咲いた花の名前は…

慌ただしく走り回る医者たちや泣き叫ぶ義理の母親、その母親を支えながらも悲痛な表情を浮かべる父親、廊下にへたり込む彼の仲間たち、そして、泣き震える弱々しい彼の彼女。
そんな情景を見ながら、由樹也はひとりだけ切り離された空間にいた。
自分の時間だけが、周囲とは異なったとてもゆっくりと

今日もひとり沈んでゆく

見えない未来に憧れ

いつか誰かがここから連れ出してくれると
ずっと信じてきた

けれど、時々不安になるんだ

このままずっとひとりだったらと

本当はさ

ひとりでなんていたくない

心許せる人の側で

優しい時間に包まれて

眠りたい

連歌