緩和医療を目指す医学生の問わず語り ~ ナラティブに、ロジカルに、フィロソフィカルに -2ページ目

緩和医療を目指す医学生の問わず語り ~ ナラティブに、ロジカルに、フィロソフィカルに

臨床で学べること、本、論文から学べることを書いていきたいと思います。医学哲学、緩和医療、腫瘍精神医学(サイコオンコロジー)、終末期医療などに関心を持ちつつ、いよいよ始まる臨床実習(BSL)の感想など、医学生の視点で書き残していきたいと思います。

病院で働くことになる以上、人の死に直面することは避けられない。
突然の外傷によることもあるだろうし、
癌などの病気によることもある。

いずれにしても、医療の限界、人間の避けられない現実を
突きつけられるようで、
なんとも虚しい気持ちになってしまう。

学生の臨床実習で、ちょっとした処置はさせてもらえるとはいえ、
見ているだけの立場だと、
文字どおり「何もできない」。
だから、事態が大ごとになると、ただただ考えてしまう。
というか、考えることしかできない。

「大変なのを見ちゃったね」
ひと段落してから指導医が声をかけてくれた。
「びっくりしたよねぇ。ショックだった?」

「そうですね。何というか、動けなくなっちゃいますね。
 頭もフリーズしてしまうというか。」

「慣れないうちは大変かもね。
 でも、今は大いに悩んだらいいよ。
 そのうち、嫌でもゆっくり悩む暇が無くなるから」

「・・・。」


「僕らも、悩んでないわけじゃないよ。
 ただ、立ち止まっていられないから、悩んでるように見えないかもしれないけど。
 走りながら考え続ける、って感じかな。
 患者さんは次から次へとやってくるからね。
 悩んでても、亡くなった患者さんの供養になるわけじゃないし。
 一人でも多くの患者さんの治療に当たることが、
 一人一人の患者さんの死を無駄にしないことだと信じてるから。
 止まっちゃうと逆に、心も淀んじゃうしね。
 血液が滞ると血栓ができやすくなっちゃうみたいに。
 そういえば、血栓ができる機序、調べてきた?」



今の自分にできること、
「死を無駄にしない」ためにできることは、
しっかり勉強して、早く一人前の医者になることしかないです。

「死ぬってなんだ?」「生きるってなんだ?」とか、
考えることも大事だけど、
それによって、勉強にブレーキがかかってはいけない。

走り続けることが、考え続けることなんだと思います。


ちなみに、血栓形成の機序は、
Virchowの三徴と言われる3つの要素から。

・血管内皮細胞の傷害
 喫煙や高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病などが原因で
 血管内皮細胞が傷つき、そこから血栓が生じる。

・血流の緩慢
 ギプス固定や長時間の同じ姿勢による、
 血管の圧迫による血流の緩慢または停止している場所や、
 動脈瘤、静脈瘤、心臓内など血流が渦巻く場所に血栓が生じやすい。

・血液性状の変化(粘稠度の増加、繊維素溶解活性低下、血液凝固因子の増加)
 高脂血症や脱水症状時、妊娠・出産時、老齢などでは
 血液成分が変化しているため血栓が生じやすい。

(wikipediaより)

「転がる石に、苔は生えぬ」とも言われるし、
まずは、手を動かして、勉強勉強。



色々な疾患を見ていて、最近思うのは、
高血圧と糖尿病、この2つだけは、
最低限、気をつけたいな、と。

マジで命にかかわる病気になりかねない・・・。


「何もないことが、一番ありがたい。」

指導医の先生が口癖のように、患者さんにかけている言葉です。

外来は再診の患者さんが多いため、
状態は落ち着いている人も少なくなく、
治療のためというよりも、症状を抑えるための加療が続いている人も多い。

入院せざるを得ない患者さんたちとも、毎日顔を合わせていると、
確かに、何事もなく、いつも通りの毎日を過ごせることが、
何よりも有り難いことだなと痛感します。

それくらい、病気に苦しむ人は溢れていて、
人間の体そのものは、病の器と言われるくらい、脆く儚い。

何事もなく過ごせることが、「有り難い」と思えたら、
生き方も少し変わるのかも、と思ったりもして。

そしてまた、何事もなく過ごせなくなる時が、必ずやってくることを、
よ~く分かっているからこそ、「有り難い」という言葉になるのかもしれないとも、
思ったりもしました。

人生のはかなさを知ることが、生きることの有り難さを教えてくれる。

必然の未来を知ることが、現在の生き方を丁寧にしてくれる。


患者さんは、人生の先輩であり、
身をもって現実の厳しさを教えてくれる教師なんだなと感謝して、
接したいと思います。


泣いた動画。




http://youtu.be/3gkmT673VJA

目から汗が・・・。
。・°・(ノД`)・°・

病に悩む患者さんの背景には、
医療面だけみていては分からない、様々な人間模様があるんですよね。


「君は不思議に思わなかったのかい?
 君が物心ついた時にはもう手話を使えていた事を。」




医者は医者で大変なんだろうけど、
患者さんや家族は、もっと大変なんだということを忘れないようにしたいです。
そう思えれば、きっと頑張れる。