナス・パルピロ(オスカー女優)