The Stories of Us 

 

”海外暮らし”をキーワードに

このブログ上にみんながそれぞれの物語を綴っていく参加型コミュニティです。


クローバー海外生活を体験してみようオンライン座談会、定期開催中クローバー

右差し過去の開催レポ

 

 

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1ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話① 〜イントロダクション〜

 

2ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話② 〜謝らないということ〜

 

3ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話③〜「ダイバーシティ」ってきっとこういうこと〜

 

4ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話④ 〜「書くこと」の困難さ〜

 

5ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話⑤ 〜「得意なことを伸ばす」の呪い〜

 

6ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話⑥ 〜 他人に干渉しない 〜

 

7ADHDで偏差値35の息子がインター校で変わった話⑦〜コミュ力〜

 

の続きです・・・

 

 

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マレーシアクアラルンプール在住の

美帆です。

 

(↑名前をクリックいただければプロフィールに飛びます)

 

夫の海外赴任で来たマレーシアで3人の子育てをしています。



私の長男は注意欠陥多動性障害、ADHDです(最近は注意欠如多動症というらしいです)。



「得意なことを伸ばす」の是非、に関連した話です。



「得意なことを伸ばす」と簡単にいうけどとても難しい、とお話ししました。

教育の専門家でもない私は、既に「我が子の為に得意を見つけて伸ばしてやる」という気概を捨てました(笑)



しかし「無理してやらせない」ということはどうでしょう。



…結構簡単かもしれません。

だって、やれることだけやらせていたら良いんですから。



日本での長男に対する学校の方針は

「無理してやらせない」

でした。

日本の公立学校は市区町村立なので、地域限定かもしれませんし、もっと言えば学校限定、担任の先生限定かもしれませんが…



長男は衝動的に行動します。



授業中気がそれて教室から出てしまう。

通学路に興味をひくものがあれば、それに見入って遅刻してしまう。

先生の質問に指されていないのに答えてしまう。



全て「衝動性」によるものです。



授業中は席に座っていないといけない。

遅刻をしてはいけない。

指されてから答えないといけない。



ということを「知って」はいても、興味を引くものがあるとそれを思い出すことが難しくなり「やりたい」気持ち、衝動が勝ってしまう。



また、これは「不注意」とも関連していると思います。



何かをする時に、注意深く自分の記憶を思い出し、やってはいけないことややらなければならないことを思い出すことが「不注意」によって出来ません。

やった後に「あ!間違えた!」となるのです。

不注意によって忘れ物も多い。

宿題もすぐに忘れます。



彼と話すと色んなことが「わかって」いるように先生も感じるのに、そのとおりにやれない。



「本当はわかってなかった。

わかっているフリをしているだけなんだ。

出来ない子なんだな」

と判断されてしまいがちでした。




その対応として

「この子はADHDだから仕方ない」

となった途端、

「出来るようになる」道は閉ざされてしまいます。



「だって彼はADHDだから仕方ない」



教室から出ても仕方ない。

いきなり答えても仕方ない。



勉強ができなくても

友だちとうまくやれなくても



「出来ない子なんだから」。




これは息子にとって、残念なことでした。



いつまでも彼は出来るようになりませんでした。



でも本当に出来ないの?

小学4年の息子を見ながら、私はそう思っていました。



実は、長男は小学校1年の時は授業に出られていました。

まだ診断される前です。

担任の先生は、長男が出来ないとは考えておられませんでした。

感情的ではなく指摘してくださり、長男は例え教室から飛び出してしまっても自力ですぐに思い出して教室に戻れるようになっていました。

「今月は教室から出ていませんよ!おうちでも褒めてあげてくださいね」などと言ってくださっていました。




しかし、2年生で担任の先生が変わり、またADHDと診断されたため

「無理にやらせないようにしましょう」

と、方針が変わりました。

それは4年生まで続きました。

得意だった算数も、授業に出ていないためどんどんわからなくなっていきました。



1年生時のことがあった為、私は「本当は彼は出来るのではないか」と考えていました。



5年生に進級し、担任の先生がとても熱心な先生に変わりました。

ADHDについて大変勉強してくださって

「今なら彼はやれば出来ると思います」

と、指導してくださいました。

息子は授業中教室から出なくなりました。

5年生の5月のことでした。

1ヶ月で彼は出来るようになりました。





今の学校の彼に対する接し方の基本は


「No excuse」


です。


言い訳は許されません。



そして出来たら褒められます。

褒められると「Merit」(日本語に直すと「賞」に当たるでしょうか)が貰えます。

実際の小テストの成績や、授業中の態度など、褒められる度にMeritが貰え、その数が成績表と直結しています。

また、Monthlyでの表彰や寮内での表彰などで可視化されています。

毎年学年末には各教科の1位や、特に良い成果物を出した生徒が表彰され、トロフィーを貰えます。



悪い態度や成績も同じように(こちらは内容に応じて何種類かあり、3つ溜まると補習や一発アウトで補習、先生呼び出しや保護者呼び出しなど色々あります)可視化されています。


これは他の生徒と全く同じです。



この「可視化」は他の生徒にもとても有効です。

他の生徒は長男に対し不公平感を持ちません。

長男がやったことは彼自身に返る。

成績に繋がっている。

それだけです。



もちろん、

入学時点で中学生であったことも関係しています。




授業中のルールは、すぐに出来るようになりました。

その他のマナーなども「出来るようにしていきましょう」と指導してくださっています。



これらは中学から高校に変わったことでも変わりました。

今までより

「no excuse」

が増えました。



「社会に出たらADHDだということは何のexcuseにもなりません。

彼はそれを少しずつ覚えていく方が良いのです」



そう言われました。



なにもかも「無理させない」ということは、もしかしたら「努力して身につけられたことが身につかない」かもしれません。



始める時期や程度のさじ加減はあれど、時には「やらせる」ことも必要、と考えています。

 

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