感染症が専門の、神戸大学の岩田健太郎先生。
たくさん本も書かれていますが、読みやすいので好きです。
言われたこと、指示されたことはソツなくこなせるけど、
自分で考えて動くことは苦手。
そんな研修医を指導していて、
「主体性を教えるにはどうすればいいのか」
とよく考えておられるそうです。
臨床実習を回り始めた今、この本を読んで感じたのは、
「指示されたこともよく分からない・・」
まあでも、基礎→指示されたことをこなす→主体的な医療
という階段を登らなければいけないわけでもないし、
今から主体性に学ぶことも大事だし。
心構えの問題なので、大いに学ぶところがありました。
研修医は、一人前の医者になるために研修医という立場にある。
一人前の医者とは、指導者のスーパービジョンがなくても
独立して診療できる医師であることを意味している。
それが目的だ。
つまり、指示する上級医がいなくても
独立したパショーマンスができなければいけないのだ。
研修生活をつつがなく過ごすことや、
上級医と仲良くすることは研修の目的ではない。
臨床実習も、全く同じで。
一人前の医者になるための実習。
症例レポートを書くために、患者さんを受け持つのではなく、
病気を理解するために、患者さんの病態を知るのでもない。
ともすれば、目的と手段が入れ替わりがちです。
手段と目的の顛倒は日本に蔓延している病理である。
たいてい、これで間違えている。
手段と目的の顛倒は思考停止のなせる業である。
すなわち、そこには主体性が欠けている。
研修医は、研修を修了した後という時代を生きるために研修している。
研修医時代は手段であり、目的ではない。
主体性を欠いたまま研修医でいることは可能である。
しかし、主体性を持たずに一人前の医者になることは不可能である。
目的は、未来にある。
未来を生きるために、今がある。
学生時代も、手段であり、目的ではない。
テストでいい点をとることが目的ではないし、
国家試験に合格することが目的でもない。
それは、目的を果たすために、必要な手段であって、やはり目的ではない。
目的って、なんでこうも忘れがちなのか、
我ながら可笑しくなってしまいます。
- 主体性は教えられるか (筑摩選書)/岩田 健太郎
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
じゃあ、医者になる目的は?
主体的な医療とは?
医療の目的は一体何だろうか?
この先は、哲学の出番かな。