BAD GENIUS/バッド・ジーニアス | kazuのブログ

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たまーに、「あぁ、今日は観に行くものがない。だいたい観に行ってしもうたからなー」と言う日に「まあええか、ようわからんけど今日はこれにしとこ」とあまり期待しないで観に行った作品が大当たり!って時があります。今回は大当たりまでとは行かないまでも「なかなか、面白いやないか」って作品「BAD GENIUS/バッド・ジーニアス」。

なかなか面白かったです、けどどっかで観たなあって思ってたら、7年ほど前、タイで作られた映画のリメイク。思い出してみようと思ったら無数にある、観終わった映画の資料を掘り返さなければいけない。「なんや偉そうに映画を語って覚えてへんのか」と言われそうですがとにかく今まで観た本数は果てしなくあります。15歳ころから本格的に観だしているわけやから足掛け47年、2,000は超えるやろな。まあ、全部は覚えてまへん。名作、秀作もあれば駄作、凡作もあり、心に1ミリも残ってない作品もあります。思い出すほどやからなかなかええ作品やったんやったろなと思います。BAD GENIUS=悪い天才。カンニングで一儲けしようと考えた天才少女がヒロインです。クライムストーリーの様相を持ちながら、実はアメリカの入試システムの問題、金持ちのコネ、裏口入学、才能を持て余す貧困層の少年少女、果ては移民問題まで含んだ複雑な作品。今、日本でも声高に叫ばれる移民問題も考えさせられるなかなかの秀作だと思いますがいかがでしょう?

 

貧困層の父子家庭で育った中国移民の女子高生リンは頭脳明晰、学年トップの成績でシアトルの名門高校に特待生として転校してきた。彼女の希望はニューヨークのジュリアード音楽院の入学。だが父の思いはMIT(マサチューセッツ工科大学)への進学、母を亡くしたあと男で一つで育ててくれた父との希望の違いに思い悩んでいる。

リンは入学早々、グレースと言う友達が出来たが彼女の成績は落第スレスレ。次回の試験結果が悪ければ進級も難しい。グレースはリンに勉強を教えてほしいと頼むが今からでは間に合わない。そこでリンが思いついたのはカンニング、リンの巧みな方法で答えをグレースに伝授、おかげでグレースは見事な好成績を収める。このリンの頭脳に目をつけたのがグレースの恋人パットだった。彼は富裕層の弁護士の息子で金とコネでこの高校に入学してきた学生である。彼は学校の劣等生たち相手にカンニングビジネスで儲けることを思いつく。リンは父に少しでも楽をして貰おうとパットの計画に乗る。パットは次の試験までに成績の悪い学生30名を集める。リンは奇想天外なカンニング方法を考え出し、見事に劣等生たちに好成績を収めさせた。だが、このことを密告した者がいた。リンと同様に学年トップの成績を持つバンクである。彼もまた貧困層の学生でナイジェリア移民の少年である。母のレストランの手伝いをしながら学校に通っている。カンニングがばれリンは特待生の待遇を剥奪されてしまう。

だがリンは大学進学のための全国試験SATに目をつけた。テストはシアトルとフィラデルフィアで行われる。シアトルとフィラデルフィアはの時差は3時間。その時差を利用してフィラデルフィアで受けた試験の答案をシアトルに伝達しようと言うのだ。そしてこの計画に仲間として引き込んだのはなんとバンクだった。それは全米を揺るがす一大事となった。

 

一見するとコメディになってしまいそうな作品だけど(昔あったなあ、「ザ・カンニング」ってフランス映画。あの手この手のカンニング方法、なかなか笑いました。完全コメディです)、物語の内容は様々な要素が含まれています。アメリカの大学って言うのは各校の入学試験て言うのはないそう、全部書類選考。その書類の中で一番重要なものとなるのがいわゆる全国試験であるこの映画に出てくるSATやACTって言う組織の試験。まあ、非常にチェックが厳しくカンニングは不可能とされているそうです。この物語にはリンやバンクと言った貧困層の苦学生が目に見えない壁に阻まれている一方、グレースやパットと言った親のすねかじりのボンクラ学生がろくに努力もしないで学校生活をのうのうと過ごしていると言う不条理。日本人に観てほしいのはここ。リンの母親は不法就労のためろくに病院で診てもらうことも出来ずに亡くなりました。そのため父親は働いて働いてリンを男手一つで育てました。バンクに至っては不法移民です。観客が可哀そう、なんとかしてやりたいと思ってもそれはできないこと、法は法なんです。アメリカ生まれのアメリカ育ちであるアメリカ国籍のグレースやパットとは違います。どの国もそう、日本だけです、移民を奨励し外国人を日本人と同等、もしくは移民や留学生を優遇しようとする国は。この作品を観て「ほら、移民はかわいそうやないか、もっと大事にしたらんかい」と言う奴はホンマのアホ、この映画、リンやバンクが「優遇」を勝ち取るように作ってますか?2人とも置かれた状況の中で努力してるんです。まあ、努力の仕方、頭の使い方が間違っとりますが...。ちょっと前に「ウイ、シェフ」ってフランス映画がありました。元一流シェフが移民の子供たちに料理を教える話なんですが、この作品でも18歳で技能試験をパスすることができなかった少年がフランスの法律で強制送還されるシーンがありました。それだけ他国で生活すると言うことは厳しいんですよ、どこでも。

「留学生は国の宝」なんてほざいた、なんとかメガネの総理大臣がいましたがとんでもない話。もちろん、ボンクラ学生を手厚く優遇する必要はありませんが優秀な自国民を育てるのが優先。あくまでも他国民はその後です。日本と違ってアメリカは移民国家。そのアメリカでさえこの厳しさがあります。日本は建国2,600年を誇る大和民族の国家です。勿論、在日の方や移民の方を差別するつもりは毛頭ありませんが日本独自の習慣やルールにならい溶け込んで頂ける方、国益となる方のみ受け入れたいですね。

まあ、全然違う方向に話が飛んでしまいましたが、本作を観たのは参議院選挙当日。この選挙の焦点の一つに「外国人問題」がありました。当日にこの作品を観たのは有益でした。「日本人ファースト」なんもまちがっとらんがな。