朗読劇「サロメ」
一幕の悲劇
贔屓にしている劇団から朗読劇「サロメ」の招待を受けた。
朗読劇はアクションがないため、観客に想像力を要求する。つまり、観客の資質や才能を要求するのである。木下順二の「子午線の祭り」は、いい芝居のはずだ、いやいい芝居だ。しかし、私に資質や才能がないため、その芝居の良さがわからない。
「サロメ」は新人たちに見せるためのもので非公開とのことで、ゲネプロみたいなものかと思っていた。 舞台装置はほとんどないものの、白と黒の衣装はあるし、メイクもしているし、証明もある。ゲネとの予想ははずれた。
バプテスマのヨハネは孤高を通し、ヘロデ王は鬼気迫るものがあり、ヘロデヤは嫌悪と憎しみを体現し、サロメはその偏執的な美を追及する。ヘロデ王は朗読の本を投げ捨て落胆し、サロメは本を置きダンスを踊る。彼女は人の世を弄ぶ、自分の存在も愚弄しているように思える。ヨハネの地の底から響くような声は観客を安住させない。
また、首のシーンはどうすのかと思って見ていたら大変工夫されていた。
オープニングから終幕まで約1時間の公演だったが、あっと言う間の緊張の連続だった。演出の良さだったのだろう。1回しか演じず、さらに非公開とは…まさに一期一会、これだからアマチュア演劇はやめられない。
しかし、あのワイルドの言う悲しみとはなんなのだろう。疑問は深まる…
作 オスカー・ワイルド
訳 福田恆存、日夏耿之介
編 石見 舟
演出 SoJin Cho(チョ・ソジン)
作曲 橋本かおる
出演:高橋里奈、石見舟、雨宮真希、和田直大、千野ほなみ、大庭茜、和泉淳、井上良 2010.7.8