イスラム思想研究者の飯山陽さんがYouTubeチャンネルで、自分が候補者となった
衆院東京15区補選の選挙運動中に百田尚樹に意見して怒りを買ってしまった、
と話していた。
どんなことかと言うと、この4月に行われた東京15区衆議院議員補欠選挙で、
飯山さんが百田尚樹・有本香が結党した日本保守党というところから立候補する
ことになり、公示前の辻立ち演説からはじめて、公示後は連日街頭や街宣車で
選挙活動していたのだが、ある日、この街宣車に乗り込んでいた政治団体代表の百田
尚樹が走る街宣車の中からマイクを持って春日八郎のお富さんの歌を唱っていた
というのである。
私はこの話を別の百田・有本のYouTube番組で本人が話していたのを聞いていて、
そのときは、まさかと驚いた。飯山さんは、通り過ぎる車から歌なんか唱っても
住民は私の名前を覚えてくれることはない、私の名前を連呼して下さい、と頼んだ
という。そのとき、周りの人は無言で加勢してくれないし、ましてや、一人は一緒に
唱っていたのもいたという。少し雰囲気が気まずくになったであろうことは推察するに
難くない。
私はこの話を聞いて、昔、大阪府知事選で知事の横山ノックが選挙運動しているときに、
街宣車の中でウグイス嬢に性的暴力行為を働き、後で刑事訴訟になったことを
思い出した。大阪ではこういうネタをおもろいと喜ぶ人が少なくないのである。
百田尚樹もおもろいテレビ番組制作出身で、そういうことを喜ぶ人か、あるいは
そういう人を念頭においていたのかもしれない。少なくとも、百田尚樹もそういう
一部の大阪の精神構造を共有していると思われる。
いずれにしても、問題は、百田尚樹のその並外れた下品さである。
東京でそういうことをしたら、そんな選挙活動に嫌悪を感じ唾棄する人が大半であろう。
少なくとも私はそうだ。私は、百田尚樹が街宣車で歌を唄うごとに、1000票単位で票が
減ったであろうと思わざるを得ない。
駄目を押すかのように、百田尚樹は応援演説で卑猥な用語を連発した。私も彼の
YouTube番組でそういう発言を聞いた。これはLGBT法を批判するときに百田尚樹が
必ず使うネタなのだ。例えとして、女性を性自認する男が女性浴場に入ってきた場合の
ことを話すときに、下半身の局部のことをはっきりとがなり飛ばすのだ。当人は
受けるだろうなと思っているかもしれないが、私ははっきり言って嫌気がさすし、
多くの人はげんなりしただろう。女性や子供は耳を塞ぎたくなるような言いぶりなのだ。
こうなったら演説の中身などもう関係ない。場所は江東区で、大阪ではない。
大阪の一部の人に受けるネタを東京で飛ばしても、こいつは下品な男だな、こんな奴の
党に投票なんか御免だと思った人はかなり多い、と私の感覚で思わざるを得ない。
私は百田尚樹が応援演説するごとに、飯山陽の票が1000票単位で減っていったと思う。
選挙戦後半のメディアの情勢調査では飯山陽候補への大きなうねりがあったと
報じられていたが、結果は投票数第4位で落選だった。当選したのは立憲民主党の
候補者だった。報道番組や百田・有本の日本保守党の発表では投票率が30%程度と低く、
それが立憲民主党の組織票を効果的にしたのだろう、という総括だった。
しかし、私は違うのではないかと思った。
百田尚樹が街宣車で唱ったり、応援演説で卑猥な言葉を濫発したことで、投票を
決めかねていた人の1万票は立憲民主党に行ったことだろうし、さらに1万票は棄権に
回ったと思う。もし、百田尚樹が出てこなければ、飯山さんの票は2万票近く上積み
されて、立憲民主党の表は1万票減ったことだろう。そうすると、飯山さんが4万2千票、
立憲民主党が3万票となって、飯山さんが当選していただろうと思わざるを得ない
のである。飯山さんの選挙事務所には選対本部もなく選挙の素人の戦いを強いられた
ことも災いしたことであろう。飯山さんは百田尚樹の犠牲者だった。
