ひばり館 2008年06月05日
今年の(2008)イタリア映画祭の出品作品だったタヴィアーニ兄弟の監督作品「ひばり農園」の原作の翻訳本である。
訳者の草皆伸子氏はあとがきで、この本の「意味」について「近代史における世界で最初のジェノサイド」をあきらかにすることの意義と述べている。
そして、第一次大戦後ドイツは責任逃れに躍起になり(ドイツの軍事顧問団が強制移住の指南役になった可能性があるため)、欧米諸国は石油問題や領土問題の微妙さからトルコを強く糾弾とようしなかった。この時、毅然とした態度でトルコ政府の責任を追及していたら、後のホロコーストは起こらなかったかもしれないと言われている、としている。
原作者は、アルメニアを故国にもつイタリアパドヴァ大学の近現代イタリア文学の教授だったアントニア・アルスランで、ジェノサイドの生き残りの証言を集め執筆したと言う。
1918年秋、アルメニア共和国はジェノサイドから生き延びたトルコ領内のアルメニア人たちを助けるため、横浜在住の貿易商ダイアナ・アプカーを駐日領事に任命し、ロシアに逃れシベリア鉄道でハルピン、ウラジオストック経由で日本に上陸した生き残りの多くをアメリカへ亡命させたと言う。
訳者は「世界はつながっているということを実感する」と言っている。
その後、ジェノサイドは何度となく起きた。人間が脆弱にために…
ひばり館 アントニア・アルスラン著 草皆伸子訳 2006年刊 早川書房
注:原題は LA MASSERIA DELLE ALLODOLE なので「ひばりたちの農場」といった意味。
