大事の前の小事という。重要な事に取り組むためには、些細な事でも
十分注意して取扱い、決して大きな目的の支障にしてはいけないという
教えだ。
平成24年12月に再登板した安倍首相にとって、大事とは憲法改正であり、
拉致問題の解決であった。それから5年4ヶ月経って、安倍首相は国民の
信を失いつつある。少なくとも、世論調査では安倍首相を支持しない人は
過半数になる。拉致問題は別にして、憲法改正に関しては、国民の半分が
憲法改正議論をすることに嫌気がさしているということだ。
なぜこうなったのだろうか。
それは、憲法改正に向かって盤石の備えを怠ったからだ。
まず、戦後70年談話の発表があった。北岡伸一氏を懇談会代表に据えて、
日本を基本的に侵略国家と認める内容の談話を作らせた。修辞的な表現で
曖昧にしているのに騙されてはいけない。故渡部昇一氏は、安倍談話は
100点満点だ、とコメントしていたが、私には理解できなかった。余命を
悟ってのことだったのだろうか。シベリア抑留のことにも触れなかった。
何も発表しないほうが良かったのだ。保守系学者の中西輝政氏と西尾幹二氏は
これで安倍首相を見限ってしまった。二人は、誤った歴史認識を持つものは
憲法改正をすべきではないと話している。
2015年12月末の日韓合意もひどいものだった。慰安婦制度は日本軍が
関与したと明言して、賠償金まで払った。世界は、日本政府が関与を認めて
10億ドルの賠償金を払ったと喧伝した。わざと、ドルと円を間違える
あざといニュース作りだった。しかし、国会では、軍の関与は衛生管理
のことだった、とぬけぬけと答弁したのである。安倍首相を庇う人たちは、
アメリカからの強い要請があったからという理由で納得していたが、
それならそれで、私は二重の意味で腹が立った。だから、私はこの時から
安倍首相を支持する気持ちが失せてしまった。
ここまでで、多くの保守的な考えを持つ国民は安倍首相を見限ったと思う。
経済的には、消費税増税を断行した。これで、回復しかけた経済が
デフレに逆戻りしてしまった。三橋貴明氏は「日本を最終的に亡ぼした
内閣は、安倍内閣である」と断言している。経済の面から安倍首相を
見限った人も多いだろう。
この後は、安倍首相個人の資質の欠如による失策のオンパレードだった。
自衛隊の日報問題では、非開示であると強い態度を示すべきだった。
大臣が不適切な対応を示したら、即刻更迭すべきだった。安倍首相の
人事下手は、第1次政権の絆創膏の赤城農林大臣の時から何も改善して
いない。毅然としたところが一切無いのだ。部下を更迭する胆力が
ないのだ。
極めつけは、森友加計問題での対応だ。自分の妻に対して何も言えない
弱い性格
https://ameblo.jp/strana/entry-12350192506.html
がこの問題を大きくして1年以上の政治空白を作ってしまったが、
本人はわかっていないようだ。
少なくとも、「私や妻が少しでも関係していたら、議員も首相も辞める」
などとは発言してはいけないことだ。憲法改正という大事のことが
さっぱり意識にないのだ。この人には、憲法改正は荷が重いということだ。
少なくとも、周囲のブレインがすぐに謝って撤回するようにアドバイス
すれば傷は浅かったのに、強情を通して野党の議員を無駄に走らせて
しまった。おまけに国民の支持も失ってしまった。残っているのは
個人的に仲の良いお友達しかいないのではないだろうか。
安倍首相のブレインは最初の頃から変わらず、すでに70歳近いという話だ。
上の「首相も辞める」発言は側近ブレインの入れ知恵という噂も聞く。
自分に能力や資質が欠けていても、せめて人を見る目だけはあって
欲しいものだ。
大きな仕事をする人は、大事の前の小事を大切に扱う。安倍首相には
大きな仕事を達成する力がないのだろう。苦労して大学受験を通ったとか、
大学で大きな研究を成し遂げた、ということはない。実務でも、神戸製鋼で
何か大きな仕事をしたということを聞かない。そういう経験を積んでこそ、
人間は大きな仕事を達成する能力を身につけるものだ。いきなり、
憲法改正をすると息巻いても、やはりできないものはできないのだ。
それでも、まだ憲法改正の動きをやめていない。私は今の九条を削除
しないで自衛隊の文言を付け加えるのには反対だ。安倍首相は、
自衛隊を明記することにより違憲問題を解決し、正統性を付与すること
ができると述べたそうだが、それでは憲法の違憲問題をさっぱり理解
していないことになる。このことは以前述べた。
https://ameblo.jp/strana/entry-12354411794.html
自衛隊の違憲問題を解決するには、自衛隊を廃止するか、九条第二項を
削除し、戦力の不保持を破棄すること以外にない。
安倍首相は、自民党の提案する自衛隊を明記した改憲案によって今までと
何も変わらず、かつ自衛隊の違憲状態を解決できると昨日話したそうだ。
後者は先に述べたように誤っている。前者の通りなら、わざわざ面倒な
改憲をする必要がない。だから、私はこのような改憲ならしてもらいたく
ない。中西輝政名誉教授が「誤った歴史認識を持つものは憲法改正を
すべきではない」と述べた通りだ(西尾幹二,中西輝政,柏原竜一(司会),
「日本の『世界史的立場』を取り戻す」)。
結局、私は、安倍首相の憲法改正の試みは潰えたと思っている。そもそも
何を変えたいのかというのが伝わって来ていない。そういうものだった
ということである。
最近、西尾幹二氏は、安倍首相が「戦後最悪の総理大臣だ、すぐにでも
辞めるべきだ」と話している。
https://www.youtube.com/watch?v=E89Df_O50JQ
最悪かどうかはわからないが、やらないと言っているのなら、
交代させればよいが、やると言ってやらないのだから、一番質が悪い。
もう少しすれば、今支持している人達も気がつくことだろう。
安倍首相は憲法改正の方法を誤ったのだ。