せっかくディジタルオシロスコープ TDS 410Aを入手したので過渡現象を記録してみようと思いました。
手順:
1.Acqモードでsingle Aqu シーケンスを選ぶ
→ Runボタンを押した後1回だけメモリーに波形を取り込むようになる
2.Runボタンを押すと同時に過渡現象を発生させる。
→ 今回はRunボタンを押すと同時にファンクションジェネレータのスイッチを
入れて、スイッチオン直後の波形を観測することにしました。
両手で2つのボタンを押すだけですが、けっこうタイミングが難しく5回やって1回だけ過渡現象が取れる感じです。4回は定常状態になってしまった後のシングルAquになってしまいます。

ファンクションジェネレータの立ち上がり波形
上と同じことを、RC発振器でやってみましたが、発振開始のタイミングの波形は取れず、発振した後の波形の振幅が設定した値に抑えられていく過程のみ記録できました。



定常状態になった波形
以上でディジタルオシロスコープの使い方が概ねわかったので常用機として使うことにしました。
そこで、もとのオシロスコープ(テクトロニクス 432)と入れ替えてラックに納めることにしたのですが、そのサイズがちょっと大きいのと筐体の頑丈さが心配になってラック内の器材配置をすべて見直しました。
見直し前はトラッキングスコープ TR-4120(仕様書によると重量約15Kg)をオシロスコープ432の上に載せていたのですが、今回ラックの最上段に移しました。

見直し後のラック
故障したテクトロニクス 432 オシロスコープをラックから降ろしたところで、中を覗いてみようということになり、改めてチャンネル1の故障状況を確認してみました。チャンネル2が正常に動いているので、故障はチャンネル切替スイッチより前ということは推察できます。
ビームファインダーを押すと輝線がブラウン管外、下方に出ていることはわかっていたので、改めてその輝線を確認してみると非常に小さいながら波形も出ているようです。そこで、RCジェネレータの信号をチャンネル1に入れて増幅器の感度を上げてビームファインダーを押してみると次のような波形を見ることができました。

ビームファインダーは輝線が管面から見えなくなった時に押して、どちらの方向に変位しているかを見るためのものです。そのためビームの垂直、水平の振れ幅を小さくして管面に輝線を持ってくるようになっています。通常は、見つけたビームの方向を左右、上下の位置調整ノブで調整して菅面中央に動かせるのですが、今は上下調整ノブをいっぱいまで回しても菅面にもって来ることができません。
しかし、上の画像からチャンネル1のアンプはなんとか動いていることがわかったので、アンプの感度を思い切って10mV/Divまで上げてみたところ下の写真のように、管面下方に入力波形(サイン波)の上部が出て来ました。(写真は不鮮明ですが、目で見るとサイン波の上部ということがはっきり分かりました)

以上から、チャンネル1の入力アンプに問題があり、その内容は増幅の中点が0Vではなくマイナスの大きな値になっているということになります。インストラクションマニュアルにある回路図を見ると入力アンプは±15Vを2電源とする差動アンプになっていますのでその中点が大きくマイナスにずれたのではないかと思います。
また、この現象は徐々に起きたのではなく突然発生したので、調整のずれではなくどこかの素子の破壊または断線・ハンダ切れが起きたのではないかと推察しています。
目視で故障個所がわかるかもしれないと、ケースをはずしてみました。何年も開けたことがないのですっかり忘れてましたが、底部の脚を止めてある4本のボルトを外すとケースをすっぽりと底部側に引き抜くことができます。

ケースを取り去ったものを下面から見た所

ケースを取り去ったものを上面から見た所

チャンネル1入力アンプ(と思われる)

上下位置調整ノブ付近、右上のサブボードの下になっていて見えない
開けてみて改めてその精巧な作りとメンテナンス性の良さに感心しましたが、故障個所と思われるところを直接みることはできず、上の写真のアンプのシールドケースとか、右上のサブボードをはずしてみる必要があります。
中を見てみてその作りの良さに恐れをなして分解してチェックするのは次回ということにしました。また、次の作業の前には、マニュアルをよく読んで、部品配置と回路の働き方、調整手順など頭に入れておかないといけないなと痛感しました。
大変そうなので、修理はしないかもしれません。チャンネル2が動くのでいいかと思うのと神聖な場所に足を踏み入れることにためらいがあるので。
私は物怖じしない方なんですが、それほど素晴らしいできのものなんです。