第9回公演『THE SACRET GARDEN-嘘の中にある真実-』
Mucical Guild q.
今まで数えきれないほど裁判所の傍聴席に座ったが、今日の傍聴席は特別だった。なぜなら舞台のソデに設けられた特別傍聴席だったからだ。傍聴券はあるが、抽選ではない。
舞台は法廷を中心とした裁判劇だが、裁判長の外見がやけにリアル。他に赤いバンダナを巻いた傍聴オタクもいかにもという感じ。
被告はオキシマ原発に見学に行った8人と、彼らに便宜を図った原発広報室の青年1人。
見学に行った時に撮った写真をネットで交換したことにより特定秘密保護法に問われる。ところが、その秘密が何だか分らない。何を漏洩したのかが分らない。
検事は内容はともあれ漏洩したという外形立証だけで十分だと主張する。
弁護人は特定秘密保護法が憲法の精神に反するとして公訴棄却を主張する。そして、この裁判が「みせしめ」だと言う。
舞台はディティールに拘る。
裁判長が保身や出世欲を見せ、有名事件をやって大規模法律事務所に入りたいと言うし、原発所長が保身のために秘密保全のミスを契約社員のせいにする。
被告に有利な証言をするはずだった人も、生活の根拠について脅され権力に迎合してしまう。
ところがコロスの「ほんのちょっとの勇気が世界を変えられる」という歌で事実を語り出す。
多くの裁判を傍聴してきて人がいかに嘘をつくか見てきた者にはファンタジーに見えた。
ところが犯意のない被告思われていた人々は、実は意図があって原発に入ったことがわかる。
それは原発技術者で自殺した人を父に持つフリージャーナリストが潜入を企図したもので、その秘密はとんでもないものなので、憲法にあきらかに違反するものである。
秘密について開示命令を出した裁判長は自分だけがその秘密の提供を受け、その秘密があまりにすごいので自分の中で見なかったものにしてしまう。
そして判決。
笑ったのは旗出しすること。
原発を案内した青年は利用されただけだとなり無罪。
意図的に秘密にアクセスした8人は求刑10年のところ6年の判決。
裁判長の説諭があり「理性が悪法を正されんことを…」と言う。
平日の2時からなのに満席。
2時間30分の舞台がけして長くはなかった。法廷のリアルさや法律監修がしっかりしていたからだと思う。
あえて苦言を呈するならコーラスで「開廷のベルがなる」というものがあったが、開廷のベルというものは聞いたことが無い。
10月26日まで、中野区立野方区民ホールWIZホールにて
作・演出:田中広喜
作曲・アレンジ:小澤時史
振付:山本真実