電子ファイリングという発想は決して新しいものではありません。幾つか特許も公開されています。
(日本の特許情報は「特許情報プラットフォーム」で検索出来ます。)
また、各社から様々な製品も販売されています。
この記事は昔に手を付けた当時の仕事の話です。時期は1997年から1999年頃のことです。「電子ファイリング」のシステムを当時は作っていました。それも2社で。最初の会社は記録媒体にCD-Rを使ってファイリングするという発想のものでした。
(参考:特許「特開平8-171630 電子ファイリングシステム 出願:株式会社リコー」)
実はこの1997年頃の仕事では、この会社と連携して作業をしていました。具体的には何かのスキャナを利用して文書をスキャンしてWindowsのPCにインストールしてある日本語OCRのソフトウェアで日本語での検索を容易にして、読み込んだデータをCD-Rに保存するというものでした。上司は勿論、商品にしたかったらしいのですができませんでした。当時の担当として、なるべくわかり易い取扱説明書を作ることが必要と考えてその作業を主にしていましたが、上司にはその仕事はあまり必要と感じていなかった節がありました。とにかく「売ってこい」と言われていた覚えがあります。
その会社では情報関連の仕事を止める事になり(これ書くとどこの会社か判るかな?)自分は転職して新潟県にUターンしてきました。
ところが転職先でもこれと同じ様なシステムを作ることになっていました。入社前からその作業には手を付けていましたが、ソフトウェアの会社だったので、先に手を付けていたのは、Linuxを使ったソフトウェアの部分で、ハードウェアの詳細は決まっていなかったので、入社してからそのハードウェアを担当することになり、およそ2年を掛けましたが、製品にはなりませんでした。PCのインターフェース関連の部署でSCSIにスキャナを接続して業務用複合機の接続なども想定したイーサネットのネットワークのインターフェース搭載、IEEE1284でローカルのプリンタ接続というハードウェアを独自開発しました。社内ではUSBのインターフェースも有った方が良いのではないかという話も出ていましたが、対応できませんでした。)
(参考:「プリンターの接続方法、どれが良いの?」)
システムの概要は、「手元で文書をスキャンしてネットワークに接続してあるPCにその読み取りデータを保存する」というものでした。このシステムでは幾つかのファイル形式を選べる様になっているのが特徴でスキャナとしては、フラットベッドのA4版対応のスキャナとやや規模の大きい今ならコンビニなどに設置してあるコピー/スキャンの出来る複合機を想定したものでした。
ここでは特許調査はしましたが、特許出願もしていません。
(参考:特許:「特開2008-299403」ネットワーク電子ファイリングシステム 出願:キヤノン株式会社)
最近、
を入手(中古品)したので、上記のシステムと同様なものが手元で構築できました。
読み取り後の処理には、「ScanSnap Home」を利用しています。2社目でシステム化の検討をしていた時には、石川県のPFU社に出向いた事もありました。今は1999年頃のスキャナでは実現できていなかった「ネットワーク対応のカラー原稿の高速両面スキャン(ADF付き)」が実現できています。
1社目で事実上の販売担当だった時には名古屋まで出向いて打ち合わせをしましたが、「ネットワーク対応」の需要があることを聞きました。ですが当時はCD-R媒体にスキャンして読み取ったデータを保存することが優先で担当者としてネットワークの知識も無かったので、ネットワーク対応は実現できませんでした。
2社目で担当した時にはネットワーク対応は既にできていて、ソフトウェア担当者は当時のLinux(ディストリビューションに何を使ったのかは聞いていません。)で書類を読み取った後、「ImageMagick」(linkは日本語の使い方サイト)でファイル形式を変換してデジタル化された文書を届けるというシステムでした。当時はハードウエアを担当したのですが、想定していたハードウェアを実現することは出来ず、最終的には社内では開発完了したらしいですが、これも販売はできませんでした。
ScanSnap HomeではPDF(Portable Document Format)形式(linkはWikipedia)のファイルをWiFi接続でPCにデータを届けることができていますし、OCR機能も搭載されています。PFU社は資本元の関連のあった富士通からRicohの会社に変わっていますが、業務は継続してスキャナ開発を継続しています。因みにPDF形式の普及には開発元のAdobe社が「Acrobat Reader」というPDF形式の書類を読み取るソフトウェアを無償配布したことが大きな契機だったと思います。Wikipediaによれば「PDFは 1990年代初めに、文書共有を目的として開発された。」とあり、このファイル形式は電子ファイリングシステムを開発していた時期には今ほど普及はしていませんでしたが、在籍していたソフトウェアの会社ではPDF形式での印刷を想定した「プリンタドライバ」を開発していました。
(参考資料:「プリンター」( linkはWikipedia ))
発想しても商品に出来なければ開発担当としては「失敗」です。個人的にはフラットベッドスキャナを使ってWindows対応のソフトウェア「PowerBinder」(1997年12月18日の記事)を使って電子ファイリングを試みたことがありました。このソフトウエアは読み取ったファイル形式はFAXと同様の「TIFF(Tagged Image File Format)形式」(linkはWikipedia)のファイルに紙情報を変換してOCRして仮想バインダーに保存するというものでした。当時はまだスキャナでの読み取りは遅かったので、一般的に使っていたFAXの利用を想定していたのかもしれません。