「エイリアン」まさに映画史に残るSFホラーです。しかしこのシリーズが上映される度にいつも思い出すのは高校の同級生で野球部でも3年間一緒だったA君のこと。あんまり身体的特徴を揶揄するのは良くないんやけれど、彼、少々他人より頭の後ろ、要するに後頭部が出っ張っていると言うか...大きい。史上に残るSFホラーのダークヒーロー、主演にして最凶ヴィランのこの方に瓜二つ、いや彷彿させるのであります。だからと言ってA君、皆からいじめられていたわけではない。むしろその逆、不良と言うわけではないけれど、大阪で言う「ヘンコ」「逆子」「ひねくれもん」、冗談で人を小ばかにするわ、悪態をつくわ、なにせ口が悪い。うーん性格もまさにエイリアンそのもの。だからと言って皆から嫌われてると言うわけでもないし、まあ高校の3年間は親よりも長い時間を共に過ごした仲、今でもたま―に会う。さすがに還暦も過ぎると平常時は17、18の頃の悪ふざけや悪態はないけど、酒が入ると「昔の名前ででています」、いやエイリアンのチェストバスターのように体を突き破って出てきます。だから飯を食ったりしていると皆一様に「かなんなー」となる。だけど大阪と言う土地柄はどちらかと言うとこういった「特異な人物」を重宝がるところがあるから益々、エイリアンクィーン並みに巨大化してきます。そう言えば暫らく会っとらんなぁ。久々に会いたいような会いたくないような...。
そんな思いもあってか天才デザイナー、H・R・ギ-ガーがこのモンスターを映画史に誕生させてから45年、この悍ましい姿がスクリーンに登場する度、恐怖と共になぜか笑いと懐かしさがこみあげてくるのです。そう、もう45年。このモンスターと出会ったのは私が野球に打ち込んだ青春真っ只中の17歳。長い付き合いです。プレデターとのコラボも入れるともう10作くらいでしょうか。今回はキャストも一新、ほとんど無名の若者たちをキャストに並べ、時系列で言えば記念すべき第一作目の「エイリアン」と今を時めくジェームズキャメロンがメガホンを撮った第二作目の「エイリアン2」の間に起こった出来事が「エイリアン:ロムルス」として公開されています。「エイリアン」の生みの親、リドリースコットは制作に回りました。宇宙と言う巨大な密室、情け容赦ない凶暴なモンスター。最後に立っているのはやっぱり女性なんやねぇ。
宇宙空間を漂う破壊されたノストロモ号から探査機が何かを回収し宇宙ステーションへ帰還する...。
地球からあふれた人々は他の星の植民地へ移住する未来。ジャクソン星もそんな星の一つだった。だがそこには移住してきた下層階級の人々は毎日が契約に縛られた重労働の日々。そこで暮らす若者たちには夢も希望も見いだせなかった。レインもそんな一人、彼女は3ヵ月前に両親と死別しアンドロイドのアンディと共に彼を弟と称して採掘現場の重労働に勤務していた。そんな彼女が友人のタイラーから仕事の誘いをかけられた。「ジャクソン星の近くを浮遊する廃墟となった宇宙ステーション見つけた。そこから他の星へ行くための人工冬眠ポッドや貴重な燃料、設備等を頂戴しよう」と言うのだ。宇宙ステーションはウェイランド・ユタニ社の開発したものでセキュリティー解除にはウェイランド・ユタニ社のアンドロイトであるアンディが必要だったのだ。レインは希望があると言う植民地惑星ユヴァーカ星への移動を希望していたが、盗みを働くと言うことと何よりもアンディを利用されると言うことにためらいを感じていた。しかし従順なアンディはそれがレインのためになるならと喜んで引き受けた。メンバーはタイラーと彼女の妹ケイ、ビヨンと彼の恋人ナヴァロ、そしてレインとアンディ。5人と一体は宇宙船に乗込み、廃墟となった宇宙ステーションへ向かう。
チームは決して順風満帆ではなかった。ケイは身ごもっていたが誰の子かわからない。ビヨンは異常にアンドロイドを嫌っており常にアンディに悪態をつく。レインの不安を他所に宇宙船はステーションにたどり着く。タイラー、ビヨン、アンディが宇宙船に乗込む。アンディの認証装置で船内のハッチが次々と開けられていく。船内はロムルス、レムスの二つの区域に分かれ、船内の研究室のモニターには低温室で冷凍保存された奇妙な生物の標本が映っていた。そして引き裂かれたアンドロイドの半身が一体...。彼らが冷凍睡眠ポッドを積込み、冷却燃料を持ち帰ろうと装置から引き抜いたとき冷凍中の生物が溶けだし徘徊し彼等に襲いかかってきた。レインとナヴァロは救助に向かおうとステーションに入った。だが次々とハッチが閉鎖されて行く。レインは引き裂かれたアンドロイドのチップをハッチの隙間からタイラーに手渡しアンディに移し替える。新たに備わった身体機能のおかげでハッチを開けて二人を助けることができたのだが生物の一体がハッチの隙間を通り抜け、ナヴァロに飛び掛かり彼女の顔にへばりつく。3人が必死で剝がそうとするのをアンディが止める。
「引き剝がそうとすれば余計に彼女の首が締まる。こいつが殺そうとしているとは思えない。」
新しいチップの機能でアンディはもはや従順な彼ではなく会社の利益優先のアンドロイドとなってしまっていた。
「助ける方法は?」
「私にはその知識はない。知っているのは...」と破壊されたアンドロイドを指さす。
半身のアンドロイドが再起動された。だが名をルークと名乗ったそのアンドロイドから発せられた言葉は...
「殺して早く楽にしてやれ」
恐怖の時間は始まったばかりなのだ。
基本的には第一作目の恐怖を形を変えて再現している感じ。だからこいつとこいつはまず殺されるやろな。とか、乗員の一人に妊娠している女の子がいた。最後、こうなるやろなと思ったらやっぱりでした。まあ一番興味あるけど観たくないもんです。それにやっぱり「最後は戦う女子」とこのシリーズ男は頼りにならんのだ。先が読めるのが難やけどけどそれでも無重力空間なんていう新しい試みが適度に入っていてなかなかよくできたSFホラーでしたよ。
自分はこの〝エイリアン〟シリーズは基本的にはSFと言うジャンルを借りた女性映画だと思っています。リドリースコット監督の名声を世に知らしめたと同時にシガニーウィーバーと言う無名の女優をハリウッドのトップ女優にのし上げました。記念すべき第一作で女性でしかも二等航海士と言う一番序列の低い彼女が最後まで生き残り大宇宙と言う巨大な暗黒の密室で何度も悲鳴を上げたい衝動に駆られながらも必死でそれを押さえて腕力もない、大した武器のエキスパートでもない、そんな戦う術のない中、できる限りの知力と勇気を絞り出し映画史上、最強とも言うべきヴィランに立ち向かう。そんな構図が怖いもの見たさのグロテスクな容姿のエイリアンとともにこのシリーズを盛り上げるのだと思います。キャメロン監督が撮った第二作「エイリアン2」では原題〝ALIENS〟が示すように団体様でお目見えです。一作目で一名を除く宇宙船の乗組員がたった一体のエイリアンのためにたちまちのうち全滅させられます。そんな凶暴なモンスターが団体様でお越しです。ただ今回は人間側も装備は万端。超強力な武器を揃え今のアメリカ海軍特殊部隊SEALsをモチーフにしたであろう「宇宙海兵隊」と言う猛者たちを引き連れていきます。「今度は戦争だ!」の謳い文句が示す通り、ホラーと言うよりもアクション色の強い作品でしたが自分は好きでしたね。しかもエイリアンたちの頂点に立つエイリアンクイーンと言うのが登場。せっせと卵を産み付けるわけです。他のエイリアンよりも数倍デカイ。今回もやっばり最後まで生き残ったシガニーウィーバーが「女対女」の一騎打ちを見せます。「宇宙海兵隊」の猛者たちは一名が瀕死の重傷、あとは全員戦死です。そんな女性映画の系譜が脈々とこの作品まで引き継がれている。今回もまだ日本では無名の女優さんがシガニーウィーバーの後を継ぐがごとく大活躍します。原点に戻ったようなそんな気がしました。good👍です!
ちなみに前述したA君ですが顔の後ろはエイリアンでしたが前はウルトラマンにそっくり。体育の時間に鉄棒に飛びつく度にみんなから「シュワッチ!」という掛け声が飛びます!ほんま宇宙人に縁のあるやっちゃなぁ。バカバカしくも楽しい高校時代がどうしてもホラー感覚をやわらげてしまいます。いかんなぁ~
しかしこんなん読んだら怒るやろなぁ(笑)