私のパッチギ! | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

映画や舞台では「パッチギ!」と言っているが、

私の地方では「パチキ」だった。




「パチキ」は頭突きや頭の剃り込みのことを指す。




朝鮮学校と日本の学校の高校生はよく喧嘩してたんだよな。

最初に入った劇団の先輩(在日の方)は日本人と池袋で

喧嘩する為に極真空手を習っていたそうだ。




私はと言えば、

高校受験の時、入れる高校がなくて、

ボクシングの叔父のコネで入れて貰い、

三年間部活とカンニングで卒業出来た。

しかも、けっこういい成績だった。

前に座っていた奴が頭が良かったのだ。




なので朝は暗いうちから体育大学で大学生と一緒に朝稽古をし、

一時間目から四時間目までぐっすり寝て、

昼飯を食べ、五、六時間目も寝る。




そして、放課後はクラブ活動だ。

おかげで二年生の時にインターハイ予選で三位になり、

(大学も一年生の時に大阪私学大会で三位になった)




寝ても醒めても剣道ばっかりしていた。

いつも竹刀を持っていたので、

他の学校の生徒に絡まれることもなかった。




オヤジが厳しい人だったので、

家に帰るのがすごく嫌だった。

クラブ活動が終わったら、

天王寺の二番館で映画を観て帰った。




アラン・ドロンの映画、

チャップリンの映画、

スティーブ・マックイーンの映画、

ビートルズの映画は休みに弁当持参で四本立てを、

通路に座って観た。




その頃からパンフレットは必ず買うようにしていた。

今考えれば、脚本家になるべくしてなったのかもしれない。

(そう考えたら嫌だったオヤジにありがとうだ)

なぜなら、映画のパンフレットは企画書になっている。




企画意図はイントロダクション。

ストーリーはプロット。

そして、キャスト紹介。




喧嘩せずに映画の勉強をしていたのだ。




若い人は知らないかもしれないが

テレビの真田広之主演の「高校教師」なんて、

アラン・ドロンの映画「高校教師」のパクリだもんね。



森岡利行「監督日誌」



「パッチギ!」は感動的なドラマだ。




でも、創り手だったら、

「夢や感動をありがとう!」

と言ってるだけで終わりたくない。




自分自身の行動で感動を手に入れたい。

それは苦労なくしてはないだろう。





今、一緒に稽古しているメンバーに告ぐ。




一滴の汗もかかず、躰も心も痛くならず、

傍観しているだけで手に入れたものが本当の感動であるはずがない。




そう、私たちは創り手なのだ。

苦労して手に入れた自分自身の感動を創ろう。




それはどんなモノより美味しいぞ。