HERE 時を超えて | kazuのブログ

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監督ロバート・ゼメキス、主演トム・ハンクス、ロビン・ライトとくれば、あの「フォレスト・ガンプ一期一会」(ただ、自分にとってのロバー・ゼメキス最高傑作はやっぱり『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)のトリオです。この3人が、場所と時の流れをテーマに全く新しい映画を撮りました。「HERE 時を超えて」はただ、ただカメラは一点の場所だけをとらえ、そのカメラの中で時間だけが通り過ぎていきます。〝HERE〟ここ、この場所だけをラストまでカメラは撮り続けます。長い年月の中、喜びも悲しみも「この場所」は何も言わず、通り過ぎていく人々を見つめ続ける。それだけで2時間のドラマが完成するんですね。やっぱり傑作、心に残る作品を観ている者に提供する監督は何か違います。

地球が誕生し、恐竜たちが闊歩する「その場所」はやがて火山が爆発し溶岩に覆われ、そして氷河期を迎える。長い年月が流れ、そこには緑が芽生え、木々が生い茂り、花が咲く。やがて人類が登場し、男と女が出会い子孫が繁栄していく。やがてその土地は幾多の戦乱を経て独立国家の一部となる。そして開拓者たちの手によって初めてその地に「家」が建てられる。

2度の世界大戦中、この家に入居したのは飛行機好きのジョンとポーリーンの夫婦。まだ物珍しい飛行機に夢中になるジョンにポーリーンは心配で仕方がない。やがて2人の間には女の子が誕生するがジョンが病気で他界、ポーリーンと娘はその家を去って行く。その後に入ってきたレオとステラは個性的で発明好きな夫婦。約20年の暮らしの後、ある成功を経て新世界を求め旅立っていく。そして大戦の終了後、この家にやって来たのが負傷して帰還した元軍人のアルと妻のローズ。2人の間に誕生した長男リチャードがこの物語の中心人物である。彼は画家志望であったが高校時代に知り合ったマーガレットと恋に落ちる。彼女は弁護士志望であったが妊娠が発覚。10代で2人は結婚することになりリチャードの両親とこの家で同居することになる。2人の間にはヴァネッサと言う娘が誕生。リチャードは画家の夢を捨て保険会社に就職する。ヴァネッサが小学校に上がる頃、マーガレットは自分たちの家を持ちたいと言い出すようになった。だが何かにつけてリチャードは理由を付けて拒み続ける。2人はわだかまりを持ちながらも時間は過ぎて行く。感謝祭、クリスマス、バースデイ...幸せな時間と共に家族との永遠の別れ。悲しみの時もまたやって来る...。

 

カメラは「そこ」から離れません。物語の中心はリチャードとマーガレットの夫婦ですが2人の時間を描きながらも時はオーバーラップします。まだ森林しかなかった時代にその地で暮らす原住民。そして新たに生まれた独立国で国家を建設していく過程。戦乱、世界大戦...入れ代わり、立ち代わり、その家にやって来る人々。中心はトム・ハンクスとロビン・ライトが扮するリチャードとマーガレットの夫婦。トム・ハンクス68歳、ロビン・ライト59歳、2人はティーンエージャーから老齢期までをリアルタイムで演じています。凄いですよね、現代の映像技術。CG画像って言うの?10代の頃の2人そのまま。いくら技術が凄かったって10代が飛んだり跳ねたりする姿は68歳と59歳には大変です。2人の演技力には感服します。そしてCG技術と言うのは何もSF映画やアクション映画、オカルト映画だけに使われるものではないと言うことを証明したと思います。こんな使い方もあるんやねぇ。

「そこ」は生命の誕生、死滅を見つめ、また新たな生命の誕生を見つめてきました。荒野に緑の息吹が芽生え、人類がその大地に立ち、生活し、死を迎える。それが何千年の間繰り返され、形を変え文明は進化し時には間違いを犯し、人々は現代に至っています。なんかうまくは言えないけど観終わった今、なんかノスタルジックに浸ってしまっている自分がいます。