新書 オペラと歌舞伎 2008年06月03日
書き出しは刺激的である。
「第二次世界大戦は、オペラと歌舞伎を持つ国民国家と持たざる国民国家の戦いであった」
「オペラを持つ国民は植民地を持たない」
「オペラと歌舞伎は日独伊三国同盟の国民的エネルギーの集約地であり、それは植民地に向けて国民的エネルギーを放出していった国民と大きなギャップを生んだのだ」
この扇情的な書き出しは肯定できるものではないが、それは本人も認めている。
ただこの本に書かれているオペラと歌舞伎の共通点については驚きを禁じえない。
誕生期、女形とカストラート、劇場、観客など、信じられないぐらい共通点が多い。
例えば、近松とメタスタージオ、南北とロッシーニの活躍時期が近いとか、黙阿弥とヴェルディがまさしく同時代の人で3歳しか違わないと言う。また、「江戸の荒事上方の和事」と同じことが同時期の「ナポリ(オペラブッファ)とヴェネチア(オペラセリア)」で起こり、さらに双方の距離はどちらも600-800キロであるとのこと。
オペラあるいは歌舞伎、どちらに興味があれば大変「楽しい」読み物ではある。
永竹由幸著 丸善ライブラリー 平成5年刊