大河ドラマ『光る君へ』“勝手に解説”〜第二十四回(2)ー②一条天皇による評価と日本紀の御局 | 愛しさのつれづれで。〜アリスターchのブログ

大河ドラマ『光る君へ』に関して、勝手に、私感含めて書いております。ネタバレは~という方はご注意ください。

読み進む前に「はじめに」をご覧いただければ幸いです。 


 

②一条天皇による評価と日本紀の御局

『紫式部日記』消息部分によれば、

内裏(うち)の上の、源氏の物語、人に読ませたまひつつ聞こしめけるに、

「この人は、日本紀をこそ読みたるべけれ。まことに才あるべし」と

内裏の上=帝=一条天皇が源氏物語を(お付きの)人に読ませて(それを)お聞きになりながら、

「この人(作者)は日本紀を読んでいるに違いない。まことに才能がある(人である)」と(仰せられた)※私訳※

 

という記述があります。※ここでいう「日本紀」とは、日本書紀のことです。

物語を聞いただけで作者が日本の歴史に詳しいことにまで言及できるとは、高い博識と読解能力を一条天皇は持ち合わせていたのでしょう。そうした文学に精通した人間を唸らせる力を、この物語が持っていたということでもあります。

しかし、このありがた~い一条天皇からの評価部分が語られるのは、何と紫式部を悩ませ続けた左衛門の内侍に関する部分でしたびっくり

彼女はいつのころからか式部の陰口を言っていたらしく、そのことは式部の耳にも届いていました。一条天皇が源氏物語とその作者を褒めたことを聞くと、「帝に褒められて、それを鼻にかけている!ムキーと邪推された上に吹聴して回られ、

日本紀の御局というあだ名まで付けられてしまいますガーン

対する紫式部は「実家の女房にさえ自分の学識を隠していたのに」タラーと嘆きます。

紫式部日記には続けて「惟規が父から漢籍を習っている時、横で聞いているだけで私はどんどん覚えてしまった。でも惟規がなかなか覚えないのを見て、私の方があまりにも聡いので、書(漢籍)に力を入れていた父親(為時)は(私が)男でないのが残念だとつねに嘆かれた」と書いています。しかし、男でも学識を鼻にかけるような者は偉くはなれないのだと人から聞いてからは

「“一”という文字ですら書けないもののように過ごしている」

「出仕してからは、なおさら悪意を恐れて屏風に書いてある文字さえ読まないようにしていたのに」

と困惑した様子です。ただ、紫式部に期待されていたものは、ほかの女房とは違っていました。それが妬まれることに繋がってしまったのでしょう。

 

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