いよいよ、今回から最も本格的な方法、重回帰分析(じゅうかいきぶんせき)による売上予測の方法についてお話ししていきます。

この方法は、まず既存店の立地を調査して、立地と売上についての関係式(これを「モデル」と呼びます)を作ります。この関係式に、必要な立地データを入力して、売上を予測するというものです。

44

では、順を追って説明していきます。

まず、関係式のことについて、知ってもらわなければなりません。

この関係式とは、Y=a×X1+b×X2+・・・ のように、多項式で表わされます。一般的には、Yは目的変数、X1X2・・は説明変数と言われますが、ここでは、Yには売上データ、X1X2・・には立地に関わるデータ、例えば、商圏人口とか、視界性評価等が入ります(図1)。

 

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図1

a、bは、それぞれの立地データに掛ける係数というものです。この係数を求める作業のことを「重回帰分析」と言い、出来上がった関係式を「売上予測モデル」と言います。

 

次に、知っておくべきことは、YX1、X2・・・に使うデータは、既存店の立地の数だけあるということです。30店の既存店をこの分析のために使う(30店をサンプルにする)のであれば、Yも30個、X1X2も30個用意することになります。

ちなみに、X1X2・・・と「・・・」が入っているのは、説明変数がいくつもあるということです。最低でも10個、最終的に使わない変数もありますから、その数は100個になることも珍しくありません。

すると、30店をサンプルにするというだけで、30×100=3000個ものデータを集める必要があります。最初に、この分析をする人にとっては、途方もない量の数字を相手にしなければならず、たいへんだと思われるかもしれません。

しかし、あまり驚くまでのことはありません。

というのも、たとえどんなに大量のデータがあったとしても、計算して、答えの係数を出してくれるのはコンピュータであって、それは瞬時にやってくれます。

そして、いくら大量のデータでも、それらがあまり意味ないものであれば、そのほとんどがはじかれてしまいます(その意味は後述)。分析では、意味のあるデータを見つけ、使っていくことが重要なことです。

 

分析が、終了して、X1、X2・・・(各種立地のデータ)とY(売上)との関係がわかったとします。つまり、X1X2・・・それぞれの係数が計算されたとします(コンピュータが計算します)。

すると、今度は、売上予測を求めたい物件の立地のデータを調査してくれば良いのです。商圏人口が必要なら、その商圏人口を。視界性評価が必要なら視界性評価のデータを求め、その関係式のX1X2・・・に代入していきます。

すると。それぞれの係数がわかっているのですから、Yの値が立ちどころに計算できますね。

これが、予測売上になります。

 

さて、概略は以上ですが、ここからは、手順を追って説明します。

手順1 データ表を作成する

 

 

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図2

まず、図2のような表を作ってください(マイクロソフト社のエクセルがお勧めです)。

 

縦軸に、No、そして、サンプルにする店の店名を記入します。30店あれば30行分用意します。

横軸の方向には、目的変数の売上、そして、説明変数として、いくつもの立地に関する名称を列挙していきます。この表には、商圏人口、視界性評価、○○と記入してあります。

手順2 目的変数(売上)を決める

これは、平均月商であっても、年商または平均日商であっても構いません。また、できるだけ最近のデータを使ってください。一度グラフ化しておいて、この数か月以内に大きな売上の上昇、または下降がある場合は、必ずしも年間を通した平均である必要はありません。何らかの立地要因(競合店が出店した等)が働いたと考えて、最近のその数か月間の平均を用いるようにします(図3)。

 

 

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図3

また、目的変数は、売上に限るわけではありません。来店客数でも良いですし、入館者数、入場者数でも構いません。さらに、時間帯別の売上や来店手段別の売上、客席のある階層別売上、商品カテゴリー別売上など細分化されたものでも目的変数にすることができます。

 

手順3 説明変数の骨を作る

最初の説明変数(第一変数)を見つけることを、説明変数の骨(以下、単に「骨」と呼びます)を作ると言います。骨は、業種業態によって多少の違いはあるものの、たいていは商圏規模を表すような項目を見つけるようにします。例えば、商圏を設定して、その中に住む人口、あるいは世帯数を用います。また、年間小売販売額などその街の商業集積力が説明変数になる場合もあります。この骨は、売上と最低でも0.4以上の相関(12月号参照)があることが望ましいでしょう。

 

手順4 理論値を出し、残差を求める。

 

 

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図4

骨が見つかると、この骨を元にして、理論値を計算することができます(図4)。理論値は、簡単な1次式、Y=a×X+b になります。この場合、Xは骨のデータです。

aやbは、データがあれば計算して出すことができますが、エクセル表でしたら、それぞれSLOPE関数、INTERCEPT関数を用いて算出することができます。

目的変数から理論値を引いた値を「残差」と呼びます。この残差を計算しておきましょう。

 

 

手順5 第二説明変数を見つける

骨が見つかったら、第二説明変数の探索です。(この二つ目からは、重回帰分析専用のソフトウェアが必要になります。MSエクセルをお持ちの方は、「分析ツール」をアドインに加えるとこの分析ができるようになります。詳しくは、マニュアルをご参照ください)。

 

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図5

この変数は、最も残差の大きいサンプル(店舗)に着目して見つけます(図5の例では、E店になります)。残差が大きいということは、それだけ、骨だけでは説明できない大きな原因があることになります。そして、その原因として考えられそうな立地要因を見つけたら、最初の表にデータを入力していきます。

 

手順6 重回帰ソフトの設定と実行

 

 

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図6

「分析ツール」の中には、「回帰分析」というソフトウェアが入っていますのでこれを起動させます。すると、Yの範囲、Xの範囲を指定する画面が出ますので、これらを指定して(図6)から、実行をします。すると、係数が計算されて出てきます。図7の「概要」にあるとおり、この表を用いて実行すると、商圏人口には25.68、視界性評価には122.02という係数が求まったことがわかります。

 

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図7

 

手順7 理論値を出し、残差を求め、以降これを繰り返す。

係数が求まったので、理論値を計算することができます。すると、先ほどと同じように残差も求まります。この時、求まった残差が、先ほどの残差より小さくなっていれば、この要因を第二説明変数として良いことになります。もし、良いならば、次の第三変数の探索に入ります。

この辺りが、とても肝心なところですので、次回にもっと詳しく説明しましょう。

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中

 

 

 




 

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引用元:重回帰分析による売上予測法 連載35


 

これまで、平均予測法から始まって、もっと確かな売上予測の方法として、回転率法、キャッチ率法、市場シェア率法、範囲限定法、そして、比較法までさまざまな方法を説明してきました。

そして、それぞれに長所と短所があることも説明してきました。

 

 

これらの長所に共通していることは、簡潔、簡単な方法であることです。しかし、共通した短所もあり、それは、精度が高くなりにくいという点です。もちろん、経験を踏んでいくうちに精度を上げられる人もいるでしょう。ですが、経験のない人、少ない人には難しいことです。

 

社長の店舗開発

 

そこで、今回から3回にわたって、そうした経験の少ない人でも比較的容易に精度の高い予測ができる“本格的な方法”=“重回帰分析による売上予測モデルの作成”についてお話ししていきましょう。

 

今回は、この方法の中身についてお話しする前段階として、これを行うにあたっての注意点、心構えなどについて述べておきます。

 

というのも、この方法は、あまりにも強力かつ説得力の高い方法であるために、間違った姿勢、間違った順番で行うと、全くの徒労に終わるか、多大な損失を抱えることになりかねないからです。効果が出る薬ほど、その副作用も大きいというのとよく似ています。

また、重回帰分析は売上予測の方法としては、禁断の果実、劇薬と言えるかもしれません。

経験豊富な人の指導の下、一つ一つ慎重に行っていく必要があるということです。その特性、副作用について熟知していなければ、思わぬ火傷を負うことになりかねません

 

単に、統計解析の手法として「数学的」に知っている人が作るというのもいけません。「数学的」に答えを出すということと、実用性のある確かな売上予測の手段を作り上げることは違うからです。

統計用語や統計の仕組みを知っているだけでは、売上予測はできません。売上に関係する立地の要因について様々な経験や深い考えを持っていて初めて豊富で正確なデータを得ることができるようになります。

もちろん、その反対に、立地については人一倍よくわかっているが、数学やパソコンは苦手という人にもこの分析には不向きです。

要するに、立地についてよく考え、経験した上でパソコンを使いこなせることが大事なのです。

 

 チェーン企業内での役割

 

売上予測をする人は、原則として、店舗開発をする人であってはなりません。できれば、社長直轄、あるいは社長・経営者の特命を受けた「売上予測をする人(部署)」であることが望ましいのです。

 

矛盾するミッション図2

 

 

それは、なぜかと言うと、店舗開発にはたいてい異なる二つのミッション(社命)が与えられているからです(図2)。1つは、「数多くの店を出すこと」、もう1つは、「売れる店・利益の出る店にすること」です。

ですから、仮に、店舗開発をする担当者が、店舗の数に重きを置いた場合、それは、賃料を含めどんな条件であっても契約することを優先するようになるでしょう。その結果、立地や売上予測は後回しにされ、結果的に不振店を多く出すことになります。

それとは反対に、売上や利益に重きをおくようになると、売れなかったり、利益が出なかったりした場合を恐れるあまり、出店することに臆病になります。 その結果、チェーン企業としてなかなか出店が進まないという事態が起こります。

売上予測をする人は、店舗開発の担当者に代わって、冷静に売上と利益を予測する人です。

ですから、この人がいて、売上と利益の予測をしてくれるならば、店舗開発の担当者は安心して本来の業務に専念することができるようになります。

また、店舗が開いてからその運営を任される部門の人達がいます。営業部とか運営部と言われる人達です。この人達にとっては、毎月の売上予算を達成していくことが課せられたミッションです。もし、過大な売上予算を作られてしまうとその達成は難しくなります。勢い本当に売れそうな物件以外は開店して欲しくないという思いがあり、中には、店舗開発の担当者が見つけてくる候補物件に対してことごとく異論を唱えるため開発が円滑に進まない。そういう事態も未然に防ぐことが、売上予測をする人がいることで防げます。

要するに、売上予測をする人は、店舗開発における中立公正な部署になるわけです。

 

 売上予測をする人の3つの資格

こういった仲裁的役割、ジャッジするような役割を担うからには、売上予測をする人は誰でもなれるというものではありません。通常の社員に要求されるモラルの高さや人間性は言うに及ばず、次のように3つの重要な資格が必要です。

 

  • 店長以上の経験があること
立地と業種業態は密接な関係があります。Aという業種業態にとって好立地であっても、それに良く似たA‘という業種業態には向いていないということもあります。また、立地上問題がないにも関わらず売上が改善せず不振店になってしまっている、反対に、難しい立地であるにも拘わらず高い売上と利益を確保している、こうした現象もよく起きることです。

これを見極めることができる人は、実際にお店の営業を熟知した人です。

 

  • 年齢40歳以下で考え方に柔軟性があること
立地を考え、売上予測ができるように、数字とパソコンを操るには柔軟な発想ができるひとでなければなりません。常識的考え方ばかりや過去の経験にばかり縛られて新しい発想が生まれてこなければなかなか分析ができるようにはならないでしょう。

 

  • 社長・経営幹部を前にしても臆せず冷静に説明ができること(度胸があること)
せっかく分析し、立地と売上予測について答えが出せたとしても、それだけで終わりではありません。社長、経営幹部、そして店舗開発部や営業部などの関連部署の先輩方に納得してもらわなければなりません。

「こういう結果が出ました」だけでは決して納得しませんからきちんとその理由、背景

を説明し、心から納得してもらわなければなりません。説明しないで、売上予測の数値が独り歩きしてしまうと、その予測売上になった条件(例えば、TGからの視界性が2以上であること、間口が10m以上確保できること等)が無視されることになり、思わぬ失敗を招きます。物件の長所、短所に関する情報を全員が共有している必要があります。

 

これら3つの条件を兼ね備えた人材はなかなかそういるものではありません。では、どうするか、若い社員と年配の上司で分担するようにタッグを組んでもらうことです。

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個人が行う場合

さて、以上はチェーン企業の中の話でしたが、個人が自分の店舗開業のために、売上予測を本格的に行うという場合はどうしたら良いでしょう。

資格は、起業を目指している時点で、すべてクリアーしています。あとは、実際に、売上予測をするための分析を行うかどうかだけです。もし、パソコンを扱えない、お店の営業もしたくないというのでしたら、起業それ自体が危ういので、おやめになることをお勧めします。

集めるべきデータにやや異なる点がありますが、この点は次回以降に説明しましょう。

 

以上で、本格的な売上予測をするにはどうしたら良いか、その前提条件がおわかりいただけたと思います。

最後に。これは、知力勝負だけの事務ワークでは決してありません。野外、街中等をたくさん歩き、車で走り実際の立地を思考しながらたくさん見なければ始まりません。時に朝も昼も夜も深夜も、時に平日も日祭日も、時間を費やして調査する必要もあります。

決して楽な仕事ではないことを肝に銘じておいてください。

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生56才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 

 

 

 




 

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引用元:本格的に売上予測をするには 連載34 


 

 

前回は「比較法」での売上予測、そのStep3までを説明しました。後編は残りStep4から7までを説明します。

Step4.それぞれの立地要因に、ウェイトを与える。

ウェイトは、「係数」または「重み」のことで、文字通り、それぞれの立地要因の重みを表します。

この値は、最初はすべて「1」にします。そして、それぞれの立地要因の数値の大きさに応じて、数値が大きければ、小さめの値に、その数値が小さければ大きめの値にしておくことがコツです。

たとえば、図1で、マーケットの中で「小売業年間販売額」は、数値が133~615といずれも3ケタと大きいので、ウェイトは「1」ですが、「商圏の質」では、1~3の値なので、ウェイトは10にしてあります。他の立地要因でも1ケタの数値に対してはウェイトが10にしています。

 

比較表

図1

 

Step5.既存店の店舗別に、立地得点を付ける。

この立地得点は、店舗別に計算します。これは、それぞれの店の立地要因とウェイトを掛け合わせ、その合計を出すことです。

比較法

図2

 

たとえば、図2では、A店の立地得点は1059になっていますが、これは、A店の「商圏人口(百人)」80にウェイトの1を掛けて算出した数字に、「小売業年間販売額」615にそのウェイト1を掛けて加える。これに、さらに「商圏の質」3にウェイトの10を加える。これを、同様に続けることで、立地得点を求めます。

この表では、他にはB店700、C店532、D店383 というように求められています。

 

さて、手計算でやるとたいへんな計算でも、表計算シートを用いるとたいへん簡単になります。エクセルで行う場合は、SUMPRODUCT関数を使います。即ち、立地得点を算出するセルに=SUMPRODUCTA店の列範囲、ウェイトの列範囲)を記入します。この時、ウェイトの列範囲の列は$で固定しておきましょう(その理由は、エクセルのマニュアルを参照してください)。

 

Step6.立地得点と売上との関係式(係数)を求める。

 

比較表で、高い精度の関係式を作るには、コツが要ります。それは、適正なウェイト値を使うことです。

では、どうやってそうしたウェイト値を求めたら良いでしょう。

これには、立地得点と売上との「相関係数」を求めることでできます。

 

 

相関

図3

 

3にあるように、これにはCORREL関数を用いてください。この関数を使うと、-1から1までの値が算出されます。1に近いほど、立地得点と売上がひじょうに相関していることを示します。ここでは、その相関係数は0.948ですが、ウェイト値を変化させることでこの値は変わります。

つまり、相関係数が高くなるように、ウェイト値を変化させてみるのです。そして、これ以上、大きくならないところで止めます。

ウェイト値が決まったら、立地得点と売上との関係式を求めます。

関係式は、売上=A×立地得点+B という形式になります。この式のABを求めます。

 



図4

 

求め方は、図4の通りです。ASLOPE関数、BINTERCEPT関数を用います。注意点は、売上の行と立地得点の行を入れ間違えないことです。

図4では、A=2.836、B=380.1 と算出されました。

 

Step7.予測対象物件の立地得点を出し、売上予測する。

最後に、予測物件の立地得点と出来上がった関係式を用いて、売上予測を行います。

図2で、予測物件の立地得点は、702と出ていますので、関係式に代入すると次のようになります。

売上(予測値)=2.836×702+380.1

=2370.972≒2370(万円/月)

 

以上の7つのステップで、売上予測ができます。ちょっとしたコツさえつかめば、誰でも簡単にできます。

 

比較法の長所と短所

比較法の長所の第一は何と言っても、「多くの立地要因」を取り入れて予測ができることです。数値化して計算しますので、説得力もあります。慣れてくれば、少ないサンプルでもじゅうぶんな精度で売上予測することもできます。

ただし、反面、間違った立地要因であったとしても計算ができてしまいますので、重要な要因を見逃したりして、とんでもない低い、あるいは高い予測値が出てしまったりもします。

こういう長所・短所を心得ておきながら、売上予測を練習していきましょう。

 

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(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
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引用元:比較法で計算する売上予測の基本(後編) 連載33


さて、今回から、コンピュータを駆使して、新店の「売上予測」を行っていく方法を説明していきましょう。

コンピュータと言えば、難しそうに思えるかもしれませんが、エクセルなどの表計算ソフトを使ったことのある人なら、容易にわかるはずです。もし、扱ったことがなければ、これを機会にして、コンピュータに慣れ親しんでください。

まず、手始めに「比較法」での売上予測をやってみましょう。

 

比較表

 

 

簡単に、概略を言いますと、「既存店の立地を数値化したものを元に、立地得点と係数を求め、新店の立地得点から売上予測するもの」です。

その順番を具体的に書くと次のようになります。

 

Step1.既存店を選ぶ

Step2.立地要因をリストアップする。

 

Step3.既存店それぞれに、立地要因の点数をつける

Step4.それぞれの立地要因に、ウェイトを与える

 

Step5.既存店の店舗別に、立地得点を付ける

Step6.立地得点と売上との関係式(係数)を求める

 

Step7.予測対象物件の立地得点を出し、売上予測する。

 

 

この7つのステップで、予測ができます。ちょっとしたコツさえつかめば、誰でも簡単に、売上予測をすることができるので、初心者向けにはとても良い練習になります。

 

それでは、それぞれのステップについて、詳しく説明していきましょう。

 

Step1.既存店を選ぶ

比較法を行うためには、既存店が4店舗以上あり、それぞれの月間売上が6か月以上あることが必要です。仮に、それより少ないような場合は、同業他社の店であっても構いません。ただし、既存店同様、月間売上がわかっていなければなりません。売上でなく客数でも構いません。

6か月というのは、最初の数か月間は、開店景気で売上が通常より良かったり、あるいは逆に、認知が浸透していないため悪かったりする場合がありますので、この期間を除いて月間売上の平均を求めるたまです。ですから、仮にデータが1か月分しかない場合はでも、この補正ができるようなら、それでも十分です。

また、既存店が多くて、数十店ある場合では、その一部、10店舗程度を用いれば良いでしょう。また、数年分以上の月間売上があっても、最寄りの1年間の平均売上が用意できれば十分です。ただし、その1年間の中で、環境や営業方法などの激変があったような場合は、その月以降の月間売上の平均を使った方が良いでしょう。

既存店の選び方ですが、これは、ランダムにします。そして、選んだ店(サンプル店)の売上の平均と全店のそれがほぼ同じになるようにしてください。つまり、売れている店だけ選ぶ、売れていない店だけ選ぶということはしないようにしてください。

 

Step2.立地要因をリストアップする。

比較法の中で、一番、重要なStepです。

なぜなら、ここで考えうる大事な立地要因を用意できなければ、どんなにやっても高い精度の売上予測はできないからです。精度のカギはこの段階で決まると言っても過言ではありません。

とは言っても、慎重になる必要はありません。必要そうな立地要因は後で加えたり、減らしたりできます。

では、どういう立地要因をリストアップすればいいでしょう。

これには、4つのカテゴリを網羅するようにします。

4つのカテゴリとは、①マーケット、②TGとの位置関係、③建物・土地評価、④競合状況です。

  • マーケットとは、店の周辺にどのような人がどれだけいるかということを意味します。
商圏を設定できるなら、その商圏の規模や、商圏の質(住民の年齢層や教育状態など)のデータを集めると良いでしょう。また、500m圏、1km圏、・・・、或いは、時間圏を設定できるのであれば、車で5分圏、10分圏でのデータ収集もありです。

 

 

時間圏

1

これは、物件を中心に車を使って5分でいける時間圏を算出し、その範囲内のデータを表したものです。商圏の規模や商圏の質を表すために使います。

 

データは、国勢調査や商業統計調査、市区町村発行の人口統計があれば良いのです。

ただし、こうしたデータは、必ずしもWEBサイトで収集できるものではありません。この際、弊社が使っている「統計てきめん」など手頃なソフトウェア(一般的にGISと呼ばれています)を予算に応じて揃えることをお勧めします。

  • TGとの位置関係
すでに、TG(ティージー、交通発生源)とは何かについてはお話ししましたが、このTGとTGとの間には、動線が形成されます。店がこの動線上にあるかどうか、動線上を行く人やTGそのものから、店舗の視界性が良いかどうか、といったことを数値で表します。

また、店が周辺の人々の日常行動方向に沿っているか、ポテンシャルクラスター(需要集合体、高層マンションや)が店周辺にあるかどうか、あるなら規模はどうかということも、データ化しておくと良いでしょう。

こうしたデータは、①マーケットから、どれだけ効率良くそのポテンシャル(潜在需要)を引き出すことができるかを表す指標となります。

  • 建物・土地評価
これは、店側の受入れ態勢が十分であるかどうかを表す指標です。

お客が来店しても、店が狭かったり、レイアウトが悪かったりすれば、お客のニーズをじゅうぶん満たすことはできません。車客が多い郊外店舗であれば、駐車場の広さや間口の広さ、車線からのIN、OUTの良好度なども影響してきます。

  • 競合状況
同業店が店の売上に影響することは確かなこととして知られています。ですから、周辺にどのような同業店がいくつどの辺りにあるかなどをデータ化して使います。

ただし、同業店は、自店にマイナスの影響を与えるからと言って、マーケットが縮小するわけではありません。それどころか、マーケットが拡大することが知られています。その上で、同業店と自店が競争することによって互いの売上が決まることは前提として知っておいてください。

 

Step3.既存店それぞれに、立地要因の点数をつける

以上のように、既存店を選び、立地要因をリストアップして、それぞれの点数を付けて一覧表にしたものが、図2になります。

次号では、この表からどのように売上予測に結び付けていくのかについてお話ししましょう。

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
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「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号)

 

 




 

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引用元:比較法で計算する売上予測の基本(前編) 連載32


 

これまで、平均予測法、回転率法、キャッチ率法、そして市場シェア率法を話してきました。

それもそれぞれ一長一短がありますが、ひと通り身に着けておくといろいろな機会で役に立ちます。

 

データ

 

さて、今回は、「範囲限定法」という方法についてお話ししましょう。

 

この方法は、どちらかというと経験鍛錬法と呼んだ方が良いかもしれません。というのは、この方法が身につくまでには、売上予測をたくさん経験する必要があるからです。

だからといって、決して、非科学的でもなければ、非論理的で低精度ということはありません。むしろ、実践的で精度も高く、世の中には少ないながらこの方法に長けた人を私はたくさん挙げることができます。弊社の調査スタッフはもとより、弊社がお手伝いしてきた企業や個人の多くはこのやり方ができます。

 

範囲限定法の概略

 

この方法は、名前のごとく、次々に売上予測の範囲を限定していくというものです。

つまり、これ以下の売上はあり得ないだろうという最小の値と、反対にこれ以上の売上はあり得ないだろうという最大の値の二つを設定するところから始めます。そして、立地上、あるいは商圏の規模や質についての良好な点があるたびに、最小の値より少し上げて行きます。同様に、問題となる点があるたびに最大の値から少し下げて行くのです。そして、最終的に、これ以上、上げることはできないという低い方の値と、これ以上、下げることはできないという高い方の値が求まります。この二つが一致すると良いのですが、なかなか一致するものではありません。したがって、売上予測値は、○○~○○円というような範囲形式で算出されます。

 

範囲限定法

 

 

範囲限定法のステップ

 

ステップ1 最小の値と最大の値を決める

このためには、まず、業種業態に応じた標準的な売上を知らなければなりません。例えば、一般の飲食店は、坪(33平方メートル)単位面積当たり5万円~30万円/月の売上があるとされています。ですから、20坪の飲食店ならば、最小の値は月商で100万円、最大の値は600万円ということになります。

これが、チェーン店になるとその値は2~3倍高くなるのがふつうです。また、時流に乗った商売、例えば一時期のつけ麺店や立ち呑み屋などは同様に売上げを高く見込むことができました(全盛期のマクドナルドでは坪当たり50万円/月が珍しくありませんでした)。

この業種業態ですが、なるべくその違いがないように絞ります(すでに自身で複数出店しているならば既存店を用います)。例えば、ラーメン店なのか、うどん店なのか、そば店なのか。同じ、そばでも、立ち食いそばなのか、客席があるのか。また、郊外か、街中か、SC内かという分類も必要です。

できれば、内装や外装の違い、あるいは、麺の種類の違い、鍋料理の有無、アルコール提供の有無なども分類していくと良いでしょう。

そうしてから、特定した一つの業種業態についての最小から最大に至る売上データを揃えます。最低限、10店舗以上の実在の店であることが望ましいのです。

ところで、売上はどのように知ることができるでしょうか。少なくともどこにでもあるような情報ではありません。最も信頼がおける方法はオーナーまたは店長と親しくなって教えてもらうことです。

それができなければ、店舗観察を昼または夜のピーク時間帯に行うことです。そうして、客数や客単価をチェックすることです。

 

ステップ2 最小より良い点を見つける。

ここからは、売上予測の作業に入ります。すでに最小の売上の店(最小店)が分かっています。この店に対して予測すべき物件(予測物件)が、立地上どういう点で優っているかを良く観察します。

例えば、最小店より、駅などのTG(交通発生源)に近いところに立地しているならば、売上を少し上げます。ではこの時、どのくらいの範囲で上げたら良いでしょうか。

もちろん、立地の重要性にも関わって来ますが、一つの目安として、最小の売上と最大の売上との差異(レンジ)の10分の1を使うことをお勧めします。例えば、両社が100万円と600万円である場合、そのレンジは500万円ですから、50万円ずつ変化させてみます。

 

ステップ3 最大より問題となる点を見つける。

これは、ステップ2と反対のことを行うステップです。できれば、この二つのステップは、交互に行うことが望ましく、一方を増やしたら、次はもう一方を減らすという具合に進めて行きます。

一番良くないのは、片方だけどんどん上げて行ってしまってから、もう一方をまた次々に下げて行くというようなことです。

 

さて、この二つのステップで、どうして、売上予測ができるのでしょうか?

そのメカニズムはこのようになります。最小の売上より、予測を上げるためには必ず立地上の理由が必要です。当然、この同じ理由は、最大の売上の店にも適用する必要があります。そして、適用した時に矛盾が起きてはいけないのです。

先ほどの例で言えば、最小店は駅(TG)から300メートル離れているが、予測店では150メートルだから、売上は最小店より高いと考えたとします。ところが、もし、最大店は駅(TG)から500メートル離れていたとします。これは、明らかに矛盾です。つまり、この考えは、この業種業態には適用できないと言えるのです。

 

ステップ4 他の店との比較も試みる

もちろん、集めてきたすべての店の立地について考えを深めていくことができれば良いのですが、なかなかできないというのが実情です。そこで、1店でも2店でも良いので、売上予測の範囲が狭まってきた時に、これらの店と比較してみます。もちろん、多少矛盾点が生じるかもしれませんが、それにあまり考えを左右され過ぎないことです。

ポイントは、最小店よりどれだけ高くなりえるか、最大店よりどれだけ低くなる可能性があるかに傾注することが大事です。

 

ステップ5 自分の出した結論に間違いがないかチェックする。

ステップ2~4を繰り返しているうちに、これ以上は無理だと思える範囲まで、売上予測値を縮めてくることができます。これが、結論です。しかし、もう一度、この結論に至った考えの過程をチェックしてみましょう。さきほどのように矛盾が生じていないか?誤った立地の概念を使っていないか?通行量や商圏人口などに過度に期待していないか、などのチェックです。

できれば、自分が考えた過程を、親しい友人や同僚に話してみて、その人達に客観的に聞いてもらうようにします。他の人を説得できるほどじゅうぶんな根拠と考え方が出来ているなら合格です。

 

ところで、こうして予測した売上は、「経験と勘」とどう違うのか。それは、冒頭で書いたように、高い精度で予測できるようになることです。それは、立地上のきちんとした説明の筋道を立てながら行う予測だからです。これは、単に担当者が根拠もなく頭に浮かんだイメージだけで行う「経験と勘」とは全く異なることを意味しています。また、今まで紹介した3つの方法のような、一見合理的・客観的に見えてその内実は「経験と勘」に限りなく近いやり方とも、もちろん違います。

範囲限定法は、もっとも簡単なようでいて、一番苦しみながら予測する精度の高い手法なのです。

この手法ができるようになれば、あなたの立地選別眼はプロ並みになります。

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生55才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:もっと確かな売上予測の方法(その4)範囲限定法 連載31


前々回は、回転率法、前回はキャッチ率法を紹介しました。そして、これらは、簡単に計算できて、説得力もありますが、実際は出店に際した「甘い思い込み」を作ってしまう側面を持っていると話しました。

 

今回は、そうした「甘い思い込み」が作られにくい売上予測の方法についてお話しします。

市場シェア率法と一般に呼ばれている売上予測の方法です。

この仕組みも至って簡単で、要するに、①どれだけの市場(マーケット)規模があるか、と②その市場からどれだけシェアがとれるかを別々に計算して、最後にその二つを掛け合わせるというものです。

①どれだけ市場(マーケット)規模があるか

財団法人食の安全・安心財団 附属外食産業総合調査研究センター(以下、センター)によれば、平成23年の外食産業の市場規模は23兆475億円とのことです(図1)。

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その内ファストフードやファミリーレストランなどを含む「飲食店」だけでは12兆6526億円だということです。これが日本全体の事実上の外食市場です。

これを、日本の総人口1億2776万人(*)で割ると、「人口1人当たりの飲食店利用金額」がわかります。計算すると9万5700円です。この値は、架空の数字でもなければ作った数字でもありません。ここが大事なところです。今までの方法での回転率やキャッチ率はいずれも、統計的な確たる理由があったわけではありませんでした。でも、この第三の方法では、こうした確かな数字を使うことができます。

 

 

ということは、例えば、人口3万人の町があれば、この町は、9.57万×3万で、=28.7億円の市場規模が存在していると合理的に説明することができるわけです(もちろん、この場合、町からの流出と町への流入の人口がそれぞれゼロであるか、あるいは等しいことが前提です)。

ところで、センターは図1のようにさらに詳しく統計をとっています。日本全体で、すし店は1兆2857億円、そば・うどん店は1兆640億円。居酒屋等で9936億円です。

先ほどと同様に1人当たりに換算すると、すし店は1万100円、そば・うどん店は8300円、居酒屋等は7800円です。

そして、さらに計算すると人口3万人の町なら、すし店の市場(マーケット)規模は3億300万円、そば・うどん店で同2億4900万円、居酒屋等の店で同2億3400万円ということになります。

どうです。わかりやすいでしょう。

 

 

問題はこれからです。

地理的に、どこまでの範囲を選択するかです。

仮に、その町の周囲が山や海で囲まれていて、流入と流出が同じなら難なく、その町だけを選択すれば良いのですが、実際はそんな簡単ではありません。

とりわけ都市部に近づくほど、町と町の境界はあいまいになってきますし、流出超過または流入超過の町が多くなってきます。

この解決法は限られています。まず、第一は、なるべく広い範囲を選択することです。

そうして、明らかに分断している山や川、海、広い空間があるところで境を設定することです。そうすると、市全体になってしまったり、時には、県全体になってしまったりもします。

第二の方法は、そうした物理的な分断や空間を無視して、単純に半径○○kmと円を描いたり、時速40kmで15分走行できる範囲というようにしてしまうことです。

 

 

そして、その範囲内の人口を算出します。これに、カテゴリー別の「1人当たりの飲食店利用金額」を掛ければ、一応、市場規模を計算できます。ちょっと乱暴のような気がしますが、実務的にはこうするしかありません。

②どれだけシェアがとれるか

実は、これが一番の難題です。

ある米国の経済学者は、大型小売店の客の取り合いは、店の売り場面積に比例することを提唱しました。また、別の学者は、店までの距離の二乗に反比例することを加えるべきだと主張しました。20世紀初頭の頃です。

要するに、「お客は売り場面積が大きくて品揃えの良い店に行きたがり、店までの距離が遠くなればなるほど行きたがらなくなる」というものです。これって、とても説得力があるような気がしませんか?

この考え方は多くの経済学者に受け入れられ、今でも「重力モデル」とか「ハフモデル」とか呼ばれて日本でもよく使われている有名な売上予測方法の一つです。

 

 

この考え方は、要するに、大型店同士が市場の中でどれほどのシェアを確保できるか、その計算を行うことにつながっていきます。

しかし、このシェアの出し方は、「大型店」にのみ有効でして、飲食店のような小型店にはほとんど通用しません。

ですから、飲食店用のシェアの出し方を考えなければなりません。

一番簡単な方法は、店数の逆数をとることです。つまり、5店舗あれば5の逆数、1÷5で0.2がシェア率ということになります。2店舗なら0.5ですね。

このやり方は、どんな店も同じ魅力度があるという前提に立っています。でも、実際はそういうことはありませんね。魅力度の高い店もあればそうでない店もあります。

ということになると、魅力度を数字にしなければなりません。

 

その一例を示します(図3)。

000a-share

 

まず、比較する店舗を決めます。もちろん、①で選択した範囲内で自分と同じ業種業態の店をすべて挙げることです。ここでは5店舗+「私の店」ということにしましょう。

そして、お客が店を選ぶ基準となりそうな項目を列挙します。少なすぎても多すぎてもいけません。この事例では、「A客席数得点」、「B味・品質」、「Cサービス」、「D清潔さ」、「Eその他のバリュー」の5つにしました。客席数は多いほどお客が入れるので、最も客席数の多い店の得点を10にして、それぞれの店のA客席数得点を求めます。BDは、いわゆるQSCですのでおわかりですね。評価表を使って10点満点で記入します。「Eその他のバリュー」は、QSC以外の長所があったら加算する項目です。例えば、「そば打ちの実演をしている」とか、「昼時間帯に安価なセットメニューがある」とか、「よくテレビや雑誌で紹介される」、「専用のホームページがある」というような客観的なプラス面を得点化します。

こうしてまずAEの合計点を出します。

さて、これに少し立地上の要因も加味しましょう。分かりやすい例として、ここでは最寄駅からの距離を使いました。駅に近い方がお客には便利ですから、距離が長い方が不便。つまり、合計点をこの距離で割ると、総合的な「魅力度」が出ますね(ここでは、全部に100を掛けて値が小さくなり過ぎないようにしています)。

こうして算出された魅力度の合計を出しましょう。ここでは、181.7 と出ました。これを魅力度合計と言います。各店の魅力度をこの魅力度合計で割って出た比率値、そうです、これが「シェア率」になります。

「私の店」のシェア率は、21% ですね。

最後に掛け合わせる

さて、こうして①市場規模と②シェア率が出ましたから、売上予測ができます。

仮に、30000人の町で、居酒屋を出そうとしていたとします。すると、(市場規模2億3400万円)×(21%)=4900(万円/年)です。

 

 

すでに、お分かりだと思いますが、市場規模が正確に求められたとしても、シェアを求める際に用いる算出表に絶対的なものがありません。また、一般に出回っているものでもありません。ですから、この表は、自分で考えて作らなければなりません。評価表も同じです。これらの表の作り方一つで、シェア率はいかような値にもなります。自店に都合の良い項目ばかり選べば、シェア率は大きくなり、反対ならば小さくなります。このあたりが、この売上予測法の弱点でもあります。

でも、不確かな数字ばかりよりは救いがあるかもしれませんね。しかも、同業店をそれぞれしっかり調査してこない限り、答えは出ないのですから、ある意味、とても客観的で、ち密な売上予測の方法には違いありません。

 

注記

*国勢調査2005年(日本人と3か月以上在住の一般外国人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生55才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:もっと確かな売上予測の方法(その3)市場シェア率法 連載30・・・


 

前回は、回転率法を紹介しました。これは、店舗の客席数をもとに売上予測するものでしたね。今でもラーメン店や居酒屋など広く使われている方法です。とはいえ、回転率を求める方法がザックリし過ぎているため新店の予測に精度を求めることはできません。すでに営業している店舗でその売上げを推測するために用いることが多いようです。

 

今回は、“キャッチ率法”です。この方法なら、“説得力のある予測”ができます。なぜなら、予測値を算出するのに、店前交通量を用いるからです。時間帯別に交通量を実測して、この合計に対して、キャッチ率を掛けて算出するからです。

 

 

立地を「実測」するところがポイントです。交通量は、立地に依存しています。ある意味、交通量以外に、その店舗の立地を表すことができるものはないと言っても過言ではないかもしれません。

交通量③計測時の難

 

それほど、交通量は重要な指標です。そして、説得力を持っている指標です。

 

例えば、どんなに駅に近い物件といえども、「でも、店の前ほとんど人が歩いていませんね」と言われたら話はそこでストップしてしまいます。「いいえ、交通量はないかもしれませんが、ここには別の良い点があります」と言い返せるのは、筆者ぐらいでしょう。

 

少なくとも、交通量は長い間、とても立派な“立地指標”と考えられてきました。今でも多くの人達はそう考えています。ハンバーガーやドーナツ、牛丼、カフェ、そば/うどん店などのファストフードは言うに及ばず、ファミレスやスーパーマーケット、中古車販売店、ガソリンスタンド、書籍店、ゲームショップなどはどこも交通量を測っています。

 

 

「交通量さえも測らなかった」としてフランチャイズ本部がその不誠実さを裁判所から指摘されたという判例もあるくらいです。

しかし、交通量は決して万能ではありません。

というのも3つの難があるからです。それは、①計測地点の難、②計測対象の難、③計測時の難の3つです。

 

①計測地点の難

 

交通量はどこを、あるいはどこで計測すれば良いでしょうか?車の交通量を計測するなら、「敷地のほぼ真ん中辺りに立つ電信柱の前」とすれば良いかもしれません。でも立地によってはこれだけでは特定できないケースが出てきます(図表1)。交差点に面していたらどこを計測しますか?もし、道路幅が広く3車線あったらどうしますか?さらに、間に幅広の中央分離帯があったらどうしますか?店舗と反対側を走る場合でも測定しますか?一方通行道路だったら、側道があったら、裏道があったらどうしますか?・・・

比較的動く方向が固定されているので、測定がしやすいはずの自動車にしてさえこういう有様です。

もし、人々の交通量(通常は、通行量と呼びます)の場合ならば、計測地点はいくつも広がってしまいます。というのは、「店の直前」が特定しづらいからです。ほとんど不可能な場合さえあります。

店が角地にある場合、どこを通る人にしますか?交差点に近い場合は複雑ですね(図表2)。

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中には、駅の改札から見えるけれど、店(物件)の直前は、ほとんど人が歩いていないというのさえあります。この時、交通量はゼロとして良いでしょうか?

 

 

 

②計測対象の難

車なら車、人なら人を数えれば良い。実はそんな単純ではありません。まず車から行きましょう。バスやトラックは計測しますか、しませんか?タクシーはどうですか?救急車やパトカー、クレーン車などの特殊車両はどうしましょう。こうした車は、たいていの場合、ほとんど店の顧客対象になりにくいですよね。バイクはどうでしょうか?原付自転車はバイクの仲間ですか?自転車はどうします?最近の自転車には、補助動力が付いているのもありますね。何を計測すべきか、そうでないか、これを厳密に決めて計測できるのは、高速道路くらいなものです。一般道ではほとんど難しい。

そして、人です。

男と女を分けて計測する。では、自転車で通りかかる人は計測対象に入れますか?自転車を押して歩く人はどうでしょう?車椅子に乗った人は?乳母車に乗った幼児はどうですか?いずれも自分で歩いていません。含めるとしたら、親に抱っこされた子供は数えますか?お腹の大きなお母さんはどうしましょう。2人と数えますか?

よく起きる問題は、子供がイタズラして、何度も何度も同じ計測員の前を横切ることです。イタズラではないにしても、同じ人が、搬出入など何かの理由で何度も往復することはありえます。私は、目の前を何百人と言うお神輿担ぎの人や関係者に通過されたことがあります。デモだってあります。

計測対象をしっかり決めておかなければ、「常識の範囲」という範囲は計測者によってマチマチになってしまいます。

 

 

③計測時の難

そこまで、厳密に決めたとしても、最後はこの問題が残ります。同じ計測場所で同じ時間帯、自動車を計測しても、計測結果は決して同じになりません(図表3)。

 

 

計測によって2,3割の違いが出ても不思議ではありません。道路にしても、街にしても、まったく状況が同じ日などという日は1日ないからです。常に毎日が異なります。「似てる」だけに過ぎません。時には、「似てさえもない」日があります。

その中のたった一日、しかも、一部の時間だけ取り出して、交通量を計測する意味がどこにあるのでしょう。そんなに正確にしたいなら、店をオープンした後、一日中計測することです。そうすれば、少なくとも、その日の計測結果ですから、事実として正確なはずです。でも、これでは、意味がありませんね。

 

 

キャッチ率はどうやって算出するのか

 

こうして交通量には3つの難があることが分かりました。つまり、交通量とは、とってもあやふやな数値で、これを「事実」として扱うのは避けたほうが無難です。一つの目安でしかありません。

その目安に、キャッチ率を掛ける。そして、やはり、このキャッチ率も回転率と同じくらい曲者です。この値がいくつになるか、そのような公式統計はありません。ですから、調べて自分で作るしかありません。

たとえば、ある有名なファストフードの交通量と客数、そしてキャッチ率を算出したものが図表4です。

 

 

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問題のキャッチ率、下は数%から上は50%近くにもなっています。店前を通る人の実に2人に1人がこの店を利用していることになります。驚くべき数値です。これほど店によって、あるいは立地によってキャッチ率が違うのは、困り者です。

初めてお店を出そうと計画している人が、よく陥るワナがここにあります。交通量を朝から晩まで、時には深夜や休日も真面目に数える。ここまでは素晴らしいことです。ですが、ここから売上予測するために、「100人に3人は来店してくれるだろう」とか、「10人に1人は軽いはずだ」と決めつけてしまう。

 

 

しかし、「正しい」キャッチ率など、そもそも無いのですから、誰もこれを咎め立てする人はいません。せいぜい「その数字、少し甘くないかしら」と感覚的に言うのがやっとでしょう。

 

「深夜も含めて、7351人が店前を通っていますから、キャッチ率2%として1日147人は来てくれます。客単価1000円と低く見積もっても1日14.7万円。1か月で、その30倍として月商441万円です。これなら、じゅうぶんやっていけます」

この考えの筋道に間違いはありません。しかし、多くの失敗者の失敗理由がこうした「甘い思い込み」にあることもまた事実です。

交通量とキャッチ率、あなたは決して惑わされないようにしてください。

 

 

 

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。

 

 

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第51G083号)

 

 

 

 




 

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引用元:もっと確かな売上予測の方法(その2)キャッチ率法 連載29


 

前回は、売上予測の一番簡単な方法は「平均予測法」だという話しをしました。過去に出店したことのある店、あるいは同業店の売上を平均して予測しようというものでした。
しかし、このやり方は客観的で誰もができる方法ですが、決して高い精度の予測ができるわけではありません。ただ、他の予測法の精度についてその高さを比較する基準にはなります。

 
では、もっと「正確に」売上予測を行うにはどうしたら良いでしょう。
古くから飲食業で用いられている方法に、「回転率法」があります。今回はこの方法について話してまいります。
この方法は、「客席数」を元に売上を予測するものです。1日に客席がお客様で何回使われるかを求めます。これを、回転率と言います。例えば、客席が25席あって、来客数が50人であれば、回転率は50÷25=2回転となります。予測に際してはこの回転率をいくつにするかがポイントです。

本当にあった回転率法を使った売上予測
これは、20年ほど前に新しい天丼チェーン店を立ち上げるべく作った企画書の中で、実際に用いられた売上予測です(話は企画レベルで消えたので、現在実在する天丼チェーン店とも無関係です)。やや古いですが今でも十分参考になるので取り上げます。
まず、平日1日を昼食時間帯(11:00~17:00)と夕食時間帯(17:00~22:00)に分けます。これは、客層や来店動機が異なるからです。
この店の客席数は40席です。
昼食時間帯は、回転率は「5」で、平均客単価が600円。夕食時では回転率「3」で、客単価はやや上がって650円としています。
すると、昼食時間帯の売上は、40×5×600で=12万円(①)。夕食時は、同様に40×3×650で7万8千円(②)。
また、客席を使わない売上、つまりテイクアウトも予測します。昼食時は100個、客単価が500円で5万円(③)。夕食時は50個、客単価が550円で27,500円(④)になります。
①から④までを合計すると、1日で27万5500円となります。これが、平日の売上です。

次に、曜日別の繁閑比を出します。
ここでは、平日が「1」、土曜日が「0.8」、日・祝日が「0.6」という値になっています。普通ならば、平日より休日の方がどんなお店も売れるものですが、ここの場合、住民が少なく、就業者が多く、いわゆるオフィス性向の強い街でしたので、こうした逆転した繁閑比にしました。
(人口33百人、昼間人口12万人 地図と統計参照)

 

オフィス性向 グラフ 統計てきめん2プレミア
この繁閑比の値を日数分合計します。平日は22日、土曜と日祝日はいずれも4日で、合計30日で計算しています。すなわち、1×22+0.8×4+0.6×4で、=28となります。
これに、先ほどの平日売上を掛け合わせますと、27.55(万円)×28で、771(万円)となります。
つまり、売上予測は、月商770万円です。

さて、この回転率法による売上予測について、次のような疑問が出て来ませんでしたか?
1)回転率はどうやって決めたのか。
2)客単価はどうやったって決めたのか。
3)テイクアウトの数(天丼の個数)はなぜ100と50なのか。
4)繁閑比はどうか。・・・

 
この売上予測の中で、確かな数字は、客席数だけです。大負けに負けて、2)の客単価なら既存店の平均値を計算すれば求められます。また、3)のテイクアウト数も、“努力目標”で、店頭に並べて売ったりすれば呼び込みするだけで達成可能かもしれません。

 

問題は、回転率と繁閑比です。
これらも、既存店のデータを調べて、平均して求めれば良い。そう思っている人はいませんか?
確かにそれでも良いかもしれません。とりわけ、予測物件とよく似たオフィス性向の高い既存店があれば、回転率や繁閑比も類似してくると思えるからです。
では、そうしたやり方をしてしまったら、前回で行った平均予測法と本質的には何も変わらなくなる、そう思いませんか?
大事なのは、この回転率や繁閑比を、立地や商圏に符合するように推定できることです。
なぜ昼食時間帯が5回転で、夕食時が3回転なのか。その根拠を明確にすることです。もし、これができなければ、予測したことにはならず、単なる当てずっぽうです。

 

回転率法

 

しかし、この回転率法を使う人は、今でも多いのは事実です。けっこう大手の居酒屋チェーンさんでも使っています。しかも、よく当たる。
「ここなら、最低3回転はいくよ。うまくすると4回転くらいかな」というような発言を聞くことがあります。
100席あれば、3回転で300人。客単価が2000円で、1日60万円。1ヶ月で1800万円。
計算はきわめて簡単です。

 

この回転率法とよく似た予測法に「面積法」があります。これはもっと簡単です。1坪当たりの売上げ(月商)を決めておき、店の面積(坪数)を掛けるだけです。たいてい20万円あたりを1坪当たりの売上げにします。これで50坪の店を出すなら、20×50で1000万円(月商)ということになります。

 

回転率法は、初心者にとっては、ちょっと難しく、精度を上げるには熟練を要します。
さらに、客席のない商売(たとえば物販)では、予測できません。

予測には無理でも、実際に営業している店の売上を知るには有効です。
たとえば、候補物件の近くで営業している店があればその繁盛度合いを測定することができます。
「客席数が30あって、その8割が埋まっている。20分で入れ替わっているから昼食時間の人数は30×0.8×3=72人。回転率は2.4。1日ではこの2倍の5回転はいくだろう。客単価は千円と見て1日15万円。1か月で450万円。」
というような出し方ができるからです。

 

すぐ近くに立地する類似店や同業店などの売上が高ければ、自店舗の売上も高いことが予測できます。賑わいは賑わいを呼ぶものです。

ちなみに、繁盛度合いがわかる指標はほかにもあります。

たとえば、一時期、ハンバーガー店やコンビニ店の外に積んである運搬用ケースなら、1ケースに付き●万円、ピザデリバリー店なら、専用バイク1台当り●●万円とすることで月商に換算できると言われたものです。

 

こういう指標を見つけておくのも売上予測をする上でたいへん役立ちます。

 

回転率法による売上予測は、簡単で便利ですのでぜひ身に着けてください。
(プロフィール)
林原安徳はやしはら やすのり
売上予測コンサルタント。昭和31年さいたま市生まれ。 東京大学卒業後、日本マクドナルド(株)に入社。出店調査部にて、1,000店舗単位の成功を決める「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用する。
独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人をコンサルティングしている。主な著作に「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。立地道場を東京、大阪、福岡で開催している。

 




 

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引用元:もっと確かな売上予測の方法(その1)回転率法 連載27


 

 

売上予測がそう簡単にできるものではない、精度を上げようと思ったらたいへんな努力がいる。安易に、立地判定チェックシートを作ったからといってそれだけで売上予測ができるものではない。
そういうお話しを先月号でしました。
しかし、だからと言って、立地判定について何の努力もしない、売上予測をしなくてよいことにはなりません。むしろ、どんな簡単なものでも良い、何よりも優先して売上予測が求められます。
それは、出店にあたって、必ず事業計画書を立てるからです。事業計画には、当然、売上計画がなくてはなりません。言うまでもなくこれがあって初めて経費等の計画も立てられます。
売上計画には文字通り、予測された「売上」がなくてはなりません。

つまり、望むと望まぬに限らず、売上予測はしなければなりません。
さて、売上予測の方法を知らないで、売上予測はできるでしょうか?カンと経験だけで売上予測しても良いものでしょうか?つまり、「月商800万円、えいやー」ってやって良いでしょうか?
もちろん、だめです。

 

 

平均予測表
確かに、ひじょうに経験豊富で、責任感の強い人ならそうした「えいやー」でも結構、現実に近い売上をはじき出すことがあります。これを筆者は頭から否定するものではありません。

でも、「えいやー」は、初心者はもちろんのこと、通常の店舗開発をする場面では、リスクが高すぎます。こういうことを続けていると、企業でさえ、必ず行き詰ります(事実、売上予測がデタラメだったために消滅した有名チェーンが少なからずあります)。

 

さて、今回、ご紹介する方法は、「平均予測法」と言って、一番簡単かつ客観的な(えいやーでない)方法です。
例えば、既存店が2店舗あったとします(事例1-A)。あるいは、参考にしたい同業店が2店舗あったとします。そして、それら2店舗の売上げ(月商、以下同様)が800万円と600万円だったとします。

 

 

 

売上予測の一番簡単な方法は「平均予測法」 連載26-2 へ進む

 

 




 

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林原安徳:有)ソルブは、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942 有限会社ソルブ
電話 03-3538-6603 メール問合せは、こちら
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引用元:売上予測の一番簡単な方法は「平均予測法」 連載26-1


「駅前の1等地だから(立地が良い)」、「店前通行量が1万人以上あるから(立地は)だいじょうぶ」、「○○スーパーの出入り口から良く見えるから(立地が良い)」・・・

こういう常套句が、出店するかどうかの決め手になっている個人、チェーン企業は多いと思います。

 

立地判定のチェックリスト

表1 立地判定のチェックリスト

これは、通行人を主なターゲットとする店の立地を判定する際に参考にしていただくものです。総合立地評価を選ぶ枠がありますが、これはYesNoの数で基準を作られると良いと思います。このチェックリストで売上予測はできません。

 

特に、2番目の通行量は、車と合わせて本当に良く説得材料に使われています。しかも、たいへん昔から「立地の定石」のように扱われてきました(余談ですが、今でも、フランチャイズ本部が裁判沙汰になって加盟店側に責められる時、「本部は通行量調査さえしてくれなかった」と主張して、司法もこの主張を支持するといった判例もあるくらい通行量は一般的に大事にされていますこの文章カット可です(筆者))。

 

もちろん、賢い個人・チェーン企業は、単一の立地要因だけを決め手にしていることはないでしょう。むしろ、チェックリストを用意して、数十項目以上のチェックを行って、得点化し「総合得点」を出していることのほうが多いかもしれません。

しかし、立地は立地、立地のこの要因が良い、この要因は良くない、こちらの要因は・・・のように立地にまつわるどんな要因をチェックしてみたところで、それだけでは、まったく意味がないことのほうが多いのです。

 

 

郊外立地の定石チェック

表2 郊外立地の定石チェック

これは、郊外で車ドライバーを主なターゲットとする店の立地をチェックするために作られたものです。このチェックリストで売上予測はできません。

 

もっと言うと、チェックリストを使って、立地の総合得点が良かったとしましょう。

「だからなに?売れるの?売れないの?」というのが、偽らざる筆者の気持ちです。

 

私のように長いこと店舗立地についての研究をやっていますと、いろいろな場面で、「立地判定チェックリスト」を作ることを求められます。

そうして、表1や表2、表3のようなチェックリストを作って来ました。

 

 

 

「立地が良い」だけではだめ。売上予測できるようにしよう。 連載25-2 へ進む




 

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引用元:「立地が良い」だけではだめ。売上予測できるようにしよう。 連・・・