昨日は大学の授業でした
授業の冒頭で学生たちにいつもお勧めの本や映画、サイトなどの情報を提供しています。
役に立っているかどうかは分からないけれど、デジタル・ネイティブな彼女たちにとって、情報は溢れんばかりのもので、そこから良質のものを選び出すのが大変な作業になります。
だから、なぜこれを推薦するのかの理由も一緒に説明しているのです。
通訳者という仕事は準備がカギを握るもの。そのためには否が応でも膨大な資料を読み込んでいくことがまず求められますから、「時間がない」とか「文字が嫌い~」とか言ってられないはず。
そこで紹介したのが本日の作品です。実は大学の図書館の「就活コーナー」にありました。
私が教える学生たちも3年生なので、就活を通して、社会人になることへの期待と不安が入り混じっているのがよく分かります。
村上春樹 『職業としての小説家』
画像はお借りしました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220106/09/strasbourgeoise/96/2a/j/o0810108015057219406.jpg?caw=800)
ざっくりした内容は新潮社からお借りしました。
「村上春樹」は小説家としてどう歩んで来たか――
作家デビューから現在までの軌跡、長編小説の書き方や文章を書き続ける姿勢などを、著者自身が豊富な具体例とエピソードを交えて語り尽くす。
文学賞について、オリジナリティーとは何か、学校について、海外で翻訳されること、河合隼雄氏との出会い……
読者の心の壁に新しい窓を開け、新鮮な空気を吹き込んできた作家の稀有な一冊。
語り口が村上春樹のエッセーでよく見受けられるスタイル。
彼のエッセーや対談集などがとても好きなのですが、世界的に愛される大作家なのに、本人は全然えらぶらず、スナフキンのように飄々としているイメージがあります。
自分のことなのに客観視している軽妙な文章なのよね。
別に小説家を目指さなくても、社会に出ていく若者、或いはもう出ちゃっている社会人も読めば、何かしら得るものがあると思います。
学校での英語教育については「まさにそのとお~り」と納得しまくりました。
高校までなら換算すると6年以上授業で英語を習っているのに、英語でコミュニケーションもとれないのは、やはりそもそものカリキュラムの趣旨がリアルなニーズとずれているからと思うの。英語教育を幼年化するよりも、実用性、実践性に重きを置くべきかなあって。
最終章の『河合先生との対話』については大変興味深かったです。
最初の出会いから、それぞれ専門分野をもつエキスパートとしてのアプローチの違いと共通点など、河合先生が村上春樹さんにとってかけがえのない人物だったその深い想いが伝わってきました。
村上春樹さんの作品についても過去ブログで記事にしておりますので、ご関心があれば、ご覧ください。
この人のエッセーって好きだなぁ@『走ることについて語るときに僕が語ること』
あと、記事にはしておりませんが、『騎士団長殺し』の直後に、ハルキストとしても有名な川上未映子さんとの対談集『みみずくは黄昏に飛び立つ』も必読です。
唖然としたのですが、村上春樹さんは作品が出来上がると、小説の内容を忘れてしまっているのよね~。きっと自分の中から作り上げられた作品の世界が昇華してしまっているんでしょう。
むしろ、川上さんの方が登場人物やそのセリフを覚えているぐらいでした~
ということで、今日は村上春樹尽くしになってしまいましたね。また過去作品を読み返そうかしら
いつも拙ブログにお越しくださってありがとうございます。