正月が終わり、新春第2弾として公開される映画の方が年末年始のお正月映画より内容が濃い、良質な作品が多いと言うことが多々あります。正月映画って言うのはノー天気で派手目の作品が多いわけですが、その後で公開される作品は映画ファンがじっくり観れる玄人向けの作品が多いわけです。3月に本場ハリウッドではアカデミー賞が開催されるわけでそれを狙っての作品も多く公開されるんやな。邦画でも日本アカデミー賞が行われますが、まあそれを狙ってのわけやないと思うんやけど今年はこの作品、去年の年明けくらいから宣伝してましたね...自分も結構楽しみにしてました「室町無頼」。
原作・垣根涼介の混沌とした室町時代、応仁の乱前夜を描いた、時代劇スペクタルと言っていいでしょうね。正直、主演のこの人はあんまり好きやないんやけど...。
飢饉と疫病で民はどん底の苦しみにあえぎ、尚も政を司る者たちは民たちに重税を課し遊興三昧の日々を送る。そんな時代に颯爽と現れた一人の男、蓮田兵衛。この時代、一揆の首魁として最も早くに知られた人物です。武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と続く英雄たちが群雄割拠した戦国時代。彼らが歴史の表舞台に登場する80年も前のヒーロー。今、必死に原作読んでます。しかし飢饉と疫病で苦しむ民に尚且つ重税を課すて...どっかの国の今の時代に似てへん?
1461年 応仁の乱前夜の京。長年の飢饉に加え疫病がこの国を襲う。無数の骸が至る所に転がっていた。だが貨幣経済が進み稼ぎのない者たちは生臭坊主らが営む高利貸しから金を借り、返せない者たちには重労働が課され、妻や娘を売りに出さねばならない。無能な時の権力者たちは遊興三昧の日々を送り、不作が続けば尚も民に税を課すと言う、まさにこの世の地獄の暗黒時代であった。
高利貸しの手先となり同行していた浮浪児同然の才蔵はまだ未熟だが六尺棒を振り回す、その腕を見込まれ用心棒として雇われていたが心優しき若者には務まらなかった。ある日、その高利貸しの土倉に賊が押し入った。坊主たちはたちまちのうちに切り捨てられ、なぜか才蔵だけが首魁らしき男に連れていかれた。首魁の名は骨皮道賢。驚くことに賊と思われた彼らは幕府お抱えの京の治安維持部隊である。道賢は部隊を取り仕切る隊長だった。見どころがあると思い才蔵を連れ帰った道賢であったが才蔵を持て余してしまい、一人の男に預けることにする。男の名は蓮田兵衛。道賢は同時に地方の一揆を鎮めるよう兵衛に依頼。兵衛に連れられた才蔵は琵琶湖のほとりにある小さな村、今津にいる老人に預けられる。そこで才蔵は一年間、徹底的に棒術を仕込まれる。
一方、兵衛は一年間、方々の一揆が起こりそうな村々の民を鎮める。「今は待て、時が来れば必ず」
道賢の依頼で村々の一揆を鎮めていた兵衛であったが、その実、京に攻め上る戦を起こすため仲間を増やしていたのである。一年間、機は熟しその時が来た。棒術にかけては右に出る者がいなくなった才蔵を始め、弓の名手の朝鮮娘、怪力無双の棍棒男、居合抜きの達人ら、膨れ上がった一揆の仲間を束ね、兵衛は京に攻め上がる。迎え撃つは骨皮道賢率いる幕府の治安維持部隊、京の町に炎が上がった!
足利尊氏が開いた室町幕府。できた当初から南北朝時代を始め、元々この幕府は足元がぐらぐらやったんですな。これが250年、庶民はたまらんですよ。日本人は我慢強い!立派な民族です。
この物語の主人公、蓮田兵衛も骨皮道賢も実在の人物です。二人とも首を跳ねられています。なんとも空しい時代です。
大泉洋が私自身好きでないのはあのおちゃらけたイメージがあるから...これで時代劇の英雄て言われてもねぇ。原作読めばどこか飄々としたイメージでつかみどころのない男...やっぱりここにたどり着くんかな。ここらへん日本映画界の人材不足やないですか。今は「らしさ」を持った時代劇役者は皆無ですよ。名のある人はCMもバラエティもいっぱい出てるからね。ハリウッドの役者さんはCMもバラエティでMCもしませんよ。だから観る側も演じる人に感情移入できるんちゃいますか?堤真一の骨皮道賢だって原作とは似ても似つかぬキャラクターです。でもこういう作品で相手役探すなら彼かなぁーってなるんですよね。昔なら蓮田兵衛は緒形拳さん、渡瀬恒彦さんと色々出てくるんやけどなぁ。今の名前の知らん若い役者さんなんてみんなかつらが似合わへんもん。大河観てるけど横浜流星くんなんて時代劇のかつらが全然締まらへんもん。時代劇ファンとしては寂しい限りです。
それでも本作はそれはそれでなかなか面白かったですわ。室町時代なんてなかなか覗かれへんもんね。
それにしても飢饉を物価高、円安に置き換えると、疫病に重税とまあ今の時代に生き写し。北村一輝が「民からまた税をとればよい」と宣う姿は宮澤洋一なら足利義政は石破茂か...。おんなじアホでも品がないわな。将軍様はさすがに「迎え舌」はせえへんもんな。こいつらこの映画観るんやろか?おいおい君ら寝てたら枕もとで聞こえへんか?民の一揆の足音が...。目が覚めたら家の周りが松明で一杯なってたりして。