『モテキ』大根仁監督のインディーズ作品。劇団ポツドールを主宰している三浦大輔の原作・脚本。
全編貫いているのはディスコミュニケーションである。
しかしセックスはする。
ディスコミュニケーションの原因は貧しいボキャブラリーと(相手を思いやる)想像力のなさ。
そして、男は相手の女性に全く尊厳を感じていない。
彼女、彼らはある意味特殊な集団(階層)に見える。
5人の男たちはフリーター、で4人の女性たちはショップ店員である、という。そして単身で生活しているか、同棲している。
ところが…ところがという接続詞がふさわしいかどうかわ分らないが、金銭には真摯な態度を取るのである。つまり、常にアルバイトを意識している。それは金銭が生活に必要なだけかもしれないが、ある意味呪縛を感じる。
その集団が特殊なのではなく、実は普遍的でただ「現象」をクローズアップしただけだということに気付く。そして、彼らが単に修辞等のオブラートを用いないだけだとも分る。
浮気をしているナオキが同棲相手のサトミが浮気していない「証拠」として、深夜のバイトから帰宅するとすぐシャワーに入ることだと言う。つまり、浮気していたらそんな疑わしい行為はしない、という理由である。
ところがエピローグ近くになって、彼女がデリヘル嬢をやっていることが分かるが、それは「浮気」と表現されているのだろうか?
経済から疎外された若者を見る思いだった。
彼女・彼らが発情期故のセックスをしているのか、幻想的ではあるがぬくもりを求めているのかなかなか判断の難しい所がある。
考えれば、考えるほど難しい映画かもしれない。
撮影場所は4つの部屋だけ、衣装もほとんど変わらず、俳優陣も無名ばかり。音楽も無い。
本がいいのか、セリフがいいのか、映画としてはたいへん良くできている。
『恋の渦』
監督:大根仁
原作・脚本:三浦大輔
制作:山本政志
撮影:高木風太、大根仁、大関泰幸
出演:新倉健太、岩井尚子、柴田千紘、後藤ユウミ、松澤匠、上田祐揮、澤村大輔、圓谷健太、國武綾、松下貞治
2013年シネマインパクト
