玄関を入ったところにヨルダン在住中に入手したチェストパネルを飾っていましたが、今回これを見直すことにしました。

ヨルダンではチェストパネルを大きなフレームに入れて飾っていましたが、ガラスがあると日本に持ち帰るのが難しいため分解した木製のフレームとチェストパネルだけ持ち帰りました。帰国後にフレームを組み立ててガラスなしで飾っていたのですが、ちょっと日の当たる右側がだいぶ焼けてきましたので額装を改作することにした訳です。

インターネットオークションで適当なサイズのものを探したのですが、なかなか見つけられず、結局、下の写真のような掛け軸の写真を入れた縦長の額縁を入手しました。前のサイズに近いものはガラスが重すぎて壁掛けは無理と考え、チェストパネルがぎりぎり入る大きさのものにしましたので。

ところが、パッチワークにつないだチェストパネルを入れるには深さが不足するように思えるのでこの額を薄い箱のようなものに改作することにしました。
深さを増やすため以前のフレームと2段重ねにすることにして、やってみたら次のようなものができました。まだ、木工ボンドで接着しただけなので、乾いたら木ねじで2つのフレームをつなぎます。ガラスが重いのでボンドだけではちょっと心配なので。

これでガラス面裏から、裏板表まで約2.5cm弱の奥行きが確保できました。
この作業をするためにガラスをはずす時にガラスの切断面に触れただけで手を切ってしまったので、切りっぱなしの角を荒砥石で丸めました。本当はガラス砥石でするらしいのですが持ってないので、普通の荒砥石を使いましたがうまくできました。
中に入れるチェストパネルですが、当時ヨルダンに在住していたJICAボランティアの方から端切れをもらってパッチワークの台布を作りチェストパネルを縫い付けてあります。新しいフレームに入れるにはサイズを合わせるのに切らなければいけないのでちょっと残念。

表

裏
元々のチェストパネルは下の写真(山本真希 パレスチナ刺繍から転載)のような形をしてますが、台布に縫い付ける時に実際の服に縫い付けた形を想像して少し曲げています。またやはりヨルダンで入手した自然石の首飾りも付けていました。

チェストパネルはお祝い事などの時に女性の黒い常用服の胸元に縫い付けて使うもののようです。お金持ちは刺繡入りの専用の礼服を持っていますが、庶民は、普段着にこれを縫い付けて間に合わせたようです。使われているパレスチナ刺繍はとても細かくて、私など虫眼鏡で見ても刺繍の目が判然としません。
下の写真の黄色のビーズの直径が5mmほどですので、5mmの幅に10回以上針が入っているのではないかと思います。
すごく根気のいる仕事ですが、女の子が生まれるとお母さんは婚礼用にチェストパネルを作り始め10年以上かけて完成させると聞いたことがあります。
日本では、女の子が生まれると桐の木を植えて、婚礼用の桐ダンスの桐を用意したとか、ちょっと似てますね。いずれにせよ昔の人は素晴らしい。

ヨルダンにいた時はインターネットで「chest panel」を検索すると山のように出て来たのに、今回やってみるとなかなかヒットしません。チェストパネルコレクターも年を取ってしまったんでしょうか。
ヒットした中に山本 真希さんの「パレスチナ刺繍」というのがありました。
刺繍しているところと作品の写真がありましたので転載します。


薄茶色の糸で刺繍してある上着の下につけているのがチェストパネルです。