ピケティが「21世紀の資本」で、資本主義社会における経済格差の拡大を r > g (資本収益率が経済成長率を上回る)という数式で説明し、現代の先進国(西欧諸国)では資本の総額が国民所得の5~6倍に達し、19世紀の水準に近くなったと主張している。
これはかなり説得力があるが、これに真っ向から反対しているのがヴァルデンストロムという経済学者です。彼によると、「わたしたちが生きている時代は比類のない不平等の時代」というのはとんでもないガセだと言っています。
彼が調べたデータを図表にしたのが下図で、これに近代におきたイベントを重ねてみました。これを見てみると、世界恐慌から第二次世界大戦当時の欧米諸国は上位10%が国の富の80%以上を占有していた。
戦争で上位層に偏在していたマネーは徐々に散財したとはいえ、60~70%は占有しており、1980年にプラザ合意したあたりからトレンドが急激に変わっていることがわかる。この80年代から、アメリカのJPモルガンなど国際金融資本、ファンドによるマネー支配が拡大したが、アメリカの上位層の占有度合いは元に戻り、上位1%による占有金額が急上昇しているのがわかる。
ヴァルデンストロムの主張は、世界規模で拡大中の格差拡大の実態とはかけ離れていると感じるが、彼自身が作成した図表からも明らかだと思える。彼は、下位90%の金だって増えていると言いたいようで、この内訳は金融資産と住宅資産という。
私の親が生まれ育った時代は、確かに非常に貧しかったし、貧乏人は学校にも行けず実質的に職業も自由に選択できるような時代でもなかった。親も生家は長屋暮らしで、職業軍人にでもなる以外にまともな生計をたてる手段はなかったが、皮肉なことに戦争によって社会のありようが180度変わったとよく聞かされていた。
だからヴァルデンストロムの言うこともわからんではないが、80年代あたりからの動向についてはピケティの言う通りだと思う。
