先日入手した811用UXソケットへの交換は、出力管部分の大幅な配置変更が必要で作り直しに近い作業になるのでソケット自作の方向で検討することにしました。
1.「小型木製台座+811用ソケットから取り外した金属部品」による方法
まず厚さ12mmの木材に直径38mmの穴を開けました。
後の切断数を減らそうとぎりぎり端に開けたので、穴あけの最後に狭い部分が割れて飛んでしまいました。厚さがあるので両面から自在錐を使ったのですが、くりぬきの最後にかかる衝撃に耐えられなかったみたいです。

飛び散った破片を探してパズルのようにはめ込んで木工用ボンドで補修

現在のソケットにほぼ近い大きさにカット

金具はビスナットで付ける予定ですが、位置決めのため木ねじで仮止め
下穴開けが不十分だったため木ねじを締めたら台座が割れてしまい、ボンドとハタガネで補修


4枚の接点金具を付けて真空管を挿し穴あけ位置と接触具合を確認
この時点で、柔らかい木製台座ではスプリングの強い接点金具を支持できないと判断しました。
真空管を挿し右に少し回して接触の定位置にもって来るのですが、金具のばねが強いため右に回す時接点金具が動いてしまいます。動かないようにするには台座に切れ込みをいれて台座を貫通するビスナットで固定する必要があります。
このようにして金具を固定することはできても、使用定位置では金具が強く台座の穴の内側側面にあたるため時間がたつと側面木部の変形が起きて接触が不安定になる惧れがあります。
工作容易を優先して柔らかい木材を使ったのが裏目にでてしまいました。
陶器製とまではいわなくても厚さ12mmくらいのベークライトの台座でないと無理なようです。104Dアンプのシャーシに使った12mm厚のベークライトは沢山残っているのですが、加工が非常に大変だったことを思い出して材料変更はあきらめました。
2.811用ソケットのスリット修正
しかたがないので811用ソケットを使おうとスリットの上辺をやすりで削って101Dで使えるようにしました。このソケット交換は大仕事になるのでだいぶ先になるなと嘆きながら。
スリットを広げて、101Dを挿したところ
3.押し下げ接触式ソケットの検討
バヨネット式ソケットでも真空管の脚に横から接触する方式ではなく脚の先端をソケットの接点に接触させる方法があるのを思い出しこれを検討することにしました。
Sterling社 Universal Tube Testerのソケット

Atwater Kent Model 20のソケット(上面)ーー流用写真です

Atwater Kent Model 20のソケット(下面)ーー流用写真です

脚と接触する部分の導体としては手持ちの1mm弱の銅の板を切り出して作ることにして問題はこの銅板と真空管の脚の間に接触圧を加えるための袴です。
真空管のベースがちょうど入る内径の金属管がいいのですが適当なものが見当たりません。塩化ビニール管で内径があうものがあれば使えそうですが手持ちがなく、何かないかと探しているうちに、ケミカルコンデンサの外側のアルミ筒が使えそうだと気がつきました。

似た太さのものを探し出して較べてみましたが、その外径がベースの太さと殆ど同じで、アルミ筒の内径に真空管のベースが入りそうもありません。
縦にスリットを入れて内径を広げることも考えましたが、この袴を木製台座に固定するにはコンデンサーの取り付け金具を使うことになるなと眺めていました。
そのうち、この取り付け金具だけで真空管を固定することができることに気がつきました。真空管の脚とソケットの接点銅板が適宜の圧力で接触する位置で取り付け金具のバンドを締めればよいわけです。真空管交換の手間はかかりますが。
そこでもっと適当な取り付け金具がないか予備のケミカルコンデンサーを調べていたら、帯バンドの幅が比較的広いものを見つけました。これならこの帯バンドにスリットを付けることも出来そうです。相手が鉄製バンドなのでこの工作は難しそうですが、もしできなかったらバンドを締める固定方法にすればよいと思います。
今回あちこち迷走してやっと目鼻をつけたので、近いうちに下の写真にある材料を使って「押し下げ接触式の真空管ソケット」を試作してみたいと思っています。

ソケットの材料となる銅板、電解コンデンサ取り付け金具と木製台座
[9月24日 追記]
材料があるのでソケットにつける受け側の接触片を作ってみました。
0.2~0.5mmくらいの銅板なので金切り鋏で切れるのですが持ってないので、金鋸で時間をかけて切り出しました。

金鋸だと寸法精度を上げられないので、余分に作って選ぶことにしました
サイズは一応寸法図を作って10mm×25mmとしました。


作った銅片の弾性を確認してみると柔らかい材質のせいか反発力が足りない気がします。焼き入れとかすればよいのでしょうが、今のままでは塑性変形が起きて真空管の脚と接触不良を起こしそうです。
燐青銅ならいいんだけど売ってないよねとWebを検索したら、売っていました。
0.1mm厚、サイズ6cm×30cm燐青銅板が数百円でした。電池ホルダーの接点などで一般消費者の需要が結構あるみたいでした。
数日後に商品が着くので、もう一度接触片を切り出します。今度は、植木鋏を使ってしまおうかとも考えています。