どうも高校時代のことは書く気がしなくて、
受験勉強最優先の高校だったから、受験勉強を
しない僕には住みづらい学校だったというのが
一番の原因だと思う。
受験勉強の弊害については、多くの場合目を
瞑ってやり過ごす、というやりかたを大人は
推奨するんだけど、現実にはたぶんその間に
つまらない勉強しかしなかった弊害が、あとで
じわじわと効いているという悪い効果のほうは
無視して論議されている面も多いと思う。

たしかに、受験勉強を一生懸命にしたにも拘わらず
立派な人格を維持している人もたくさんいるが
本来は15歳、16歳という多感な年齢のときに
部屋にこもって勉強三昧なんていうのはやっては
いけないことであるのは間違いない。最終的には
日本のためにもならないと確信している。

まあ、そんなことより、今日ある地方都市の映画館が
(シネコンが)閉館される。高校のときは、部活は
部落問題研究部だったので、それが忙しくて
映画研究部の副部長というのはほとんどさぼっていた。
でも映画研究部を立ち上げたのは僕だったので
気にはなるので、たまに顔を出した。

映画研究部というのは、製作をするのなら別だが
鑑賞を主体にするのなら女性のほうに任せたほうが
向いているのかもしれない。部は女性に牛耳られ
あまり居心地は良くなかった。

映画館の事務室に挨拶に行くと、まあ映画でも
見て帰りなさいとただ券をくれる。それをもらって
昔は指定席だった2階の真ん中で映画を見た。
女性にももてず、孤独な気持ちでいつもいたような
気がする。

もう40年が経った。たくさんの名画をありがとうと
言いたい。
K子の話はこんな話しだった。
彼女には大学の時に同級で恋人がいた。K子はそのとき
その恋人と将来結婚するかもしれないという気がしていた
らしい。もしそれを阻害するものがあるとしたら、彼女が
自分の家の家業を手伝わないといけないのではという
ことと、やはり彼のほうも家業を継ぐことになると思われるので
その調整がどうなるかだと思っていたらしい。しかしその
悪いほうの予感があたって、結局結婚には至らなかった。
彼のほうは普通に結婚して子供もいるという状況だった。

大学の同窓会があり、K子とその元彼は二次会から
離れてその同窓会のあったホテルのバーで飲んでいた。
K子のほうは別に彼に対して特別に話したいということは
無かったようだが、彼はよくしゃべった。家業があまり
芳しくないこと、妻ともうまくいっていないこと、子供の
気持ちもつかめないこと、両親の介護の問題もそろそろ
出てくること、一見愚痴のようにも思える話題なのだけど
K子はそう言う風には全然聞こえなかったらしい。別に
K子の同情を引きたいということでもなく、ただK子相手だと
話しやすいので話しているという感じだったらしい。
 
そして彼の話の結論としては、四面楚歌のようは状況だけど
自分はそれに絶望しているわけではない、なんとか自分の
力で全ての局面に立ち向かいたいということだったとK子は
感じた。
そのとき、K子はその昔の恋人のことを非常に愛おしいと
感じたらしい。その夜一晩、彼を抱きたいという気持ちが
急速に募ったらしい。抱かれたいではなくて、この男を
一晩抱きしめたいという思いに急速に捉えられた。

K子はその自分の欲望に素直に従おうと思った。そこで
彼に対して、ホテルの部屋を取ってくれないかと頼んだ。
彼はすこし考えていたがそのまま立ち上がって部屋をとりに
行ったらしい。

エレベーターの中で二人はキスをした。そしてその夜は
K子にとっては特別な快楽の夜になったらしい。
「エレベーターの中からもう体が半分溶けているようなものよ。
たぶんね。もう彼とは絶対に2度とは寝ないと言う確信みたいな
ものがあったのよ。そしてたぶんその通りにもう彼とは
接触しないと思う。だからその1回限りだと言う意味合いが
感覚を増幅させたのかな。そんなことあるかな」

「それはあるんじゃないかな。だって祭りの日に年に一度
フリーセックスにするというのでも、その日だけということで
みんなが許せたのじゃないのかな。それが月一なんていう
ことになると今度は秩序が壊れてしまうほうが気になるのでは
ないのかな。実は」
ということで僕のほうの話になった。
肉食女子(クーガー女)というのは皆さん聞いたことがあるだろう。
すこし新種を紹介しておこう。、
ハイエナ女・・・腐肉も食らう。まさに結婚詐欺殺人で話題の
         女なんかはこれだ。
モモンガー女・・・木の上から飛びかかってくる。不倫中の     
        人は庭木の上をよく見ること。
こうもり女・・・さらに五感が発達してレーダー機能も備え
        暗闇でも飛びかかることが可能。危険。
コアラ女・・・木につかまってユーカリを食べる。無害。
きりが無いのでやめる。新種が出たら教えて欲しい。

僕は小学2、3、4年ととても仲の良い同級生の女の
子がいた。そのままなんだけどK子ちゃんと言った。
その3年間一緒にそろばん教室に通った。まず僕が
迎えに行くと、彼女は右手を出しながら家から出てくる。
そのままがしっと手をつないでそろばん塾に行くのだ。
帰りも同じく、塾を出たとたんに二人の手はがしっと
繋がれ彼女を送り届けるまで離れないのだった。
これは当時としてもかなり目立っていたらしく、よく
そのへんのおばさんたちに「仲ええなあ。」とか
「結婚するの?」とからかわれた、しかし二人は意にかい
することなく手をつなぎ続けた。

が、雨が降った日の日曜などは、K子ちゃんとところに
行くのが普通だったのだが、僕はときどき同じK子ちゃんでも
MK子ちゃんの家に遊びに行ったりした。すると週明けには
K子ちゃんは「昨日はどこに行っていたの」とすこし疑う
ような顔で聞くのだった。これこそ三つ子の魂百までという
ことわざそのままといえるだろう。

それはさておき、僕は5年で転校して、大学を出た頃には
もうすっかりK子とは疎遠になってしまった。話もあまり
あわないのである。彼女は努力家であったらしく優秀な
大学を出たのに、僕はぼんやりした人生を送ったというのも
原因かもしれない。共通の友人だったKが死んで、その
告別式で会ったのはずいぶんと久しぶりのことだった。

彼女は当時、何歳か年下の男性と同棲しており
父親の会社を姉夫婦と切り盛りしていた。告別式の
あと、二人でお茶を飲んでいたときの話なのだが。
覚えている限りの話なので、すこし脈絡が怪しいけど。
彼女はこう切り出した。
「秀松君の経験では、どうなの、体の関係がある人と
そうでなくて仲が良い人ではどちらがランクが上なの?
たとえば私たちみたいに仲が良くて関係はないというのと
行きずりだけど体の関係があるというのとでは、どちらが
記憶に残ると思う?」

これはそのあとの彼女の話の前ぶれのようなものだった
のだが、タイミング的にギョッとするほどぴったりだった。
ちょうどその1週間ほど前に僕は行きずりの女性と
関係を持ったばかりだったのだ。
                                   続く