このコラムについて 

 

このコラムは、元官僚として霞ヶ関・永田町界隈でお国のために汗を流していたくま先生が、なかなか外からはうかがい知れない公民の裏側を面白おかしくお伝えするものです。

 

    

コラム

元官僚のくま先生がこっそり教える

公民の裏側


(毎週土曜日更新)

目次


第1回 国会議事堂で迷子!?


第2回 恐怖の国政調査権-質問主意書とは


第3回 国会解散で万歳したいのは誰?


第4回 真の立法機関はどこ?


第5回 ありえないぞ国会研修!①


第6回 ありえないぞ国会研修!②


第7回 漢字が苦手な総理大臣!?


第8回 根回しとはー小〇進次郎に

気に入られたくま先生


第9回 スペルミスが命取り!?

条約交渉の現場


第10回 まるでシンゴジラの世界…

官邸危機管理センター


第11回 ここまでする!?がんば

れ黒子の官僚たち!
 

 

立法機関はどこですか? 

 

さて、日本国憲法において、立法機関はどこと定められているでしょうか?

…これはさすがに簡単ですよね。答えはもちろん、


「国会」


です。

ところが、


国会が本当に立法機関なのか?


言われると、元官僚のくま先生としてはちょっとひっかかるところがあります。どういうことなのでしょうか?


 

法案をつくっているのは誰? 

 

確かに国会では、日々様々な法律案(法案)が審議され、可決され、成立しています。例えば2025年の通常国会では75件の法案が成立しました。

ところで、このうち、国会議員が作った法案(※)はどれくらいでしょうか? 

 

実はたったの17件にすぎません。残りの58件、割合にして約8割の法案は、実は内閣が提出した法案を、国会において審議してもらって成立したものなのです。

 

しかも、国会議員が提出した法案は、理念や基本方針を定めた法律が多く、実際の国民の権利義務を定める重要な法律のほとんどは、内閣が提出した法案になります。

くま先生の官僚生活を振り返っても、そのほとんどは「法案」づくりや成立させた法律のご説明に追われていました(官僚の仕事は法案づくり以外にも、政策の遂行・普及、予算の獲得等いろいろありますが、私は省内でレアな司法試験合格者という出自が影響してか、同僚と比較しても特に「法案」関係の仕事が多かったです)。

条文を書き、条文の注釈書を書き、条文の解釈に関する国会議員の質問への大臣答弁案を作成していると、「あれ、立法機関ってどこだっけ…?」なるのも仕方のないこともかもしれません。

 

(※)なお、国会議員が法案を提出する場合も、実際に彼らが条文を書くことはなく、各議院に属する専門組織(衆/参議院法制局)がその役割を担っていますが、内閣と同じレベルで、細かい権利義務関係を踏まえての詳細な制度設計ができる能力があるかというと疑問なしとはしません。


 

総理大臣は「立法府」の長…!? 


総理大臣は立法府の長…!?

 

私が在職時の出来事ですが、安倍総理(当時)が「私は立法府の長」と発言して物議をかもしたことがありました。




安倍総理は三権分立もわかっていない!中学生以下だ!と当時は大きな非難にさらされたようですね。


当然単なる言い間違いでしょうが、ついつい口を滑らせてそう言ってしまうほどには、リアリティのある言葉だと思います。

中学受験では「行政権の拡大(行政国家現象)」という言葉で習いますね。行政権の拡大には、縦割り行政、無駄の発生や民主的統制の不足(国民に選ばれたわけでもない官僚が行政のみならず立法までも実質的にコントロールしてしまう)などの問題点がありますが、行政権が拡大しているからこそ、官僚の仕事が魅力的であるというのもまた事実だと思います。

私自身、やはり官僚としての一番の思い出を問われれば、


「〇〇法の〇〇条を、制度のアイデアから具体的な条文まで、ゼロから作ったこと(そして、それを母校の教授に妥当な制度設計と評価してもらったこと)」


と答えます。

官僚の魅力は自分が正しいと思った施策を自らの力で推進できることですが、それができるのも「立法」を実質的に自分たちで行えるからこそです。

もしかすると将来、法律のもとになるアイデアは国会議員が出し、具体的な条文は生成AIが作ることで、立法は原則通り国会が行い、行政は成立した法律を粛々と執行するという世界がくるかもしれません。

三権分立による相互牽制を貫徹するならそのほうが健全なのでしょうか、やはり日本の行く末を憂う優秀な人材を内閣に集めるには、行政権はある程度拡大していたほうがよいかなあと、とくま先生は思うところです。
 

 

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ブログの紹介にっこり
 
元浜学園国語科講師で自身中学/大学/院/国家Ⅰ種/司法試験とあらゆる試験を一発合格してきた自称「受験のプロ」で、現役弁護士でもある「くま先生」が、国語が大の苦手な息子のこぐま(早稲アカから27中受予定)に伴走する受験記
 

 

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