連載46 1月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 10回目

駐車場は使いやすいか

 

日本には、この狭い国土に、約6000万台の乗用車が走っています(注1)。ほぼ、人口2人に1台の割合です。一部の都市部を除いて乗用車なくては暮らしが成り立ちません。

 

のぼり旗

写真1

 

ですから、お店に“駐車場”があることは商売の前提と言えます。

ところが、この当然の駐車場について、とても当然とは考えられないことも起きているので、その役割の条件を挙げることによって、重要性を再確認しましょう。

駐車場が満たしていなければならない条件

条件1 駐車場は、お店の建物と同一の敷地内にあること。

 

つまり、お店と離れたところに、駐車場を作っても人々は来店してくれません、ということです。もちろん、多少の例外はありますが、車道を挟んで反対側に設けたり、店から歩いて5分かかる場所にあっても、駐車場があることにはなりません。 また、店前やし側道に、停車も駐車もできるから、「車ドライバーもお客様になります」と思っている人もいるようですが、公道は、原則的に「停車も駐車もしてはいけない」と考えるべきです。

同一の敷地ではないが、間に、通行車両のほとんどない狭い道を挟んでいるような場合は、この条件を満たしていると考えて良いでしょう(図1参照)。

駐車場

 

 

条件2 駐車場は、店前道路から進入できること。

 

これは、あえて言う必要がないくらい重要なことです。しかし、現実はそうなっていないことがしばしば見受けられます。例えば、駐車場へ入るための進入間口が5mしかないなどです。これでは、店前道路から自動車の進入はきわめて困難になります。進入間口は最低限6mは必要です。

また、よく見かける事例に、数店~10店前後の店が同一敷地を共有しているような場合、店からひじょうに離れたところに進入間口が設置される場合があります。つまり、自店舗の周囲には、間口がない。 これでは、そうした状況を初めから知っている客しか来店できません。衝動来店客は期待できなくなります。

 

駐車場

 

条件3 駐車場からは、元来た道へ出られること。

 

もし、店前道路の交通量が断続的にひじょうに多かったり、中央分離帯などがあると、元来た道に帰れないという事態が発生します。

これでは、「自宅・所用先->店->別の場所」という順で行動する人はお客様になっても、「自宅・所用先->店->元の場所」という順で行動する人はお客様になってくれません。つまり、目的来店できないからです。

しかし、よく駐車場まわりを見ると、裏道をいくつか経由して、元来た道に帰ることができる場合があるものです。こういう迂回路のようなものが見つかったなら、きちんと駐車場に案内板を設置しておくことがお客様の身になった店というものです。

 

駐車場

 

条件4 駐車場の車1台分の幅は2.5m以上なければならない。

この幅を短くすると、同じ敷地でもより多くの台数を「確保」できますね。しかし、2.3mにしたら、途端にその幅内に入れない車が続出します。すると、駐車する車が少しづつズレて、結局、思惑通りにはならないのです。それより、多くのお客様を不快にさせることでしょう。

また、最近では、Uの字タイプの白線を使っていることが多いですが、この場合はその中心から中心までの距離と考えてください。

 

条件4 駐車場の車1台分の幅は2.5m以上なければならない。

 

条件5 駐車場は、その入口も出口も見えなければいけない。

 

これは、条件2と同じようですが、少し異なります。物理的には容易に進入も退出もできるにもかかわらず、入口が見えないので入れない。出口からよく見えないので出られない。そういった現象のことです。

例えば、この原因となるものに、“のぼり旗”があります。これは、お店の営業感、「営業中です」という雰囲気を出すために、有効です。しかし、その扱い方には注意を要します。車の出入りに支障が出てしまうような置き方にしては本末転倒です。

「のぼり旗が邪魔で、入口がわからない」。「のぼり旗が邪魔で見通しがきかなくて出るのがたいへんだった」とお客様に思わせてはいけません(写真1参照)。

 

 

条件6 駐車場内に、樹木や大きな構造物を設置しない。

 

多少、敷地が広いとデザイン的な良さを求めてなのか、樹木などを駐車場内に設置している店を見かけます(写真2)。これでは、せっかくの面積が無駄になるばかりか、駐車場の見通しも悪くします。

 

駐車場

写真2

 

 

それは駐車場の使い勝手が悪くなることです。また、照明塔などの構造物が何の囲いもなく立っていたりすると、車がバックしたりするときに死角ができたり、車同士の接触事故など、思わぬ危険をもたらします。

 

条件7 夜間照明が全体に行き渡るようにすること。

 

駐車場が広ければ広いほど求められることです。また、ローカルな地域でも同様です。夜間照明は防犯上欠くべからざる存在です。駐車場にここそこに暗がりができてしまうような店には、人々は行きたがらないものです。自店舗の駐車場の明るさを他の店と比較して検証してみることをお勧めします。

また、できるならば駐車場全体を常に監視できる防犯カメラの設置もお勧めします。

 

駐車場

 

条件8 じゅうぶんな駐車台数があること。

 

何台がじゅうぶんと言えるのか、これについての明確な基準はありません。それぞれの業種業態あるいは企業で決めておくべきことです。チェーンレストランではおおむね30台以上としているようです。とりわけ、駐車場台数は、お客様の滞在時間が長いほど多く必要になることがわかっています(図5)。

また、(客席数+店内で待たせることができる人数)÷同伴人数で計算することもできます。一つの目安としてください。

 

 

5

 

余談ですが、駐車場に車が最も止めやすいのは、斜めにスペースが取ってあることです。敷地に余裕があるアメリカではよく見かけます(図6)。

 

駐車場

 

本文2295字

 

 

注 一般社団法人日本自動車工業会JAMAホームページによると59,421,009台(2012年末)。

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

 

 

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引用元:駐車場は使いやすいか 連載46


(第9回)連載45 12月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 9回目

一挙にたくさんのお客を増やす

PC(ポテンシャルクラスター)の話し

 

お店の販売促進で一番重要なことは、的確にターゲットを定めることです。

立地の応用でできることがあります。そのターゲットを客層や性別、ライフスタイルではなく、どういう場所に住んでいる(あるいは働いている)人かで決めることです。

その決め方によっては、一挙にたくさんのお客を獲得できるのです。

 

立地には、PC(ピーシー、Potencial Cluster)という概念があります。これは、「需要集合体」と言う意味です。文字通り、需要が集まっている所を言いますが、きちんとした定義があります。それは、①地域の人々が密集して暮らしている(就業している)、②地域が自然の地形や大きな施設などによって囲まれていること、③地域に出入りできる場所が、1カ所~数カ所に限られている。この3つの条件があてはまるような地域をPCと呼んでいます(図1)。

 

PC

 

1.PCのイメージ図

 

そして、3条件があることによって、結果的に、この地域の人達の日常的な行動がよく似てくることが知られています。

では、どういう地域がPCと呼べるでしょうか。

 

例えば、面の広がりを持つPCならば、図2のような地域が一般的です。

 

 

PC

2.水田に囲まれたPC

 

ここは、住宅地が密集しています。新興住宅地域として開発されたところです。ですから、その周辺は、田んぼや畑、用水路、川に囲まれており住民がどの方向にも行けるというわけではありません。

図の矢印のところしか通ることができません。

そして、もし、近くに駅などがあれば駅に向かう行動線ができます。また、車で来て幹線道路と出会えば、その道路沿いに右左折することでしょう。ちなみに、この時の交差点を「PC由来のTG(交通発生源)」と呼びます。

つまり、PCと呼べる地域にいる人々は、類似した行動をとっているのです。

PCには、この他にも「湾岸型PC(図3)」、「幹線囲み型PC(図4)」、「河川囲み型PC(図5)」、「山麓型PC(図6)」などがあります。

 

PC

 

3.湾岸型PCの事例:東京湾、荒川そして旧江戸川に囲まれている。

 

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4.幹線囲み型PC:周囲はすべて道幅10mを超える幹線道路に囲まれている。

 

PC

 

5.河川囲み型PC:ちょうど川が蛇行した地帯となって川に囲まれている

 

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6.山麓型PC:本来は中程度の山(丘)であった所を宅地にしたことでできるPC

 

 

さらに、分かりやすいPCの事例として挙げられるものに、「高層マンション」があります。昨今では、30階建て、40階建ても珍しくありません。

このマンションもPCの3条件を完全に満たしています。ですから、PCと呼んで良いのです。

出入口は、文字通り、玄関と裏玄関(ないしは非常口)しかありません。限られた場所からしかできるできませんね。

 

PC 高層マンション

7.高層マンション 500戸は普通、時に1棟で1000戸を超えることがある。

 

さて、販売促進に効果的なのは、こういった「高層マンション」のようなPCなのです。

すなわち、駅前でチラシを配布して、いわゆる「不特定多数」にチラシが渡るよりも、近くのPCの前で配布したほうが良いのです。

なぜなら、不特定多数は、ただの他人同士ですが、同じPCに住んでいる人々は、「行動パターン」がよく似た者同士だからです。

そういう場合、もし、Aさんが店を気に入って来店してくれるようになったならば、Aさんと同じPC(「高層マンション」など)に住むBさんにとっても来店しやすいはずですし、また、Aさんから、Bさんへの情報伝達も比較的容易と考えられるからです。

少なくともこうしたマンションは、区分所有法によって、所有者全員を構成員とする管理組合を作ることが義務付けられていて、住民同士の連絡は否応なく取らなければならないようになっています。

仮に、住民同士でもっと意識の高い組織、自治会のようになっていれば、そのコミュニケーションはさらに濃いものになっているでしょう。

ですから、このPCに働きかけないことは勿体ないことです。

自治会、理事会、管理組合を通して、さまざまに役立つ、便利な情報や割引券などを提供したり、あるいは、出入り口近くに、視界性の良好な看板や店のロゴが入ったオブジェ、長椅子などを置かせてもらうなど、さまざまな販促を行うことができます。

とりわけ、飲食店とのお付き合いは、彼らにとってもたいへんメリットのあることです。例えば、店休みの日に合わせて、業務用の鍋、釜、什器などを貸したり、調理法を紹介したりなど、ふだん住民が経験できないようなイベントを行うというのも良いかもしれません。

 

こうして高層マンションなどのPCに対する販促に効果があるということが分かりました。他のPCはどうでしょうか?

もちろん、無駄ではありません。いろいろと試してみると良いでしょう。

 

本文1716字

 

 

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生56才。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:一挙にたくさんのお客を増やす PC(ポテンシャルクラスター・・・


(第8回)連載44 11月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

あなたの店は見える店、見えない店?

 

「あなたの店は見えていないかもしれない」

と言われたらどうしますか?「そんなことはない。大きな看板があるんだから」と思うかもしれませんね。

しかし、お店の人が思うほど、その店が見えていないというほうが実態に合っているのです。

それはどうしてでしょう。

そもそも、お店を表す看板はたいていは店の出入口の上に設置することが多い(図1)ですが、果たしてこの看板は誰が見るでしょう。

 

zu1

図1

 

その看板は、お店の前にお店を見る方向で立つ場合に限り見えるものです(図2)。

 

看板

図2

 

果たして多くのお客さんはそのようにしてお店を見るでしょうか。店頭を歩く人々にとっては、立ち止まってそのように見ることはまずないことでしょう。

ということは、通常の立地でたいていの人々は、そのお店の看板を見ないということです。

せいぜい、人々が見るのは、お店の横サイドだけです(図3)。

 

看板

図3

 

ですから、お店の存在は、“そこにお店があることを知っている人”だけにしかわからないことが多いのです。これが、あなたの店が見えていない第一の理由です。

そこで、その改善のために、1)店の前に据置看板を置く(図4)。

 

看板

図4

2)横サイドから見える看板やバナーを取り付ける(図5)。

看板

図5

 

そして、3)間口を少しセットバックさせ、通行者から正面に見える壁を作り看板などを描く(図6)。

 

等をやる必要があるでしょう。

 

こうやって、視界性評価を上げるための工夫を「視界補助」と言います。

間口

図6

 

しかし、こうやって、「視界補助」をつけただけでは、じゅうぶんではありません。

もし、より多くの人にお客さんになってもうためには、IC(情報発信源:Information Center)を商圏内に見つけ、ここに、店の存在を知らせるような工夫が必要です。

このICとは、周辺の人々がいろいろな情報交換をするような場所や施設を指します、たとえば、公民館や市民会館などのような無料・格安で使える地域のコミュニケーションの場となっているようなものです。あるいは、スーパーマーケットや整体・接骨院、クリニック、美容院のような施設もこれらに当てはまります。もちろん、PTAなど積極的なコミュニケーションが図られている幼稚園・小学校などもそうです(図7)。

 

IC

図7

 

こうしたIC(情報発信源)が店に来店できる範囲(5分以内)にあるならばしめたもの。

これらから店までの行き方を明確にした上で、張り紙やポスターを置かせてもらう。あるいは、その近くに野立看板を敷設する、小型の看板シートを民家の塀に貼らせてもらうなどすることです。こうすることで、IC(情報発信源)に来る人々を伝わって、より多くの人々に店の存在を知ってもらうことができます。

 

また、看板に頼らない方法もあります。それは、一軒一軒の家庭にチラシを配布するというやり方です。とはいえ、これもどこでもいいから撒けば良いというものではありません。

事前に、チラシを撒いて大きな効果が出そうな地域を知っておくことが必要です。

そのためには、今現在のお客様がどこから来ているかを調べておくことです。これをしっかり調査するにはそれなりの手間がかかります(「お客様アンケート調査」「商圏調査」)が、簡易に行うのでしたら、店内のわかるところに、地図を貼っておいて、お客様に、その地図上にドットシール(やや大きめのものが良いでしょう。大きめであれば、そのシールを貼って自分の家の住所が他人に分かってしまうことがないという安心感が生まれるからです)を貼ってもらいましょう(図8)。だいたい300人分のシールが集まれば上出来です。

 

地図

図8

 

重要なのは、4つに地域を分類できるかどうかです(図9)。

 

地域分類

図9

 

もちろん、もっとも効果が現れそうな地域はもちろん「たくさんの人々が住んでいるが、お客さんが少ない地域(C)」です。

ただし、そのような地域でも、店まで来店可能であることが前提です。途中で道が切れている、丘を越えなければならない、途中に同業店がある。そういったことがないかどうか、調べておく必要がありますね。

チラシを撒くと言っても、コストと労力がかかることです。チラシのデザイン作成代、印刷代、そして配布料金です。千枚撒くのだったら数万円で済むかもしれませんが、一万枚撒くということになればそれでは収まりません。

こうしたコスト面でのリスクを減らしたいなら、小規模な実験をやってみることをお勧めします。それは、店長名と地図を小さなショップカードを作り、自分で数百枚配ってみることです。一軒一軒のお家を訪問し、丁寧に挨拶して回ることです。できますか?できますね。

こうやって店長の顔を覚えてもらう、見てもらうことは、実はお店の存在を知ってもらう一番効果的なやり方です。

ぜひ一度、このショップカード配りを試してみることをお勧めします。これも立派な立地改善、マーケティングです。

 

 

本文1936字

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生56才。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:あなたの店は見える店、見えない店? 連載44


(第7回)連載43 10月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

心理的制約のある店、少ない店

・・・間口制約の話

 

立地を見るというのは、必ずしも、商圏を分析したり、TGとの位置関係や動線の有無などの地理的な状況を把握することばかりではありません。

物件(店)そのものも、大事な立地要因です。

中でも、その物件(店)への入り易さ(到達容易性)は特に重要です。要するに、お客さんにとって入りづらい店は、「立地が悪い」のです。逆に、入り易ければ「立地が良い」のです。

ただし、この入り易さ(心理的な制約)については、物理的なことに起因すしていることに限ります。

その代表的な例が、間口です。

間口と一口に言っても、いろいろな間口があります。お客さんが出入りする「出入間口」、店の大きな看板が掲げられている範囲は「看板間口」、そして、物件(店)が外に対して見えている最大幅である「建物間口」です。一般的には、この順番に間口は大きくなっていきます。

車ドライバーを対象とした場合、これにさらに「敷地間口」が加わります。

 

多くのお客さんを相手に商売するような場合は、中でも「出入間口」がもっとも重要です。特に、ファストフードは洋の東西を問わず、この間口が3mを切るとほとんど死活問題です。これほど間口が狭いと店が見えづらくなるばかりか、急いでいる人にとっては、ピーク時間帯(特にランチタイム)に事実上出入りできなくなるからです。ファストフードがファストフードの役に立たなければお客さんは来店しなくなります。

一時期、東京にあるM社の下北沢駅直前の店の間口はひじょうに狭く、レジも3台、上下に重ねながら置くのがやっとで、売上も悲惨なものでした。その後、隣のビルまでつなげた大工事を行い間口が広くなったので繁盛店に転換したことは言うまでもありません(写真0)。

 

 

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居酒屋のように、客単価がもっと高い業種では、間口はあまり関係なさそうに思えますが、やはり、間口が狭いと集客力は落ちてしまいます。

 

出入間口は、店が2階以上や地下にある場合、特に限られてしまいます。それでも、ビルの外に専用階段があるなら良いほうで、その階段の回りに、照明が埋め込まれた特別な外装を施すことによってだいぶ制約が軽減されます。

しかし、一度ビルの中に入ってから階段やエレベータを使うとなると、心理的制約は大きなものになります。階層は上になればなるほど制約は大きくなり、売上の違いに指数化してみると、図1のようになります。

出入間口の狭さを逆手にとって、この間口を覆うほどに大きな内照式看板を設置したり(写真1)、門のようなものを作って(写真2)、知覚突出性を高めてる工夫をしている店もあります。

 

 

間口

写真1

 

間口

写真2

 

もちろん、間口は広いに越したことはありません。間口が広いことは立地上の優位点です。

ところが、この優位性を台無しにしてしまっているお店があることも事実です。例えば、「のぼり旗」。店の営業感を出すために設置しているので掲出者の気持ちは汲みとれます。

しかし、この「のぼり旗」によって、店の看板を見えなくしてしまったり、店の出入口さえわからなくしてしまったら本末転倒です。やってきてくれる筈の人さえ来なくなります(写真3)。

 

間口

写真3

 

また、よくあるのは、店の前に、ビール箱や食材棚、ゴミ箱まで置いてあることです。これでは、まるで来店するなと言っていることと同じです。即時撤去するべきでしょう。店前に嫌悪物を置いてはいけません。

出入間口が、店前道路より高いことがよくあります。いわゆる段差です。また、物件自体が道路からセットバックしていることもあります。さらに加えて、夜になると薄暗くなってしまうようならば、すぐに照明の増設などを検討すべきでしょう。

明るく、清潔であることが、出入り間口の最低条件です。

 

間口

写真4

 

一方、大きな建物間口を持て余しているような場合もあります。外装デザイン上仕方がないのならともかく、広い間口は、工夫次第でいかようにも活用できます。たとえば、商品見本を陳列する、花壇を作る、品位のある広告を貼るなどその間口前を通る人が、「おや、何だろう」と気にかけるような工夫です。

心理的制約は、店の中が外から見渡せるときもっとも少なくなります。ですから、中が見えるようなガラス窓を多くデザインすることは有効です。多少コストはかかっても、できることなら試すだけの価値はあります。

車ドライバー対象の店の場合は、店側車線から入れるかどうか(イン)、車線に出られるかどうか(アウト)ばかりではなく、反対側車線から入れること、その車線に出られることはもっと重要な立地上のキーです。

仮に、その反対側道路に対するインアウトができなくても、直接ではないが、裏道や側道を用いると、それが可能であるならば、その大きな案内図を作って敷地内に設置すべきです。これだけで、お客さんの来店は確実に増えます。

 

 

 

 

本文1930字

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生56才。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:心理的制約のある店、少ない店・・・間口制約の話 連載43


(第6回)連載42 9月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

競合相手は誰だ。(動線評価の話し)

競合したから売上下がった?競合を恐れない「競争力」を高める方法

 

前回、自社と同じ会社、ブランドの店が一番競合すると話しました。しかし、その場合でも同じ会社同士、ブランド同士で互いの強みを活かしながら共存できるということもお話ししました。

さて、今回は、自社ではなく、他社であり、自店と異なるブランド(屋号)が相手の場合です。

 

商圏重複 競合

 

自店の売上が、突然下がってしまった。今までと営業状態(従業員の応対や商品、サービスの質など)が落ちたようには感じない。それなのに、下がってしまった。客数が確実に違う。

こういう場合、まず立地上疑ってかかるべきは、同業店のオープンなどの影響です。

同業店の影響を受けやすいのは次のようなケースの時です。

 

 ケース1 同業店の方が、TG(トラフィックジェネレータ:交通発生源)に近いケース。

TGとは、鉄道駅、大型小売店、大型交差点など多くの人の行き交う場所であり、このTGに近いほうが立地上優勢となります。

 

ケース2 同業店の方が、TGからの視界性評価が高いケース。

 

視界性評価とは、店やその看板がTGやその周辺を行き交う人々から自然と知覚されるかどうかを指します。この評価が満点ということは、①ほとんどの人が自然と知覚できることです。野中の一軒家のような状態です。これに対して、視界性評価に難があるというのは、②店を探そうとしないと見つけられない、あるいは、③その店の存在を既に知っている人でないと見えない状態を言います。

もし、自店舗が②や③の評価で、同業店が①であれば、当然、自店舗は大きな影響を受けます。

 

 

競合ケース

ケース3 同業店が自店舗と同じ動線上にあるケース。

ここで言う動線とは、複数のTGを結ぶ道路上で人々が行動する軌跡、行動線を指します。一方が、鉄道駅でもう一方が商業施設、あるいは複数の大型商業施設それらを結ぶ動線が一般的です(図1)。

(ただし、以上のケースは、通行人対象立地ですが、ロードサイド車対象立地ではこれほど単純ではありません)。

ケース1や2は分かりやすいのですが、ケース3は分かりにくいものです。

店同士がけっこう離れていたり、見えないようなことが多いからです。ですから、自店舗の近くにあるTGを見つけ、そこから、動線上を歩いてみるなどのチェックをしてみる必要があります。

 

では、どんな場合なら、同業店の影響を受けにくいでしょうか?

 

簡単に言うと、以上の3ケースに当てはまらない場合です。

 

例えば、ケース1なら、その反対は、互いに異なったTGがあるという場合です。具体的には、自店の最寄駅ではなく、その隣りの駅に同業店が出店している場合です。

また、同様に、互いにTGからの視界性評価が高い。あるいは難がある。

さらに、互いに異なった動線上にあるといった状況の時です。

 

つまり、同業店から影響を受けているかどうかは、TGとその位置関係で判定しなければいけません。

市場拡大と競争力

話しは変わりますが、同業店が自店舗の隣に出店したというような場合はどうでしょう。この場合、疑いなく、同業店の影響を受けます。

しかし、だからといって、売上が必ず下がってしまうと思うのは早計です。

仮に同業店がほぼ同じような料理、サービスを、同じような仕組み(ファストフード式、レストラン式、立ち飲み式など)で提供しているとしても、自店を利用しているお客様の半分が同業店に持って行かれるとは限りません。

むしろ、同じような店が増えることによって、2店の周囲に人々がより多く集まってくれるようになります。あるいは、その周囲に来る頻度が高まることが知られています。これを、「市場拡大」と言います。1店の時より2店のほうが人々をより強く惹きつけるということです。

どのくらいかというと、今のところ「1・4」倍になるとされています。

 

市場拡大

 

だからと言って、喜んでばかりはいられません。店の周囲に集まった人は、自店と同業店を見比べて、どちらかを選ぶに違いないからです。

もし、2店の「競争力」は同じならば、すなわち、1:1ならば、お客様は半々になるでしょう。しかし、自店が0・8で、同業店が1・2ということもあり得ます。

この場合、売上はどう変化するでしょう。

次の式で求められます。

競合後の売上=元の売上÷2(店)×1・4(市場拡大)×0・8(競争力)

=元の売上×0.56

つまり、元の売上の56%と、半分近くになってしまうのです。

これでは、採算割れになりかねません。

せっかく、市場拡大しても、台無しです。ですから、店長の皆さんは、仮に隣に同業店がオープンしても、そのような目に遭うことがないよう、日頃から、自店の競争力を高めておかなければなりません。

 

 

 

自社競合、あるいは、同ブランド競合はある程度、本部・本社の方針でコントロールできますが、同業他社はそういうわけにはいきません。いつ何時、同業店が現れるかわからないからです。

それに、競争力は一朝一夕で高まるものではありません。日々の積み重ねが重要です。

毎日定刻ににはオープンする。忙しい時間帯にはいつもじゅうぶんな数の従業員を揃える。QSCの水準を下げないようにする。タイムリーな販促を持続的に行う、などの営業上の努力はもとより、外装・内装・設備のメンテナンスを小まめに行うなどハード面でのフォローは不可欠です。

もちろん、ベストは固定客の心をより多く掴んでおくことです。こうすることで、同業店へのスイッチ(切り換え)を極力減らすことができます。

出店においては、“先行優位の原則”が働くことがよくありますが、これは先行する店ががっちり固定客を掴んで離さないからだと言われています。

 

また、繰り返しになりますが、自店に影響を与えるとしたら、同業店がどこにオープンしたときか、それを早期に知っておきましょう。 よりTGに近い場所、よりTGからの視界性評価が高い場所、そして自店と同一の動線沿いに手頃な空き物件がないことをチェックしておくのです。これで、万が一、営業力で負けそうな場合でも、同業店の工事期間中にリカバリー(回復)できるものです。

 

 

 

 

 

 

本文2416字

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:競合したから売上下がった?競合を恐れない「競争力」を高める方・・・


(第5回)連載41 8月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

自社店舗がもう一つできたならチャンス

自社店舗は最大の競合、でも互いの長所を活かす方策がある

 

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さて、あなたの店舗にとって最大のライバル、競合はどのお店ですか?

と、聞かれれば、いつも必死に運営を頑張っているあなたは、即座に2つ、3つの店舗を挙げることができるのではないですか?

このライバルに、自店と同じ会社、ブランドの店を挙げた人はいますか?

そうです。自社、または自ブランドの店は、確かに最大のライバルだと言えるでしょう。

 

同じ商品を同じサービス形態で売る同じ名前(看板)の店ならば、人々が「どっちも同じだ」と考えても不思議ではありませんし、多くの場合、人々は2者択一で店を選びますから、自店舗の客数は激減し、売上は大ダメージを受けるのは当然でしょう。

それを恐れ、たいていのフランチャイズ契約書には、「既存店から○○メートル(○○キロメートル)以内に、新店を出してはならない」というような文言が入っていることがあります。

また、「うちのフランチャイジーのオーナー様は、その周辺に新店を出そうとするたびに、『そんな近いところに店を出されたら困る』と言うのでなかなか新店を出せない」とこぼすFC本部の方が多いのも事実です。

それほど、自社競合、自ブランド競合は怖いとされています。

 

しかし、そうやって怖がってばかりいてはいけません。

実は、うまくコントロールさえすれば、新たな自社店舗、自ブランド店舗の出現は、自店舗にとっても大いなチャンスをもたらすことがあるのです。

 

 

図1%e5%9b%b31

 

例えば、ある有名なラーメンチェーン店が、既存店から450mのところに新店を出したことがあります(図1)。なぜこのようなことをしたかというと、既存店の受入れ体制が限界を超えたからです。駐車場も足りない、客席も足りない。では、どうしようか。せっかく来店してくれているお客様を待たすに忍びないと、経営者は判断し、近くに物件を探し新店を出しました。

しかし、その立地はお世辞にも良いとは言えません。幹線道路から、住宅地のある路地に200mほど引っ込んだ丘の上です。もちろん、車が頻繁に走行しているような道ではありません。その住宅地に何かの用事でもない限り誰も気づかないでしょう。唯一の利点は、客席と駐車はふんだんに設置できたということです。

果たして、結果は、その新店も既存店と同様の客数、売上が確保されたばかりか、既存店の売上減少も想定内に収まりました。

{視界性の良好な既存店でお客様に気付いていただき、応対しきれないお客様を新店にご案内する}という方法は見事にうまくいったのです。

 

そして、こういう役割分担を持たせた出店方法はひじょうに有効なので、多くのチェーンで試みられています。その方法もこのラーメンチェーンと同じように、既存店でキャッチ、新店でキャパシティ(広さ)が一般的です。

ファストフードのM社はすでに30年以上前、北千住でこれを行い成功しています。既存店は駅のすぐ前にありましたが客席がありませんでした。2号店はゆったりした客席を提供しました。これによって、既存店は売上の減少はあったものの、この店はテイクアウト用、新店はイートイン、くつろぎ用としてお客様が使い分けをするようになり、M社への来店頻度はアップしたのです。

ピザデリバリーのD社は、恵比須に既存店がありましたが繁盛し過ぎて、従業員の確保に手を焼いていました。そこで、近くに新店を出して顧客の分散化をしました。すると、既存店の運営に余裕が生まれ、従業員へのフォローが行き渡るようになり、人不足が解消、慢性的だった募集広告を減らすことができ、結果的に収益の増大をもたらしました。

 

では、最初からこうした明確な役割分担がないままに、自社または自ブランドの新店が近くにオープンしてしまう場合はどうでしょう? むしろ、現実にはこちらのケースの方が多いですね。

そして、不幸にも、新店の方がTG(交通発生源)に近い、TGからの視界性が良い、人々の動線上にあるといった場合です。既存店は、そのまま放っておくと大きなダメージを受けることになります。お客が既存店から新店のほうへ移行していくからです。

一度、移行してしまったお客様を取り戻すのは容易なことではありません。

 

ですから、既存店としては、顧客が完全に移行してしまう前に手を打つ必要があります。

 

競合店対策のステップ

 

ここは、通常の競合店対策と同じようなステップを踏みましょう。

第一に、自店舗(既存店)の強みと、新店の強みを比較します。

営業的観点も重要ですが、それ以上に、まず、店のハード面や立地面での比較が重要です。

表にあるように、店の規模や間口、最寄りのTGと直接視界性の評価、動線評価、さらに動線からの視界性評価、補助看板などについて比較することです。

第二に、自店の強みをさらに強化できることがあれば、その方法を列挙します。

例えば、自店のほうが客席数で優っているいるならば、それを人々に告知すべきでしょう。また、最寄りのTGが新店より近いところにあるならば、そのTGとのタイアップを考えるべきです。

第三に、実現可能で、結果の測定が可能か、コストが適正か、そして、自分のやる気が出る方法かを吟味します。

客席数なら、カッティングシートで作ってガラス窓に貼れば良いでしょう。TGとのタイアップなら、互いの招待券を交換し合うだけで済むかもしれません。仮に相手が映画館なら、映画の半券を利用するということもできます。

第四は、実行です。具体的な5W1H(注1)を考え、実行します。

第五は、実行後の評価です。成果が上がったかどうか。もし問題点があったらどうしたら解決できるか。きちんとまとめておきましょう(ここまで、やって一つの対策は実行したことになるのですから)。

 

競合店対策 強み比較表

 

自社、自ブランドの新店が出た時の最大のメリットは、上記のような活動が、相手(新店)にどれだけ影響を与えたかが、実測できる(教えてもらえる)ことです。これは、他社ライバルとかなり異なる点です。効果がわかれば、そのやり方に工夫をすることができます。何より、自分のモチベーションが上がるというものです。だから、チャンスでもあるのです。

 

本文2457字

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで売上予測調査を担当。退社独立後、独自に深耕させた「立地判定/高精度売上予測」理論をもとに多くのチェーン企業、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。昭和31年生56才。http://www.sorb.co.jp

 

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引用元:自社店舗は最大の競合、でも互いの長所を活かす方策がある 連載・・・


(第4回)連載40 7月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

タイアップするならどことすべきか? (TGの話)

立地のTG、マーケティングのTG

 

販売促進のための活動を怠っていると、客足が減り始め、売上は徐々に下降してくるものです。新商品の開発、導入、あるいは、日頃のQSC向上のための行動も立派な販売促進であるばかりか、飲食店としての大前提です。ですから、今更、販売促進をしなくてもなんとかなる。そう思っている人はいませんか?

大前提のことをいくらやったとしても、それが報われないことがあります。他の店も同様に努力しているからですね。他の店に真似のできない自店舗独自の販売促進を行うことができてこそ売上も順調に伸びるというものです。

今回は、あまりコストをかけないで、大きな成果を挙げられる「タイアップ」についてお話ししましょう。

一本の同じTV広告の中で、異なった企業、異なったブランドが宣伝されている、そういうCMを見たことはありませんか?これこそ究極のタイアップです。お互いにコストは半分でも、全額のときと同じような効果が得られるからです。TVCMの製作費、放映費は数億円に達することさえありますから、これは大きいです。

しかし、問題は、タイアップ先との相性です。

これは、お店がタイアップを考えるときも同じです。少なくとも同じ飲食店同士でのタイアップは成功する確率は低いでしょう。

かといって、まったく異なり過ぎていてもだめですね。

かく言う筆者も若かりし時、M社の店長の時代に、ガソリンスタンド(GS)というまったく異なった業種業態とタイアップしたことがあります。スタンプカードですね。

 

直前の場所

図1 直前の場所(実際の事例です)

これを見ると直前の場所は「自宅」が最も多く、次いで多いのが「買い物先」であることがわかります。そして、この買い物先が具体的にどこであるかを知ると、タイアップ先が見るかるのです。

 

 

結果は散々たるものでした。なぜでしょう?

それは、店への来店頻度がまったく違っていたからでした。M社の来店頻度は平均で月2

~3回、同様にGSでは、せいぜい1回です。

すると、M社のスタンプはどんどん貯まっていきますが、GSのスタンプがなかなか貯まりません。ですから、お客様は途中で飽きてしまい、期間中に最後まで到達できたお客様はごく少数になってしまいました。

このような失敗をしないためにも、相性が良いタイアップ相手を選ぶことは重要です。

 

しかし、ここではタイアップ先をもう少し広げて考えることをお勧めします。

 

タイアップ先を決める

 

タイアップ先の候補を見つけるにはどうしたら良いでしょうか?

ズバリ、お客様に聞くことです。

聞くと言っても、きちんとした用紙を用意しましょう。そして、この用紙をお客様に配り記入していただくのです。

質問は2問です。

A「お客様は、この店に来られる直前にどちらにいらっしゃいましたか?」

と、B「お客様は、この店を出られた直後、どちらに行かれますか?」

 

AとBの質問それぞれに、次のような選択肢を用意します。

  • 自宅 ②知人・友人・親戚宅 ③勤務先・仕事先 ④学校(小・中・高・大学生の場合)
⑤所用先 ⑥買い物先 ⑦その他

③~⑦とお答えになられた方にお聞きします。

差支えなければ、その施設名を教えてください(回答             )

 

この用紙は、A5サイズ(A4サイズの半分)くらいで作るとやりやすいでしょう。

もし、余白ができるようなら、お客様の年齢層、男女別、職業などの質問欄を作りましょう

(アンケート用紙参照)。

 

お客さまアンケート

アンケート用紙

このままお使いになっても構いませんので利用してみてください。

 

 

さて、この用紙で1000サンプル近く回答を集めてください。誤差を小さくするためにくれぐれも100サンプル以下で終わりにしないでください。

 

さて、ポイントは、“Aの直前であれ、Bの直前であれ、自宅、知人・友人・親戚宅と答えた人以外の回答にどのような施設が書かれているか”です。

 

ここに書かれた施設の中にこそ、あなたがタイアップすべき相手が書かれているのです。

それを集計してみましょう。

ア)○○スーパー 35人、イ)△△大学23人、ウ)□□市役所18人。。。。

 

のように、集計できるはずです。

そうです。あなたがタイアップすべきは、この上位に集計された施設なのです。

この例のように、○○スーパーが直前・直後として利用されているのなら、このスーパーマーケットとのタイアップを考えてみましょう。

お互いの持っているチラシを貼り合うという簡単なものから、先ほども出たスタンプラリーをやっても良いでしょう。

もちろん、この解答用紙の束と調査結果を持った上なら、先方に対して、お互いにタイアップすることがとても意味のあること、売上改善につながることを強調し説得することは簡単なはずです。

ちなみに、この直前直後の施設のことをマーケティングではTG(Traffic Generatorティージー)

と呼んでいます。

 

立地では、さらにこの概念を広げ、TGは「人々が集中する施設、またはその場所である」と定義されています。こうした違いはあるもののお店に影響を与えるTGを把握しておくということは、どんなお店においても重要な販売促進の種になるということです。

さあ、今日から準備しましょう。

 

直後の場所

図2 直後の場所

図1と同じ店で出た結果です。

比率こそ違え、直後においても「自宅」「買い物先」の順になっています。

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 

 

 

 




 

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引用元:タイアップするならどことすべきか? (TGの話) 連載40


(第3回)連載39 6月号 [店長が知っていると得する立地の応用]

あなたは足元を大切にしているだろうか? (商圏の話)

ほとんどの店は足元に顧客がいるかどうか 10~20サンプルで決めてはだめ

 

お店の売上が落ちてきた。何とか対策をしたい。そうだクーポンを配ろう。チラシの折り込みをしよう。そう考えたとき、予め知っておくべきことは、そのお店の商圏です。

商圏でもないところで、販売促進活動を行っても何の成果も挙がりません。だから、店長は自分の商圏を知っておくと得をするのです。

 

商圏の定義

あなたの店のお客様はどこから来てくれていますか?

この質問に即答できたあなたは優秀です。よくお客様とコミュニケーションをとっているか、イベントなど何かの機会にお客様の住所を得て覚えているかのどちらかでしょう。

では、そのあなたの考えているお客様の来店範囲は、“商圏”と言って良いのでしょうか?

 

例えば、東京のある店長Aがこう言いました。「うちのお客さんは、北海道からも来てくれるのです」

つまり、店長Aは、この店への来店範囲は「北海道」まで広がっているから商圏が広いと言いたいのです。確かに、この店長はウソはついていないでしょう。

しかし、「お客様がやってきてくれる来店範囲」と「商圏」は別物です。まず、この点を知ってください。単に、「商圏=お客様の来店範囲」と思ってしまうと、その商圏は、とっても広くなってしまう傾向にあります。

それは、たまたま遠くから来てくれた人を、来店頻度の高い人を同じに扱ってしまうところから起きるマチガイなのです。

商圏は、お客様の住所だけを知っていればわかるというのではなく、ある特定の地域に住む人のうち、5%以上の人が来店しているかどうかまで知らなければわかりません。

例えば、○○町○○丁目という地域Bがあり、2000人住んでいるとしましょう。その地域Bからお客さんが月に160人来たとします。

そうすると160÷2000=8%ですから、この地域Bは商圏内であると言っても良いのです。

では、店長Aさんの発言はどうなるでしょう。北海道の人口は、547万人ですので、北海道からお客さんが1万人来店されたとしても0.2%にも満たないので、北海道は商圏内ではありません。

 

 

商圏 

図4 メッシュの人口に対する顧客の比率(住民浸透度係数)を元に色分けしたものです。ここで5%以上のメッシュが商圏内ということになります。

商圏への働きかけ

一般的に、商圏はまだら模様になることが知られています(図4)。つまり、お客様の割合の高い地域と、反対に低い地域があちこちにできます。

ですから商圏への働きかけには、お客様の割合が高い地域と低い地域のどちらにするかによって、大きく分けて2通りあります。

とても高い地域なら、お店への好感度も高いと考えても良いでしょうから、新メニューや新サービス登場や○○周年記念イベントのようなものを告知して、よりお店を好きになってもらう企画や、二人で来店したら○○円お得のような客単価アップ企画が良いでしょう。

反対に、お客様の割合の低い地域はどうでしょう。

もちろん、新規顧客の開拓が主なテーマになるはずです。お客様が一人でも多く来店してくれるように、初めての人向けのクーポンを配りましょう。「おっ、安いな。行ってみるか」と思わせることが肝心です。お店に一度でも行ったことがあれば、次も来店する確率はぐんと上がります。

さて、同じように割合が低い地域でも、それが同業他社の店がオープンしていることが原因と考えられる場合があります。この時は、当然ながら、その店、ライバル店を意識した販売促進活動をする必要があります。

チラシでメニューの内容と価格を比較しても良いかもしれませんね。また、ライバル店で出しているクーポンが自店舗で使えるというようなチラシも有効です。もちろん商品サービス名称が必ずしも同じではありませんから、この点は細心の注意が必要です。

 

商圏が設定しづらい店

都心の繁華街や駅前に出店していますと、「自宅」を聞いただけでは、商圏はほとんど設定できないことになります。つまり、自宅がそれぞれ遠くてバラバラだからです。

そういう場合は、自宅の住所を聞くのではなく、「勤務先」の住所を聞くのです。その上で、人口ではなく、昼間人口を元に、その地域の来店比率を算出すると良いでしょう。

「自宅」をあきらめ「勤務先」をターゲットにするわけです。

 

足元の商圏

最後に、必ず覚えておいてほしいことがあります。それは、商圏調査や顧客アンケート調査を大々的にできないお店にこそ覚えてほしいことです。

つまり、お客様は「近いところにこそ」いるという当たり前の事実です。

ですから、少なくとも店から500m圏内は、「つねに」何らかの販売促進の対象にしないといけないというものです。

「うちの店は遠くから来店するお客がいるから、そんな必要はない」などとは決して思ってはいけません。販売促進は、「まず足元を大事にする」ことが鉄則です。500m圏内に住む人は1度は来店してくれたことがある。そういうようにしましょう。

その上で、少し余裕が出てきたら、きちんと商圏調査をして、適切な販売促進をしていくことです。

商圏を軽視して、営業をしないことが肝心です。

 

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図1 お客様の住所を点でプロットしただけの図です。

 

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図1Aは図1を元に最も外側を含めて点をつなげたものですが、

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図1Bは外側は除いて描いたものです。同じ顧客分布でありながらまったく違う図ができてしまいます。

 

 

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図2 地域をそれぞれ4次メッシュという長方形にして区分したものです。

 

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図3 同一の地域で4次メッシュの人口の分布を示しています。200人台から5000人台までさまざまであることがわかります。

 

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(プロフィール)

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引用元:あなたは足元を大切にしているだろうか? (商圏の話) 連載3・・・


今回から1年間12回にわたって、もっと店長の活躍する現場に近い「立地の話」をしていきましょう。いままでよりも一層応用がきき、かつ成果の上がるものになるはずです。

さて、今回はその1回目、チラシやクーポン券の配り方についてみていきましょう。

「そんなことは、もう知っている。何をいまさら」と思った方はいるかもしれませんね。

 

開始

 

しかし、実は、これ、「どこ」で配るかでその効果がまったく違うことを知っていましたか?

そうです。この「どこ」こそ、立地に関係していることです。

店舗前で、チラシやクーポンを配れば良いと単純に考えているとしたら、それは危ないことです。自店舗が所属している「マーケット」によって、配って良い場所とそうではない場所があります。

マーケットとは

では、「マーケット」とは何でしょう。マーケット=市場とは、立地においては、人々の流入度合い、あるいは、商業の発達度合を言います。

このマーケットはその大きさによって、4つに分類することができます。リトルマーケット、中域マーケット、広域マーケット、超広域マーケットの4つです(図表1参照)。

 

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この中で、チェーン店として繁盛し、利益を出しやすいのは、中域マーケット以上のマーケットです。こういうマーケットでは、地元の住民や就業者ばかりでなく、他の地域から購買目的で流入してくる割合が多く、それだけ多くの商売チャンスがあるからです。

これに対して、リトルマーケットは、地元に住んでいる人や昼間に働きに来ている人が圧倒的に多い割合です。そのため平日の昼間は、住民が流出してしまい、また、昼間に流入した就業者も夜は帰ってしまいその地域にいなくなってしまいます。もちろん、土曜、日祭日もいません。

 

チラシ・クーポン券の役割

ところで、チラシ・クーポン券の役割は何でしょう。もちろん、売上を上げることですが、売上を上げると言っても3つの着眼点がありますね(図表2)。

 

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売上=顧客数×来店頻度×客単価 の中でも、まず一番に大事なことは、顧客数を増やすことです。そのためには、一人でも多くの人にお店の存在を知ってもらうことです。

これがチラシの役割ですね。

これに対して、クーポン券の場合、たいていは「安価に」食事ができたりする代わりに、使用期限を設けることで来店頻度を上げることを目的とします。

 

さて、マーケットの違いが、これらの配布方法とどう関係してくるでしょうか?

まず、リトルマーケットです。

そもそもこのマーケットでは、顧客の来店範囲や顧客になりそうな人々の住む範囲は限られています。ですから、店の近くや店に向かう直前にいたであろう場所=TG=交通発生源=駅や大型商業施設で、チラシを撒いてもその効果は低くなります。クーポン券を配ってしまえばみすみす客単価を下げてしまうかもしれません。なぜなら、そうした場所は、既存客のほとんどがいるからです。

効果を上げるには、既存客が通る行動経路とは別のところでチラシを撒かなければなりません(図表3)。例えば、駅の東口に店があるのであれば、西口で配ります。

 

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図表3

リトルマーケットでのチラシ配布

駅の東口に店舗があります。駅からは4方向に向けて動線が形成されていますが、このうち1方向はみな店舗に向かってきますので、この動線上でチラシを撒くのは避け他の3方向に重点的に撒くことをお勧めします。西口で撒くことも商圏を広げる効果があります。

 

 

 

あるいは、店舗に直接影響を及ぼしている可能性が低いほうの商業施設の前で配布することです。とは言っても、リトルマーケットならばこれらの施設はさほど離れてはいないでしょうから、既存顧客が多少重複してしまうのは仕方ありません。

 

広域マーケット・超広域マーケットの場合

広域マーケットならば、流入してくる人々は回遊行動を起こしやすくなります。と同時にこうしたマーケットでは、毎日、異なった人が流入してくる傾向が強いですので、今日お客になってくれた人でも、二度目の来店はずっと先になってしまうかもしれません。

こういったマーケットこそ、店の前、あるいはきわめて店に近い場所で配布することが望ましいのです。つまり、今日、街に流入した人々を確実に、今日の来店につなげるためにチラシやクーポン券を配布するものだと思ってください。明日の来店や半年後の来店を期待するものではありません。

この配布の前提条件として、チラシを見たらすぐ目の前に店があることがわかることです。見ながら歩いていく場合も同様です。

仮に、やや離れた場所で配ってはならないのは、すぐ店が見つからないことを理由に捨てられたりするからです。

 

まとめ

チラシやクーポン券は、リトルマーケットの場合は、店から離れ、別のTGの近くで配布しましょう。広域マーケットのような場合は、店前やごく近い場所で配布しましょう。

 

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生. 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 




 

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引用元:間違っていないかチラシの配布法 連載37


連載36 3月号

 

重回帰分析というデータをたくさん処理できる手法は、とても便利でパソコンを用いると簡単に操作できる最近は多くの専門分野で、世界中で使われるようになってきています。

しかし、最初にチャレンジする人にとって馴染みが薄いことや専門書にもあまり書いていないこともあって、誤った使い方、分析の仕方を行っていることが往々にしてあります。

そこで、今回は、このモデルを作るにあたって多くの人が陥りやすい落とし穴を分析ポイントとして解説していきます。

売上予測は、精度が命です。誤った作り方をすれば、精度どころの話ではなくなってしまいますからよくよく理解していただきたいと思います。

 

分析ポイント(1)サンプル数は少ないところからはじめます。

サンプルが多ければ多いほど良いからといって最初から数百店調べようとする人がいます。

これは、統計解析を少しかじったことがある人に多く陥る罠です。確かに、理論上はこの通りなのです。10サンプル(10店舗)でモデルを作るより、20サンプル、30サンプルで作った方が高い精度の売上予測モデルを作ることができます。

しかし、だからといって、最初から100サンプル、あるいは全店300サンプルを使ってモデルを作ろうとするのは実践的ではありません。

業種業態によって、良い立地、悪い立地というのは微妙に、あるいは大きく異なってきます。

立地条件をどのように定義するか、どのように数値化するかで出来上がるデータは異なってきます。それなのに、一律にこういうデータで行こうと決めつけて、データ収集をしてしまうとそれが間違っていたような場合、すべて、調査し直しということになります。

30店くらいだったら、取り直しもさほど苦ではないかもしれませんが、数百店ではとても簡単にはできるものではありません。

少ない数から始め、どのような立地データが役立つかわかるようになってきてからだんだんとサンプルを増やしていくことをお勧めします。

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分析ポイント(2)データには必ずミスが入り込む。

どんなデータであっても、その調査、加工、分析は人間が行うものですから、その途中で必ずミスが入り込むものです。ですから、一つデータを作ったら必ず見直す習慣を付けましょう。

データの入っていない項目はないか、データが1行、1列ずれていないか、数字でなくて文字が入ってしまっているデータがないか、店舗名と照合して常識的なデータが入っているか(たとえば、A店は大型店なのに、面積として入力されたデータが小さければ、そのデータは間違っていると推測できますね)、

また、データを分析にかけた後のタイミングとして、分析者にとって、ひじょうに都合の良い結果が出たときは、まずそのデータを疑ってみることです。「本当にこのデータは正しいのだろうか」と疑うのです。どんなに疑っても問題がないことがわかって初めて喜びましょう。

 

分析ポイント(3)内部相関の高いデータは使わない

内部相関というのは、説明変数同士の相関のことです。目的変数(売上)となるべく高い相関のある説明変数を見つけましょうと前回書きました。

しかし、その説明変数が、他の説明変数とひじょうに高い相関があってはいけないのです。

例えば、仮に、「商圏人口」が売上と高い相関があったとします。この場合、人口ではなく、世帯数データを別の説明変数として用いたとしたらどうなるでしょう。往々にして、このデータが増えることによって、急に全体の重相関係数が上がります。そういう場合は、仮に、これを「10歳~14歳男性人口」や「1人世帯数」に変えても同様のことが起きます。

なぜかというと、これらのデータ同士の相関は、0・97とか0・99のようにひじょうに高いために、「マルチコ」という異常を起こすからです。マルチコが含まれているモデルは精度がとても落ちてしまいます。

マルチコを防ぐには、2個目の説明変数を探すところから、目的変数との相関を見るのではなく、残差(=実績値-理論値)との相関を見るようにしていくことをお勧めします。

それでも、内部相関が高い変数同士ができてしまうのは致し方ないことです。おおむね0・7くらいまでは許容することもあります。

 

分析ポイント(4)説明変数は少ないほど良い。

1つのモデルを作るために、大量のデータを用意しさえすれば早く作れると思い込んでいる人がいますが、これは間違いです。

最初にどんなに多くのデータがあっても、それらの内部相関が高ければ、それ全部を使うことはできません。つまり、人口や世帯数に関連したデータはどんなに多くあっても一つしかないのとほとんど同じです。

また、詳しい説明は省きますが、説明変数は、[サンプル数-1]より少なくなければなりません。つまり、10サンプルならば、説明変数が9個あってはいけないという意味です。この場合は、どんな重回帰分析ソフトもエラー(計算不能)に陥ります。8個までです。

この延長として、説明変数に加工される前のデータ項目の数も、サンプル数を超えてはいけません。この点はよく見落とされるので注意が必要です。

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分析ポイント(5)後からデータを無根拠に改変するのはNG

分析者は『このデータが「2」でなく、「3」であったら、残差が縮まり都合がいいのになあ』というような誘惑にかられることがしばしばあります。

しかし、データの改変はご法度です。

データを見直したら計算ミスを見つけたというなら良いのですが、何の根拠もなくデータを変えてはいけません。大きな残差が出てくるのは、正確にやればやるほど仕方がないことです。

むしろ、大きな残差が出てくれるおかげで、私たちは、立地上の新しい発見ができるというものです。その発見の機会をみすみす逃すのはもったいない話ですね。

 

分析ポイント(6)まずは、常識をきかせること

重回帰分析で出てくる係数のプラス・マイナスに注意することです。たとえば、その説明変数が、売上に寄与するものであるならば(例えば、商圏人口、TGからの視界性評価など)、係数はプラスであるはずです。逆に、売上に制約を与えるものならば、マイナスのはずです。

その典型的なものは、競合店の存在です。競合店があればあるほど、それは自社店舗の売上を抑制するものです。つまり、競合についての説明変数の係数はマイナスになる。そう考えるのが妥当です。

しかし、プラスになってしまうことがたびたび見受けられます。こういう場合は、説明変数に組み込まないことが肝要です。ただし、特殊な手法で納得のいく説明変数が作られる場合もありますので諦めないことです。

 

分析ポイント(7)サンプル店舗は統計的にうまく絞ること

冒頭にあったように、百~数百店舗を有しているチェーン店の場合は、30~40サンプルくらいに店舗を絞る必要があります。

この場合の絞り方は重要です。単に、行動範囲を短くして効率的に調査できるようにしようと近い店同士を選んだり、面積が似通っている店だけ選んだりというのは避けた方が良いでしょう。

最もお勧めの絞り方は、ランダムに選ぶことです。そして、その上で、全店における売上の平均値と標準偏差という統計値、絞ったサンプルにおけるそれらの統計値がなるべく似通っていることです。

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分析ポイント(8)サンプル店舗を削ってはいけない

重回帰分析をすすめていくと、必ず1つや2つどうしても、残差が大きいままで、合理的な立地要因が見つからないというサンプルが出てくるものです。そうすると、データの改変はしないものの、そのサンプル自体を削ってしまう人が出てきます。

これも間違っています。すでに書いたように、今見つからないからといって、何らかの要因は必ずあるはずです。だから、残差が出ているわけで、これは、新発見の前段階かもしれないのです。ですから、取り除いてしまってはいけません。

どうしても、こういう大きな残差が残っているのが感覚的に受け入れられないというのであれば、「D店指数(仮称)」という説明変数を作って加えることです。この指数は、残差の大きいD店だけに「1」というデータを入れ、他のサンプルはすべて「0」にしておくものです。こういう変数をダミー変数と言いますが、この変数を入れることで、「大きな残差」は消えます。もちろん、原因が見つかったわけではありませんので、後日、調べなければなりません。

 

分析ポイント(9)相関係数に拘り過ぎてはいけない

重回帰分析では、サンプルに使った既存店の売上実績と予測モデルで算出される売上理論値との相関係数が計算されます。これが1.00に近づけば近づくほど、各サンプル店の残差は小さくなり、見かけの精度は高くなります。

しかし、ここが盲点です。確かに見かけの精度は高くなりますが、そのために説明変数の作り方に相当な無理がかかります。

ひじょうに恣意的なデータになってしまったり、必要以上に多くのデータを使ったものになったり、つまり、意味のない精度アップをしているおそれがあります。

売上予測モデルは実践で活用したときに、高い精度で予測できなければ何の意味もありません。

既存店、しかもサンプル店の精度に拘っているよりも、正しいデータ、正しい説明変数を入れて高い精度の予測ができれば良いのです。筆者は個人的には、売上予測モデルの相関係数は0・85もあれば十分だと考えています。0・95を超えるようなモデルは作らないほうが無難だと思っています。

 

分析ポイント(10)コンピュータ(ソフトウェア)に任せきりにしない

重回帰分析に用いるソフトウェアの中には、「自動選択法」という機能がついていて、たくさんの説明変数の中から、統計的に間違っていないと言える説明変数だけを見つけてくる。

やや詳しく言うと、ある説明変数をモデルに加えて、相関係数が高くなるなら採用し、低くなるなら不採用とする機能です。人間は何も考えないで良いので、便利で簡単です。

しかし、こうして出てくる売上予測モデルは、だいたいが、箸にも棒にもかからないシロモノになります。競合指標の係数がプラスだったり、商圏人口がマイナスだったり。

一つ一つの説明変数を見ながら、残差の大きいサンプルを照らしながら人間が一歩一歩分析していく方が必ず良いもの(精度の高いもの)ができるものです。

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まとめ

以上、10つの分析ポイントを挙げましたが、これらは典型的なものばかりで、実際に分析するとなると次々と注意しなければならないことが出てきます。しかし、それらは分析を多数行っていくうちに自然とクリアーできるでしょうし、もし、そうならなければ、分析のセミナーに行ったり、熟達者を探して聞いたりすることをお勧めします。

 

さて、今回で、昨年4月号から始まった“売上予測ができるようにしよう”という連載は一区切りとさせていただきます。次回からは、また、立地の基礎、原則について改めてお話ししていく連載と致しましょう。

 

 

(プロフィール)

林原安徳はやしはら やすのり
売上予測のプロ。経営コンサルタント。1956年さいたま市生56才。 東大(農)卒後、日本マクドナルド(株)出店調査部にて、「立地と売上予測」を基礎研究。退社独立後、理論を独自に深耕させSORBICS(ソルビクス)と命名。これに基づき、チェーン展開する多くの企業や個人を指導。主な著作「実践・売上予測と立地判定」(商業界)「最新版 これが繁盛立地だ!」(同文舘出版)。無料メルマガを配信中。http://www.sorb.co.jp

 

 

 

重回帰分析 10のポイント

(1)サンプル数は少ないところからはじめます。

(2)データには必ずミスが入り込む。

(3)内部相関の高いデータは使わない。

(4)説明変数は少ないほど良い。

(5)後からデータを無根拠に改変するのはNG

(6)まずは、常識をきかせること

(7)サンプル店舗は統計的にうまく絞ること

(8)サンプル店舗を削ってはいけない

(9)相関係数に拘り過ぎてはいけない

(10)コンピュータ(ソフトウェア)に任せきりにしない

 

 

 

 




 

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林原安徳:有)ソルブは、立地と高精度/売上予測で「不振店」を根絶します。
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引用元:重回帰分析による売上予測モデルの落とし穴 連載36