このコラムについて
このコラムは、元官僚として霞ヶ関・永田町界隈でお国のために汗を流していたくま先生が、なかなか外からはうかがい知れない公民の裏側を面白おかしくお伝えするものです。
コラム
元官僚のくま先生がこっそり教える
公民の裏側
(毎週土曜日更新)
目次
第3回 国会解散で万歳したいのは誰?
第4回 真の立法機関はどこ?
第5回 ありえないぞ国会研修!①
第6回 ありえないぞ国会研修!②
第7回 漢字が苦手な総理大臣!?
第8回 根回しとはー小〇進次郎に
気に入られたくま先生
第9回 スペルミスが命取り!?
条約交渉の現場
第10回 まるでシンゴジラの世界…
官邸危機管理センター
第11回 ここまでする!?がんば
れ黒子の官僚たち!
国会解散で万歳したいのは…
先日、高市総理が新年早々に衆議院の解散表明をして大騒ぎになりましたね。
衆議院を解散する際、議員はなぜか万歳三唱🙌をするという謎文化があります。議員の資格を失ってただの人に戻ってしまうのに、なぜ万歳…![]()
その由来は謎に包まれています。
しかし、国会が解散されると心の底から万歳を叫びたい人たち
がいます。一体誰でしょうか?
…
……
………
それは(大多数の)官僚たちです。どういうことでしょうか?
残業の温床、「国会待機」とは
国会が開会中、官僚たちには「国会待機」という名の待機命令が出されます。
これは、翌日の国会(予シリにも書いてあるように、国会は多数の委員会から構成されており、日々たくさんの議員が法案質疑だったり政策に関する質疑だったり、さまざまな質疑を行っています)で、誰がどういう質問を出すか、終業時刻には判明していないことが通常なので、それが判明し、答弁を担当する部局が決まり、自分たちの部署に質問が当たってこないことが確定するまで、(答弁作成に携わりうる多くの)官僚たちは帰ってはならない(少なくとも呼び出されたらすぐ戻って業務できる体制にしておかなくてはならない)というものです。
ちなみに、国会待機の命令が解除されることを「国会解除」といいます。
国会解除…
官僚にとっては甘美な響きを持つ言葉です(笑
私がいた頃は、国会解除の案内が総務課から来ると、若手の担当の子が、100人くらいが執務しているフロア一面に響き渡る声で「国会解除でーす
!!」と叫んで皆さんにお知らせしていました(メールでも連絡はきますが、この気持ちのこもった叫びが開放感あってよかったんですよねー
)
もちろん、運悪く自分の場所に質問主意書や国会質問が直撃
してしまったり、(私がしばしば所属していた)法案作成チームなどの激務部署に所属したりしていれば、問答無用で深夜・早朝まで働く
ことになりますが、そういう部署でなければ、早い時間に運良く国会解除されたらこれ幸いとばかりに同僚と飲みに出かけたり、早く家に帰って家族サービスをするといった光景が多く見られました。
この国会解除の時間ですが、私がいたときは概ね夜の22時くらいのイメージでした。
※今は少し早まっているようです…それでも平均で20時
また、質問が直撃すると対応が午前様…というのは昔も今も変わりませんね。
ちなみに国会待機中の時間は業務とは扱われず残業代はつきません![]()
というか、私のときは、そもそも残業しても残業代は実残業時間の2,3割しかつきませんでした(ブラックすぎる…)。
※これはあまり大っぴらには言えませんし、もう過ぎたことなので糾弾するつもりもないですが、入省早々印鑑を提出させられ、何に使うのかと思ったら、架空の勤怠帳簿の本人確認(実際の体調時間より何時間も早く退庁したことになっている
)に使われているのを倉庫から発見して愕然とした覚えがあります。(もちろんれっきとした違法行為でしょうが、国家公務員の労働基本権は著しく制約されており(労働基準法すら適用されない!私がいた頃は無限に残業させてもそれ自体は違法でも規則違反でもなかったという…)、私のいた官庁は労働組合すら組織されていない有様でしたので誰も抵抗せず長年慣行として定着していたのだと思います。当時は官僚バッシングもひどく、残業代請求訴訟でも起こそうものなら、「国民の税金から給料もらっといて残業代をねだるとは厚かましい!」と袋叩きにあうのは目に見えていましたしね…)このあたりは、私が退官後、河野太郎元国家公務員制度担当大臣の在任中にに全省庁通してかなり改善されたようです。
↑後輩に聞いても、このあたりは掛け声ばかりではなくて、本当に改善されたとのこと。素晴らしいことです。
国会が解散されると
さて、そんな悪名高い国会待機ですが、国会が解散されると当然待機の必要はなくなります。
さらに、国会が開かれていない間は、あの悪名高い質問主意書も法律上出せません。
また、国会議員の約7割は衆議院議員。衆議院が解散されると、大多数の国会議員は地元に帰って選挙運動に没頭することになります。
また、衆議院の先生方はもちろん、参議院議員の先生方も応援のために全国を遊説しますので、自然、彼らが官僚に接触して何かお願いするケースはこの時期はとんと少なくなります。
そんなわけで、国会解散~選挙中は官僚にとってはパラダイス。夢の「定時退庁」をするチャンスがあるとすればこのときしかありません。
国会解散で最も万歳したい人、それが官僚のみなさんなのです。
初めましての方はこちらから




