劇団地点『コリオレイナス』
ブレヒトの『フアッツァー』公演で有名な京都の劇団地点が、池袋のあうるすぽっとのシェイクスピアフェスティバル2014の一環で『コリオレイナス』を演るというので楽日に行った。
少ない役者で舞台を作る地点に相応しい演目と思ったが、後で考えてみると当たり前のように思えるが、舞台が始まってみるとコリオレイナスと4人のコロスだけ(実はその他に男がひとり)なのだ。
コリオレイナスのセリフは『ファッツアー』でも見せた特有の変則的なテンポがあり、さらに特有の抑揚がある。ある時は武将のように気高く、ある時は憎悪を露出する矮小な存在として…
コロスは常にコリオレイナスを揶揄し、コリオレイナスはそれに対応したりあるいは振り払ったりする。そこには彼の欲望、闘争心、復讐心といった感情がめまぐるしく変転しながら表出する。
それ故にか、メニーニアスやオーフィディアスの存在が希薄であり、それは演出意図されたもので、さらに母親までもが希薄である。
しかしそれらに翻弄され逡巡するコリオレイナスがときにコミカルにときに哀れに見える。
本戯曲はあまり公演されないと思うが、コリオレイナス初体験者には厳しいものがあるかもしれない。
楽日だったせいか終演後演出の三浦基氏の挨拶があった。
ロンドンのグローブ座から依頼があって制作し、劇場ロビーでうちで演ってくれと声をかけられ、モスクワ、サンクトペテルブルグ、ノヴゴロド、イマトラ、あうるすぽっとで演じてきたが、この劇場のロビーでは声をかけられなかったので打ち止め、とのことだった。
衣装は藍染めのシンプルなもので、コリオレイナスは虚無僧がかぶる編み笠をかぶっていて、尺八のかわりにバケットを持っている。コロスたちは楽器を持ち、ときとして仮面(雅楽面のようなあるいは朝鮮半島由来のような)を用いる。
SEはなく、音楽は桜井圭介とNorikoの演奏でチープな楽器ばかりを用いる。アップライトピアノがあり前下の板をはずし弦をはじいたり、ビアニカ2台で哀愁あるタンゴを奏でたりなかなかよかった。
Coriolanus
原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:福田恆存
演出:三浦 基
音楽監督:桜井圭介
出演:石田大、安部聡子、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、小河原康二
2014年8月28日から31日まで
会場:あうるすぽっと
