• セットバック
お店の面が道路から少し後ろに下がっていることを言います。お店の前に空間ができて、自転車などが置けるので一見良さそうに思えますが、それは違います。

ほんの2メートルもお店がセットバックしていると、人はお店が遠く感じてしまうものです。そのため入ってくれないということもあるのです。空間自体が心理的な障害になってしまうのです。

このような場合は、店頭にノボリ旗を立てたり、商品見本などを置いて距離感を縮める工夫が必要です(図6)。

 

間口

 

  • 重いドア
お店の出入り口のドアがとても重く、女性ではとても開け閉めが難しいというようなことがあります。これはたいへん困りものです。

まるでお客に来るなと言っているようなものです。

風除室を設けてある場合は特に注意が必要です(図7)。ドアはいつでも軽く開けられるようよく調整してください。そして、もし衛生上問題がない場合は解放しておくことが立地上は望ましいのです。

 

間口

 

  • 日射
日差しが問題というと奇異に聞こえるかもしれませんが、過剰な日差しはあまり良くありません。特に夏場に太陽の強い光や西日が差し込むような店は敬遠されがちです。テントを付けたり樹木を植えたりして緩和する必要があります(図8)。

 

間口

 

□ロードサイドの場合

来店手段の大半が、自動車であるロードサイド立地である場合、上記に加えて次のような点に注意すべきです。

  • 駐車場入り口の広さ
道路から車が進入するための間口を切り下げと呼びますが、これが最低6メートル以上なければなりません(図9)。

 

間口 切り下げ

また、仮にそうであっても、入り口すぐのところにポール(図10)やノボリ看板などを立てることは禁物です。それらがあると車ドライバーが安心して進入することができなくなります。

 

間口

 

  • 入り口を示すサイン
入り口がどこにあるかが分からなくて通り過ぎることがよく発生します。駐車場の間口はあれば良いというのではなく、できれば100メートル以上手前から、どこが間口になっているかが分かるようにすることです。見えないならば、サインブロックを設置するなどの工夫が必要です。

  • 幹線道路へ出る案内
駐車場からのアウトに関しても配慮が必要です。初めて来店されたお客様は、中央分離帯がある道路に出るために、どうやって迂回したら良いか、また、どうやって幹線道路に抜けたら良いか知りたいものです。もし、安全で便利な抜け道、裏道などがあるのなら、そうした案内を店内や駐車場に掲げてあることがお客様の好感を得ることに繋がり、再来を期待することができます。アウトへの配慮は忘れがちですので特に注意してください。

  • 自転車への配慮
郊外の店でも自転車で来店する人は少なくありません。そうしたとき、きちんとした自転車置き場があるとないとではお客様の受ける印象は格段に違います。日射や雨を除ける屋根が付いていれば安心です。自動車が停めるには無理のある区画があるようでしたら、こうしたことに活用すべきです。

 

まとめ

以上のようにいろいろ挙げてきましたが、要するに人々の目線に立って少しでもお店に入りにくいという心理的要因があったら、それがインアウト障害(物)です。もちろん中には店ではどうしようもないこともあるでしょう。しかし、改善できることがあるなら、少々のお金はかかってもお客様のためになることですから、長い目で見れば得なのです。積極的に改善していきましょう。

 

 

注1 自転車保有実態に関する調査報告書(平成25年3月財団法人自転車産業振興協会)

注2 車種別保有台数表(平成26年12月末現在一般財団法人 自動車検査登録情報協会WEBSITE)

 

本文2481字(図画が多いのでいつもより少なめです)

 

今回の資料

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図1駅と店との間には植栽とガードレールがあって直接行き来ができない。

 

バス 

図2 駅と店との間には、バス等の車があって直接の行き来はできない。

 

間口

図3 奥の店はたくさんの店が放置されています。しかし、手前側の店は自転車がほとんど置かれていません。これは店の努力によるものです。

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。独自に深めた立地理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

 




 

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引用元:自転車があなたのお客を遠ざけます 連載62-2


連載62 
2015
5月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 26.回目

 

自転車があなたのお客を遠ざけます

 

 

 

自転車の重要性が増す

このところ自転車の愛好者が増え、その保有台数も7155万台(注1)と乗用車の6,067万台(注2)を超えています。スポーツタイプの自転車に加え、電動アシスト車やレンタサイクルが普及しているからです。この背景には、人々の健康意識や環境意識の高まりが考えられますが、もともと他の交通手段に比べれば、自転車が近距離を行くときもっとも効率的な乗り物です(表1)。

 

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表1

 

しかし、この自転車がお店にとって曲者(くせもの)ですね。

つまり、自転車はお客様を運んできてくれる店にとって強い味方であると同時に、ちょっと油断するとまったく困った存在になります。

いうまでもなく、それは「放置自転車」ですね。

お店の前がとても広く何台駐車されようと歩行の妨げにまったくならないならともかく、たいていの場合そういうわけにはいきません。ちょっと自転車整理を怠るとたちまち歩行もままならなくなる店は少なくありません。

自転車などのこういう存在を立地では、インアウト障害(物)と呼んでいます。他には、考えもなく立てられたノボリ旗や数多くの置き看板、時にはガードレールや道路標識、陸橋なども含まれます。

要するに、人々がお店に向かおうとしたとき、それを邪魔するような存在です。

自己中で気が短い人が多いですから、自分がお店に向かおうとして途中で邪魔されてしまうとすぐに諦めてしまうものです。

仮に、駅口から出て目の前によく見える店に行きたいと思っても、その間に植栽やガードレールがあったり、自動車が通っていたり、少しの段差があったりすれば、遠回りすることさえせず諦めます。

狭い道路にもかかわらずバスが運行しており歩行の危険を感じるような場合も同様です。

こうしたインアウト障害はある意味、店では改善しようがない立地上の問題ですから仕方ないですね。

でも、自転車はある程度、お店でなんとかできるものです。いつでも整理整頓を行っていればお客様もそのうち協力してくれるようになるものです(図3)。

 

 

 

 

一方、インアウト障害(物)でお店で改善できるものには他にどんなものがあるでしょうか?

 

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図4-A

 

  • 段差
店前に、下水溝の段差(図4-A)はありませんか?

たいしたことはないと思われるかもしれませんが、これがけっこう問題になるのです。とりわけ車椅子を使用の方には大問題です。

これには、店前の間口分の広さで覆いしておき躓かないようにしておきましょう(図4-B)。間違っても部分的に覆ってはいけません。

 

段差

図4-B

 

 

段差

図4-C

 

危険度がましてしまいます(図4-C)。

また、ステップをつけなければならないほど、店前道路との間に段差が出来てしまう場合は、スロープをつけることも一考です(図5)。

 

 

ステップ

図5

 

(連載62-2 に続く)




 

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引用元:自転車があなたのお客を遠ざけます 連載62-1


まず、「影響しあう」とはどういうことでしょう。

当然ながら、自店の売上や客数に影響することを言います。では、どのくらい変化したら影響したといえるでしょうか?

それは、少なくとも5%以上です。これだけないと影響があったとは言ってはいけません。

では、どんなときこれだけの影響を受けるでしょうか?

それは、自店のお客様全体の25%以上が、ライバル店を利用する機会がある場合です。

 

実は、ライバル店が自店舗のお客を奪っていくだけの存在ではないことはマーケティングの世界ではよく知られていることです。

これが「市場拡大」と呼ばれる現象です。お店に当てはめると、お店が1店舗しかない時よりも、2店舗になると、市場(マーケット需要)は1・4倍に増えます(図1)。

 

 

商圏重複と市場拡大

図1商圏重複と市場拡大

2つの店は、商圏が重なり合った部分で市場拡大が起きる。ここにいる人々の購買頻度が1.4倍になる。

 

このためお互いが受ける影響はとても緩和されます。

仮に100人のお客様の中で25人が2つの店を利用できるようになると、その人達の利用頻度は1・4倍になり、見かけ上はお客様の数は35人になります。

お互いの店に半数ずつ行くとして、各店17・5人ずつになります。100-25=75人が元のままですから、この75人に17・5を足し合わせた数=92・5人がライバル店ができたことによる客数ということになります(図2)。

 

競合

図2 売上影響度

 

最初が100人ですから、7・5人が減少した分です。客単価が同じと考えれば、この減少は売上げの減少です。そして、5%を超えますので、これは確かに数字になって現れます。

 

つまり、自店舗のお客様の4分の1以上が、2つの店を同じように利用できるなら、立地上「同じような店」=ライバル店と言えるのです。

 

では、具体的にはどんな立地の場合でしょうか?

1.TGが共通している場合

まず最初は、自店に影響を及ぼしているTG(交通発生源)が同じ場合です。たとえば、駅が同一であるとか、大型スーパーマーケットの同じ出入り口に面しているのような場合です。

2.動線が共通している場合

TGからの直接的来店がない場合でも、人々が歩いたり車で進む道が同じような場合です。この場合は、店同士が見えないことが多く、また近くにないことがあるためあまり影響していないのではないかと思わせることもしばしばあります。

ただし、よく観察して、どちらかの店の前を通る人の後を付けるともう一方の店の前に出るのでライバル関係にあることがわかるものです(図3)。

 

競合

 

3.その他で商圏が重なっている場合

 

互いにTGや動線が共通していないにも関わらず、影響しあうことがあります。それは商圏が重なりあっているからで、目的来店する人々が多いような場合におきます。これは街中よりも車来店する割合が多い郊外などでよく見られます。

 

反対に、どういう場合に競合の影響が少ないでしょうか?

 

第一は、マーケットが大きい場合です。ここでいう大きいマーケットとは、周辺の購買需要が人口や昼間人口に比べて大きいことを言います。需要が大きい分だけそこはすでに多くの店で需要を分かち合っているため、1店舗くらい増えた程度ではあまり影響が出にくいのです。

 

第二は、ライバル店の面積が自店に比べ格段と小さいような場合です。3分の1程度ならばほとんど影響はないと考えても良いでしょう。

 

第三は、ライバル店がTGより遠くに出ている場合です。これは遠い分だけTGの影響を受けにくくなるからです。

 

では、ライバル店が出店した、出店する予定というときはどうしたら良いでしょう?

影響が少ないような立地であれば見過ごせば良いかもしれませんが、なかなかそうとは限りません。相手も競合ライバルがいることが分かっていながら満を持して出店してくる、きたのです。

まずは、セオリー通りに対応することをお勧めします。立地と営業の現状を把握し、ライバル店の強み・弱みと自店の強み・弱みを冷静に比較することです。

その上で、商圏内のお客様が自店に求めていることを強化し、自店に不満を持っていることを解消するための活動、サービス強化を図ってください。

 

 

 

 

 




 

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引用元:ライバル店ができて影響を受ける立地 連載61-2


連載61 
2015
4月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 25.回目

 

ライバル店ができて影響を受ける立地

 

 

 

高みを目指そうとすると、人には必ずライバルができるものです。それはスポーツであれ、学問であれ、芸能や技術でも同じです。

そして、店舗運営でもまったく同じです。

良いサービス、人気のある商品を提供すればするほど、その店を目指してライバル店は生まれ、仕掛けてくるものです。

 

ライバル店は、別名「競合店」ですが、”競い合う店”ですから意味は同じです。でも、競合しているというと、なぜか取り合いをしている、敵対しあっているようなイメージがありますね。

だからといって、決して心得違いをしてはいけません。

よく、「自店の売上が下がったのは競合店ができたからだ」あるいは「安売りを仕掛けてきたからだ」というように、文字通り目の敵にして、「競合店なんて無くなればいい」と発言する人を見かけます。これは間違いです。

競合店=ライバル店を意識することはとても良いことで、自店を見直しより良い店にする機会になります。ですが、過剰な反目や相手を軽んじた思いは何の役にも立ちません。ましてや、自店舗の売上不振をライバル店のせいにして言い訳しても意味がありません。それよりも、自店舗に影響を与えるほどであったなら、ライバル店を徹底的に観察し良いところを探し出し、自店の経営に応用するくらいの余裕がほしいものです。

 

商圏重複と市場拡大

図1商圏重複と市場拡大

2つの店は、商圏が重なり合った部分で市場拡大が起きる。ここにいる人々の購買頻度が1.4倍になる。

 

 

 

一番のライバルは?

チェーン店ならば、同じ会社が出している同じ看板の店が一番のライバルです。いわゆる自社競合です。

お客様からすれば、「どちらも同じ」にしか見えません。もちろん、細かいところを言えば違っているのですが、こうした違いは大きくありません。個人店でも店の作りや扱っている料理、サービスの仕方が似通っているならば強いライバルです。

要するに、お客様から見て「同じように感じる」店がライバルであり、まったく異なる場合はライバルではないのです。

 

この「同じように」は大事なキーワードです。

「名前や看板が同じだけど」あるいは「とてもよく似てるけど」、「中身はぜんぜん違う」と思われたなら、決してライバルではないということです。

これは立地についても言えます。

 

もし、同じ駅前の同じ場所に2店並んでいたら、誰がどう見ても「同じ」だから、競合します。

でも、隣町の駅や、同じ駅前でも行き交うことが難しい駅口どうしであったなら、立地が違うので競合しません。ライバルになり得ません。

では、どんなときに、影響しあうライバル店と言えるのでしょうか。

 

まず、「影響しあう」とはどういうことでしょう。

当然ながら、自店の売上や客数に影響することを言います。では、どのくらい変化したら影響したといえるでしょうか?

それは、少なくとも5%以上です。これだけないと影響があったとは言ってはいけません。

では、どんなときこれだけの影響を受けるでしょうか?

それは、自店のお客様全体の25%以上が、ライバル店を利用する機会がある場合です。

 

 

(連載61-2へ続く)




 

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引用元:ライバル店ができて影響を受ける立地 連載61-1


商圏調査で見て回る範囲は、徒歩で来店する人が多そうなら少なくとも半径300m~1kmはまんべんなく歩いて見ておきましょう。車が主体なら2~3kmを車や自転車で行います。

 

(3).第三者のアドバイスを受ける。

やはり、業態やサービスによほどの自信がない限りは、立地を慎重に判断しなければいけません。自分だけで安易に決めてしまうことはやめましょう。

自分が住むための部屋探しをするのなら、あなただけの判断で決めて良いのです。しかし、お店はお客様あってこその商売です。「周辺の人々」にとって良い立地であるかどうかがポイントです。

 

実査地図

 

まずは、あなたの知り合いでも良いから、その立地について意見をもらうことです。あなたと違って当事者でないから、客観的な意見を言ってくれるでしょう。

「ちょっと入り口が狭い」とか、「地下は止めたほうが良い」とか、気になることを言ってくれるでしょう。

(そんなことはわかっている)と思ってしまってはいけません。あなたは誰もが思うことを軽視しているかもしれないからです。

とりわけ、あなたが気に入った物件が出てきた時こそ、第三者の意見、アドバイスはとても重要です。なるべく多くの人に聞いてください。友人、知人は言うに及ばず、親、兄弟、親戚にも意見を聞きましょう。

 

注意していただきたいのは、フランチャイズ加盟のような場合はその本部の人達がいうことを真に受けないことです。「歩行者が多いですから」、「店は見えなくても人口が多いですから」と聞いただけでは、「正論」のようなことをたくさん言うでしょう。これらは皆、営業トークだと思って聞き流して下さい。

もう一つ、その物件を紹介してくれた業者さんの意見も聞き流す必要があります。もちろん物件について厳しいことを言ってくれるなら別ですが、なかなかそういう公平な立場は取りにくいものです。

最終的に、契約するかどうかは、あなた自身の判断です。

だから、あなたが客観的な目で立地を見なければいけません。

「たくさんの人にとって、この物件の立地が望まれている」ならば良い立地です。

この判断ができるようになるためにも、一つ付け加えるなら、「立地の専門家」にも見てもらうことです。大手チェーン店などで店舗開発業務や調査業務を行ったことがある人達のことです。

あなたの友達のつてをたどっても良いですし、筆者にアクセスしてくれてもけっこうです。

以上の3つ、起業の時は思い出して下さい。

 

本文2544字

 

注釈

 

*契約前に物件建物の中を見ることを「内見」と言います。内見では、内外装の状態をチェックすることはもちろんのこと、電気(電灯・動力)、ガス、上下水道(給排水・配管)、換気、冷暖房などのインフラ設備、天井裏、天井・壁・床素材やビル屋上設備、地下設備や耐震性やビル構造、防音、防犯など専門家しかわからないようなことまで、よくよく精密に調査しておかなければなりません。

 

今回の資料

 

図1 弊社の商圏データ集計ソフト「統計てきめん」で収集した統計グラフ

図2 「実践・売上予測と立地判定」(商業界刊:林原安徳)p52

図3 筆者が最近、実際に商圏調査で用いた地図に描かれた走行の跡

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。独自に深めた立地理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

 




 

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引用元:独立開業したい時に思い出してほしいこと 連載60-2


連載60 
2015
3月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 24.回目

 

独立開業したい時に思い出してほしいこと

 

もし、あなたが自分のお店を開いてみたいと本気で思った時は思い出してほしいことが3つあります。

もちろん、立地に関することです。

(1).必ず現場を見る。

(2).商圏を実査する。

(3).第三者のアドバイスを受ける。

これらについて説明します。

 

(1).必ず現場を見る。

まず、お店を出すための候補物件が見つかったら、決める前に必ずこの物件を見に行って下さい。必ずですよ、必ず。

どうしてこんな当たり前のことを言うのかと疑問に思われるかもしれませんね。それは、これが一番大きな盲点だからです。

現場を見もしないで、決めてしまう。こんな信じられないことが往々とあるのです。なぜでしょう。

それは、なかなか納得できる物件と言うのは見つからないものだからです。

お店を出せる物件というのは、住居やオフィスに用いる物件と比べると少ないということが第一。そして、その中から、手頃の家賃のものはさらに少ない。立地が良いものとなると、もっともっと少なくなります。ですから、一つのお店を決めるまでに100の物件を見るくらいの覚悟が必要です。ここにかける時間と手間を惜しんではいけません。

でも、人間はどうしても楽することを考えてしまいます。さんざん物件を見たり調べたりするうちに、だんだんと億劫になってくるものです。

だから、最初の頃こそ一所懸命調べるのですが、100物件近くともなると、「あの辺りは調べたから」とか、「これなら図面だけでもわかる」と自分に言い訳して、現場を見に行かないことも出てくるのです。

そこまででなくても、内見することをサボったり、内見はしても

いろいろな確認(*)を怠ったりしてしまうものです。

そうならないよう店を決める(契約する)前は特に念には念を入れる、このことを肝に銘じておいてください。

 

 

(2).商圏を実査する。

もう一つ、「これも面倒だから」、「何を見たら良いかわからないから」とやらないことがあります。それが商圏の「実査」です。

簡単に言うと、お店の周辺を見て回ることです。

この実査を行っているといないとでは、開店してからの営業のやり方に大きな差が出てきます。

まず、あなたのお店のお客様になってくれるであろう住民、就業者がどこにいてどんな様子であるかを知っておくことです。

例えば、共稼ぎが多く昼間は住民がひじょうに少ないとような場合は、ランチタイムの売上は期待できないかもしれません。その反対に、事業所が多く、ランチタイムになるとあちこちからサラリーマンやOLが出てくる地域かもしれません。

そして、そういう人達がどこにたくさん住んでいるか、密集しているかということも重要な情報です。これを予め知っていれば開店後どの地域を重点的に販売促進していけば良いかがわかるからです。

もちろん、商圏についての客観的なデータを収集することも忘れてはいけません。人口だけでなく、年齢別人口比率や人口増加率はもとより、今後の推移予測、通勤通学の手段別、職業別、学歴別等の比率なども重要です(図1)。

 

統計てきめん2プレミア グラフ

図1 弊社の商圏データ集計ソフト「統計てきめん」で収集した統計グラフ

 

とはいえ、実査:実地調査に優る「データ」はありません。実査は5原則(図2)にしたがって、調べていけば効率的です。

同業店も見ておきましょう。飲食店ならすべてあなたの先輩であり、競争相手です。どの店がどのように繁盛しているか。あなたが注意すべきライバル店はどれなのか。どの店のようになってはいけないのか。勝てるのか勝てないのか。

そういうことを調べるために店の外見ばかりでなく、中にも入ってみましょう。自らお客になって、観察してみましょう。あるいは、店主と話してみましょう。

そうして、どんな人がどんな店を利用し、どういうところを満足し、どういう点に不満を持っているのかを知りましょう。

そうやって、人々の生の姿を知ることは、大事な商圏調査です。

商圏調査で見て回る範囲は、徒歩で来店する人が多そうなら少なくとも半径300m~1kmはまんべんなく歩いて見ておきましょう。車が主体なら2~3kmを車や自転車で行います。

 

(連載60-2 へ続く)

 

実査の5原則.

図2 「実践・売上予測と立地判定」(商業界刊:林原安徳)p52




 

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引用元:独立開業したい時に思い出してほしいこと 連載60-1


③説明をする。

存在を知らせることと良く似てはいますが、こちらは、看板に描かれた情報をある程度の時間をかけて読み取ってもらうものです。

お手洗いなどは説明しなくても誰でもその意味はすぐに分かります。しかし、一瞬見ただけではよく分からないというものは多くあります。

例えば、百貨店やショッピングセンターなど大きなお店では、各階のどこに何があるか、図面や商品名、店名、業態名などを記載して説明しておかないとなかなか分かりません。

ですから、店舗案内図という看板が出入口やエスカレータ付近に置かれています。

また、団地などの入り口には「団地案内図」が置かれ、ホテルなどに代表されるビルには「防災避難経路図(写真6)」が必ず設置されています。もちろん、お店の前には、「メニューのご案内(写真4)」やショーケースがありますね。

 

看板

写真4 お店の前にたくさん置かれた説明機能マンサイの看板

 

野立て看板

写真5 何屋がどこにあるかをきわめてシンプルに表現してある優れた野立て看板

 

 

避難経路図 看板

写真6 避難経路図

 

 

以上のように、看板には、3つの機能があります。そして、その機能に応じて、看板の作り方が変わってきます。

まず、情報量(描いてある文字や図形)は、③⇒②⇒①の順に少なくなっていきます。①に至っては、ほんの一瞬見ただけでもわかるようなデザインでなければなりません。

もちろん、③であったとしても、過剰な情報量は、よくありません。必要最小限にすべきであって、たくさんの情報を知ってほしいなら、パンフレットなどを用意して補えば良いわけです。

また、発見し易さ、分かりやすさも③⇒②⇒①の順です。

ですから、看板の大きさや看板を設置する場所への配慮も、①が一番重要になります。

 

では、売上に一番効果的な看板はどれでしょうか?

素朴な答えは、①になるかもしれません。お店があることが分かれば来てくれるでしょう。

実は、そうではないのです。

お店があることが分かっただけで来てくれる人というのは、元々、そのお店に行きたいと思っていた人です。つまり、探していた人であって、そういう人の多くは、探し出してくれるものです。

お手洗いに行きたいと思っている人は、たとえ看板が見つからなくても、従業員に聞いたりして何が何でも目的地に行こうとしますね。これと同じです。

また、③でもありません。③はもっと目的意識の強い人が見るものです。

特定の商品がどこで売っているかを探そうとしたり、行きたい住所の家がどこにあるかを探したりするために、人々はその看板を見るのです。店に入る前にじっくりとメニューの品定めをしたいがゆえに、「メニューのご案内」看板を見るのです。

と、残るは、②の誘導機能がある看板です。

人の来店形態には、店に行きたいと思っていて、探しているときに、看板を見つけ、入店するという目的来店と、たまたま看板を見て、行きたくなって、その看板の指し示す場所に向かうという衝動来店の2通りがあります。前者は、動機が先で看板は後ですが、後者は看板が先で動機が後です。

衝動来店は、看板が見えて、それが何の看板であるかを識別して(食べるところなのか、物販なのか、遊ぶところなのか・・・)から、店に行こうとするのですから、「お店がどこにあるか」がわかることがとても重要になります。「ココ」なのか、「この先1km」なのか、「吉野家の角曲がる」なのかが分かることです。それも、一瞬にして分かることです。

 

 

案内看板

図1 もし当時、筆者が作っていたとしたらこんな誘導看板だったでしょう。しかし、店に来たことのない人がこの看板を瞬時に見ただけで店まで来られるたでしょうか?きっと、駅看板作っても売上増にはつながらなかったでしょう。

 

もう分かりましたね。駅に看板を出しても、お店の位置が一瞬にわかるようなデザインでなかったら、お客を増やすことはできません。「出て左、10秒」ならOKです。でも、「出て、右へ向かって、〇〇百貨店入り口前で左折30mで左折、さらに10前進で右・・・」などというのでは、ほとんどの人には分かりません。仮に、こうした複雑な道順を、地図を描いて説明してもほとんど認識も記憶もしてくれないでしょう。この看板を見て来てくれた人がいたとしても、その人は、元々、その店を知っていたからに過ぎません。

こうして、それなりの増客効果を得るには、店の場所をすぐに説明できるような地点に、誘導機能がある看板を出すことだと分かってくれたと思います。もちろん、そういう地点が、今までお話ししてきたTG(交通発生源)であればなお一層効果的です。

 

 

 

 

 

看板

写真1 ポツンと赤い看板が目に飛び込んでくる「バーミヤン」の看板。存在告知機能はあるものの、どこで左折したら良いか、一瞬では分かりづらい(誘導機能が弱い)野立て看板です。

 

看板

写真2 「工事がある」ことと、工事が「200m先」で行われていることが、瞬時に読み取れる卓越した看板です。存在告知機能も誘導機能も活きています。

 

 

看板

写真3 メニューの説明機能を重視しているのか、存在告知機能なのか、よくわからない中途半端な置き看板

 

 

 

本文2816字

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。独自に深耕させた理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。




 

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引用元:駅に看板を出すよりもっと効果的な方法 連載59-2


連載59 20152月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 23.回目

 

駅に看板を出すよりもっと効果的な方法

 

マクドナルドの店長だった頃に、筆者は本部に駅に看板を掲載してくれるよう熱心に働きかけたことがあります。結果的に実現することはなかったのですが、この時、本部スタッフに言われたことが忘れられません。

「駅の構内に看板を出したとしても、売上が上がるとは限らないんですよ。むしろ、店の固定費を増やすだけになるかもしれませんよ」

この頃の私は、このスタッフの言ったことにどうしても納得がいきませんでした。

大きく下がってきた売上を回復したい。そのためには、最寄駅にたくさん集まってくる人々に「店の存在」を知らせ、一人でも多くのお客を確保したい、そんな思いが強かったからです。

 

看板

 

写真1

 

もちろん、この提案を掛け合うには自分なりの勝算がありました。例えば、駅前でチラシやクーポン券を配れば、それなりに多数のお客が来てくれて、売上アップにつながります。また、お手製の看板を体の前後に吊るしサンドイッチマンのような恰好になって配ると、「明らかに」効果は増大するのです。つまり、客は、単にクーポン券を受け取るだけよりも、「目立って印象的な状況」で受け取ったほうが、来店する動機が強くなるのです。

だからこそ、駅構内に「目立った」看板を設置すれば、客数が増え、売上アップにつながると考えたわけです。

若かったとはいえ、ずいぶんと短絡的だったと、今は考えています。

実は、駅に看板を出すよりも、ずっと効果的な方法があるのです。

この方法をお話しする前に、まず、看板の機能について知っておきましょう。

 

看板

写真2

 

看板には、大きく分けて3通りの機能があります。

①存在を知らせる。②場所を知らせる。③説明をする。の3つです。

 

①存在を知らせる。

これは、看板があるところの周辺に、「何か」があることを知らせることを意味します。

例えば、お手洗いに行きたい時には、あの男女マークがついた看板を探しますね。そして、そのマークを見つければ、その近くにお手洗いがあることが分かります。あとは、その看板の近くに行けば目的を達することができます。

これは、お店についても当てはまります。駅の周辺で、マクドナルドに行きたいと思っていれば、見回して、ダブルアーチのロゴを探しますね。見つかれば、その近くにマクドナルドがあるというわけです。これは、看板の「存在告知機能」と言います。

②場所を知らせる。

お手洗いのケースで言えば、男女マークの横か下に矢印があるだけで、「どこにあるか」が分かりますね。お店の看板もそうです。とりわけ、ロードサイドに設置する野立て看板には、この「どこにあるかを知らせるデザイン」があれば、それを頼りに、お客は来てくれるようになります。これを、看板の「誘導機能」と言います。①と②はうまく作ると両方同時に機能させることができます(写真1、2、5)

 

 

看板

写真3




 

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引用元:駅に看板を出すよりもっと効果的な方法 連載59-1


連載58 20151月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 22.回目

 

店も歳をとります。改装時に考えるべきこと。

 

誰もがよく知っているあのマクドナルドは、だいたい5年に1度くらいの頻度で、お店の改装を行っています。内装デザインはもとより、厨房の中や駐車場も含めて、百万円前後の小改装から1千万円近い大改装まで定期的に行っています。

これによって、①ふだんは清掃できない細部にわたって清潔度をアップする、②デザインを一新することでお客様からの好印象を得る、③厨房や客席での労働環境を良くして生産性をアップさせるなどの効果が得られます。

 

看板

写真0 お店の看板を入り口の上の壁に上品に設置した例

 

 

 

こうやって改装を繰り返しているから、このチェーンは、日本上陸てから半世紀近く、まったく陳腐化することなく新鮮なため多くの人々に愛されているのだとも言えます。

 

しかし、改装を必要としているのは、こういったチェーンばかりではありません。あなたが運営に携わっている店も当然必要なことです。そして、改装の効果、目的はこの3つだけではありません。今回は、改装の話しです。

 

 

 

看板

写真1 お店がセットバックしているので、そこにテントを張って見えるようにしている

 

 

店も歳をとるということ

個人店ではとくに目立つことなのですが、お店を開店するときに、その後のことをあまり考慮していないことがあります。とりわけ、清潔さを保つという点で顕著です。

たとえば、床。厨房の床が水で濡れているというのは、細菌の繁殖し放題になり論外ですが、モップやデッキブラシで簡単に汚れを落とせるような床材を使っているでしょうか。

 

また、客席をゴージャスにしようとして、絨毯(じゅうたん)を敷き詰めているなんてことはないでしょうか?見た目は良くても、絨毯の下のことを考えてください。日が経つに連れてここにはたくさんの細菌や昆虫、回虫類が住み着きます。

 

 

 

看板

看板

写真2、3 お店の壁いっぱいに、デザインを施している例

 

 

一時が万事、清潔を保ちやすい店か、どうかよおく考えてください。清潔が保ちやすい店は、どこでも手が届き、どこでも洗える、どこでもきれいにできるようになっているはずです。この逆に、手が届かないところがある、洗えないところがある、そういう店は要注意。どんどん劣化していきます。天井だって、脚立に乗れば清掃ができるはずです。天井裏もそうです。点検口から中に入れるようになっているはずです。ダクトも清掃ができなければなりません。

清掃さえできれば良いわけではありません。ほとんど全ての什器、備品も歳を取ります。劣化します。座敷の座布団は使っているうちに穴が開きます。長椅子の背もたれには傷がつきます。

エアコンも壊れますし、トイレのカギも破損します。

こうしたことは、言わずもがなでしょう。

だから、お店も歳をとるというのです。お肌のスベスベした赤ん坊が、しわくちゃの老人になるのと同じです。しかし、店の歳のとり方は、人間より、はるかに速い。このことを肝に銘じてください。5年、長くても10年です。

営業をはじめて10年したら、お店は寿命だということです。こんなに長く営業できていること自体、たいしたものだと思うのですが、その前に、きちんと改装しておけば、寿命を伸ばすことができます(マクドナルドは少なくとも50年近く生き残れる店が大半です)。

では、店の寿命を伸ばす「改装」をするときに考えるべきことは何でしょうか?

第一に、清潔度のアップでしたね。店の素材や機器を新しいものにすることも考えましょう。

第二は、デザインを一新することで、お客様の中にある古いイメージ、時代遅れのイメージを払しょくすることです。だから、改装時は、しっかりとしたデザイナーに依頼してもらうことです。仮に自分で作業して改装するにしても、プロのアドバイスをよく聞いたほうが良いですね。

第三は、労働環境の改善です。もちろん、客席を含めてのことですので、お客様にとっても、より便利でより安心、より安全な環境を考えなければいけませんね。

 

セットバック

 

段差

 

写真4、5 いずれも道路との間に段差があるが、セブンには手すりが設置され、ファミリーマートでは、鉄製のカバーが掛けられているため入り易くなっている。

さて、改装の目的はこれだけで良いでしょうか。いえいえ、立地上の改善も行ってください。

これが、四番目です。

その1。店を遠くからでも見えるようにすること。視界性評価の改善。

看板が重要です。色褪せた看板はもってのほか。汚れた看板、電球や蛍光管の切れた看板はありませんか?置き看板の表面の板を取り外したら、6本あるべき蛍光管のうち3本しか点灯していなかったという笑えない話もありますから、この点は注意し過ぎることはありません。

看板が見えないことの要因の一つに、看板内にごちゃごちゃとたくさんの情報が含まれているというのがあります。こういう場合は、改装を機に、情報を整理して、本当に必要なことだけ数点に絞ってデザインし直すことをお勧めします。

店の間口、全体の形、これらを昼間も夜間も、しっかり目立つかどうか、よく見直してください。例えば、入り口間口がセットバックしているような場合、路上からは気づきにくいものです。

間口がせり出すような構造にできるか、考えてみることです。誰が見ても、そこにお店の間口があることがわかるようにすることです。

 

その2.店や駐車場に入り易く、出やすくすること。

店と路面との間に段差があったりします。こういう段差は心理的に入店を妨げます。段差自体を直せないとしても、ステップを広々として、植栽や生花を置けるような工夫をして入り易い雰囲気を作ることです。

駐車場に入る間口は6m以上あるでしょうか?また、駐車する間隔は2・5m以上になるように白線が描かれているでしょうか?裏道を使って車の出入りができるようならば、そのことを案内板に描いて告知しているでしょうか?概して、駐車場はお客様の使い勝手が良いようになっているでしょうか?こうしたことを改善するのも改装が良い機会です。

 

 

年齢別 グラフ

図 左右の商圏は3km弱しか離れていないが、年齢別人口分布がまったく異なっている。

左ならファミリーの来店を期待できる一方、右はあまり期待できない。主な年代層が高いのでこれを考慮したデザイン作りが望まれる。

 

 

 

その3.商圏を意識したデザインにすること

店に目的来店してくれる人たちが住んでいる範囲、あるいは、働いている場所が分布している範囲のことを「商圏」と言います。

この商圏にどんな人たちがいますか?

例えば、ビジネス街ならサラリーマン、OLを意識した店づくりをしなければいけませんね。どちらか一方だけでも良いでしょう。また、若者が多く流入してくる街にあるなら、若者の感性に答えられるものでなければなりませんね。

また、郊外の駅前であっても、どこも住人が同じということはありません。中高年が多い商圏と、学生層が多い商圏とでは自ずと好む内装は異なってきます。自店舗がターゲットとしたい年齢層というのもあるでしょう、しかし、商圏はどこも同じではありませんから、店ごとにデザインの傾向が変わっていても何の不思議もありません。

 

改装は立地上のハンディを挽回する絶好のチャンスですから、今までの連載の中で、気になっていた所があったら、是非とも改善してください。立地が改善されると、当然ですが、客数と売上はアップします。

 

 

 

 

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。独自に深耕させた理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

以下今回は不要です。

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号

 

 

 




 

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引用元:店も歳をとります。改装時に考えるべきこと。 連載58


連載57 12月号 [店長が知っていると得する立地の応用] 21.回目

 

賃料は上がっていくばかりですか?

 

お店の運営をしていると、3年あるいは長いと5年、短いと2年毎に、家賃交渉の月がやってきますね。実は、みなさんの頑張りがこの月に証明されると言っても過言ではありません。前々月(10月号)では、オーナーのことをどれだけ知っていますか、オーナーと仲良くなりましょうと言ったこととも関係します。

 

地価 グラフ

グラフ1 公示地価の推移

 

家賃交渉と書いたのは、「家賃は貸し主と借り主の両方が合意して決めるもので、貸し主と借主は完全に対等」だということを前提にしてほしかったからです。日本では、昔から貸し主の力の方が強かったから、どうしても「家賃は貸し主が決めるもの、だから、値上げする言われたら黙って言うとおりにしなければいけない」という誤った観念が通用しています。とりわけ、住宅用に借りたりする人は完全にこうした観念にとらわれてしまっていることが多いようです。

しかし、店という事業目的で借りているなら、こうした古い観念から完全に抜け出ないといけません。「対等」なのです。

仮に、貸し主が値上げを提案してきたとしてもそれを黙って受け入れる必要はありません。むしろ、借り主のこちらから、値下げを提案して受け入れてもらうことだってもちろんアリです。

ビジネスなのですから当然のことなのです。もし、過去の契約書があるのでしたら、これまで家賃がどのように推移してきたか見ることができるでしょう。

仮に、その推移が、一方的に値上げばかりしてきたようなら、たいていはチャンスです。「値下げ」を提案する絶好の機会です。全国ほとんどの場所、都市でさえも、大きなトレンドは地価がほとんど上がっていないか、一定に近い状態です(グラフ1)。

とはいえ、地域によってその変化はマバラです。高く上がっているところもあれば、ほとんど上がっていないところ、逆に下がっているところさえあります。

自店舗周辺の地価が上がっているかどうか、これが、交渉に用いる重要な情報です。周辺が下がっているに自店舗だけ上げる必要はありません。

ですから、インターネットなどを使って、自店舗周辺の地価の変化を調べておくことをお勧めします。最近は無料でわかりやすい地図で表現されているウェブサイトが多くなりました。図1は、都道府県と市区町村名だけ入力するだけで、グーグル地図を使ってその地価上昇率を色分けして表示してくれます。あとは、自店舗近くの色分けがどうなっているかを見るだけです。

 

 

家賃の推移 グラフ

グラフ2 家賃の推移(3年で10%アップ、5年で5%アップ)

 

ところで、家賃交渉で一番大事なことは何でしょう。

それは、言わずもがな、互いの信頼関係です。ですから、交渉にあたっては、これからの長い期間も互いの信頼関係が強くなるように交渉することが多くの場合、重要です。つまり、まずは互いにとって、どういう家賃にするか合理的に納得のいく所、着地点を考えなければなりません。いきなり、「20%アップ」あるいは、「20%ダウン」と突き付けてしまっては、信頼関係も何もあったものではありません。もちろん、そういった無謀な要求をする貸し主、借り主がいるのも事実です。だからといって、みんながみんなそうではありません。話し合って結論が落ち着かないことは、通常はありえないものだと考えても良いでしょう。

 

「あなたの店がこんなに儲かってしまうとは思わなかった。今までの家賃は安過ぎたので、50%アップしてくれませんか?」と、あるファストフード店が貸し主に言われました。このファストフードはどこでも同じようなことを、契約更改が近づくと言われたことがありました。それだけお客を集め、高い売上を実現できていた頃です。

もちろん、こういうような契約更改はチェーン店の場合、店長に任せるようなことは滅多にありません。本部の優秀なスタッフが担います。

仮に、貸し主が言う通り、その店が相当程度高い収益を出していたとしても、それはそれ、これはこれです。「店舗を多数かかえているとどこもこの店のようだとは限りません。むしろ、多くの不振店を抱えることがあります。それに本部経費もハンパでなくかかるのです。ですから、年間を通しますとこのように利益もギリギリ小さなものになってしまうのです」と話しを切り出します。

 

 

 

誠心誠意、資料を見せ、分からない点を明確にしながら、慌てることなくジックリ説明していくのです。そして、貸し主が現在の家賃で貸してくれることによって、どれほど社会貢献ができているか、地域の人々が感謝しているかをしっかり話していくのです。結果的に、相当低いアップ率で交渉を成立させます。それが積り積もって数十年が経過した今頃は、周辺では有り得ないほど低い家賃で借り続けている店舗がそのチェーンにはたくさんあります。

3年に1度10%ずつ6回値上げすれば、7回目直後の22年目は最初の家賃の1・95倍、ほぼ2倍になります。しかし、5年に1度5%づつならば、4回目以降の同じ22年目でも1・22倍に過ぎません。最初の家賃が50万円だとしても、前者なら100万円弱になり、後者なら61万円弱に過ぎません(グラフ2)。

家賃を吸収するには、売上は一般的に家賃の10倍なければならないとされています。もし、家賃が50万円なら、月商は500万円ということです。しかし、家賃が倍になれば月商も1000万円にしなければなりません。しかし、それだけの売上アップは通常ほとんど不可能です。

次の賃料更改を待つまでもなく、撤退の憂き目にあうこと必定です。

しかし、20年経っても、61万円なら売上もそれほど難しくなく達成できるでしょう。

 

地価マップ

図1 公示地価が無料でわかるウェブサイト例

 

この賃料交渉は、店側、チェーン店側が「値下げ交渉」をする時も同様です。たとえば、不景気になってしまうのは、貸主側にとっても困りごとです。思うように借り手が見つからないなら元も子もありません。多少、借り主に譲歩してでも、長く借りてくれるほうが良いわけです。また、敷金や保証金のこともあります。今、出て行ってしまうというならばそれらをすぐに返済しなければなりません。数百万円にもなる出費はそう簡単にはできません。だから、契約更改にあたって、貸し主も慎重に考えざるを得なくなり、最近は高いアップも要求したりしないことが多くなりました。

 

賃料交渉をうまく進めるために必要なことが、もう一つあります。それは、何かにつけて貸し主に対して、「貸し」を作っておくことです。そして、それを口にも出し貸し主に伝え、記録として残しておくことです。例えば、店舗入り口付近、階段などの改装を行う際に、貸し主の資産価値が上がるような工夫(強度を上げる、静音性を高めるなど)も加えます。換気や排気用のダクトなどのが貸し主側ものであれば、それらの不具合を修理する場合も同様です。また、飲食店は知らず知らずビルを汚してしまうものです。だから、極力ビルに着いた汚れを落とすようにしてください。こうしておくことは貸し主にとっては喜ばしいことです。ですから、有力な交渉カードにもなります。

 

あなたの店の賃料は、いつも上がっていくばかりですか?もし、そうなら、いつ撤収しても不思議でなくなりますよ。

 

 

 

 

 

はやしはら やすのり

売上予測コンサルタント。有限会社ソルブ代表。東京大学卒。日本マクドナルドで出店調査を担当。独自に深耕させた理論をもとに多くのチェーン企業の経営者、個人起業家をコンサルティングしている。著書に『実践 売上予測と立地判定』(商業界)、『最新版 これが「繁盛立地」だ!』(同文館出版)など。

 

 

以下今回は不要です。

「統計てきめん」の地図使用承認(C)昭文社第55G15号

 

 

 

 




 

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引用元:賃料は上がっていくばかりですか? 連載57