大道具のトラックが大破し、炎上したとの報告を受け、
仕込みが大幅に遅れ、場当たりが出来なくなってしまった。
大道具の坂は
「すみませんねぇ……遅れちゃってハハハハ」と笑っているし、
照明の原は
「クルマ、大破しちゃったンですか?」
と照明がゆっくり仕込めるのでどこか嬉しそう。
音響の菱田に、「大変だよ」と伝えると、
「フォフォフォフォフォ」
と水戸黄門かバルタン星人かわからない笑い声を出している。
手伝いに来ていた元音響の関にもその旨を伝えると、
「ボクの天然パーマ、縮毛矯正で治りますかね」とか
全然関係ない質問を投げかけてくるし、
そのまた音響をやる役者のS藤W香は、
「やっと彼氏出来ました! 中学の同級生とよりを戻しました」
とこれまた嬉しそう。
たまたま楽屋でくつろいでいた役者の重松にもこの情報を入れると、
「じゃ六本木に行ってきます」とバイクに乗って消えていった。
seedのK村M喜は、
「私のバイト先に女優の堀×××のお父さんが働いているンです!」
とか言ってるし(それ何回も訊いたぞ)……。
seedのM田は取り憑かれたように空瓶にテープを巻いている。
「割れたとき飛び散らないように……巻いておかないと」
そんなもん、後でいいから早くセットを建ててくれよ!
30年芝居をやっているが舞台上で瓶を落として割れたことは
未だかつて一度もないし、映画の現場やテレビの現場でもない。
割れるのは飴細工の撮影用の瓶だ。
(蛍光灯に縄跳びを引っ掛けて割れることは多々あるが)
おまえの脳味噌にテープ巻いておけ!
制作のK田K利子は、紙コップにコーヒーを入れて持ってきて、
「森岡さん、公演終わるまでこれでずっとこれで飲んで下さいね。
コップに名前書いておきましたから……うふふふ」
って、映画の現場じゃないンだから、10日も同じ紙コップで
コーヒーが飲めるか!
いったいみんなどうなっているンだ?
2月18日~23日まで(三津谷葉子・坂本爽組)
人は人生でナニかしら大きな試練に直面する。
そのときの苦境にどう対応するかが、
人生の分かれ目でもあり、
その人間を司るナニかになる。
生きている限り、人は苦境に対することで強くなれる。
苦境や逆境に陥った時、逃げるか、向かっていくか、
さらにステップアップするか、
それは自分自身が決めることなのだ。
要は心の持ち方だ。
前向きになるか後ろ向きになるか。
「人生なるようにしかなれへん」
今回の芝居のテーマである。
そして、人生の質を決定するのは、
どんな出来事が起こるかではなく、
どの出来事にどう対応するかである。
すべての出来事は教訓であり、
すべての逆境はカタチを変えた恩恵だ。
「雨は降るがままにせよ」
と言ったのはニューヨークからモロッコに
安住の地を求め移り住み、
その地で妻を亡くした作家のポール・ボウルズだ。
稽古で「バッファロー!」と言って頭に指を立て、
角に見立てヒロインの胸を付こうとしたのは柴田明良。
こいつのギャグだけはさっぱり理解出来ない。
宇宙人クラスである。