映画『地底の歌』
タイトルバックは銀座の三十間堀川の埋め立て工事のように見える。もしそうだとしたら貴重な映像。タイトルロールが終わるとカメラは東方向へパンし、ナレーションが「江東のある盛り場…」と言い錦糸町駅前の駅名看板が大写しとなる。結構笑える。錦糸町が全国的に無名だったのか?
錦糸町の博徒の抗争を描いた作品だが、ストーリーを追うことにやっきになったやや大味な作品。『狂った果実』と同年の公開だが、石原裕次郎が「ダイヤモンドの冬」という名で18歳のチンピラを演じていて光るものがある。(相変わらず口跡は悪い)
出目徳(麻雀放浪記の高品格)が雀荘で登場するところは笑える。
賭博としては「丁半」「おいちょかぶ」「こいこい」が出てくる。
そこにイカサマ師の「おかる八」(菅井一郎)が登場する。「おかる」は仮名手本忠臣蔵のおかるだが、七段目(一力茶屋)で大星が読む手紙を手鏡を使って盗み見るところから、配札のときに札をライターやシガレットケースに写すというイカサマ。そのイカサマ師の情婦が山根寿子で石原の姉。名和宏が地方の旅館で銭投げのイカサマがバレた時に会っており一目ぼれ。名和はイカサマ師と知って「おかる八」に勝負を挑み「こいこい」をやる。途中で山根が「弥助でも」と言って寿司桶を持ってくる。そのときお手皿に醤油を満たすが、それに写しておかるをやり、イカサマ師完勝。名和は最後に気付くが後の祭り。
こいこいのプレイのやり方が面白い。ものすごくスピーディー、相手に考える時間を与えないように見えた。
複数のカモと「おいちょかぶ」をやる時は、山根が「通し」をやるがそれを「幻燈」と言っていた。
高品格が娘を売りに行くところが成田。当時の成田駅前の風景も貴重。
1956年日活
監督:野口博志
原作:平林たい子
脚本:八木保太郎