フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン | kazuのブログ

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サラリーマン社長のムービートラベル

主演スカーレットヨハンソン、チャニングテータムの何ともお洒落でちょっとミステリーなコメディ風サスペンス。いまだに都市伝説のようにアメリカで、世界で語られるアポロ計画陰謀説。それを題材にユーモラスに風刺をこめて作られた作品「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」。なかなかくだけた、スカーレットヨハンソンを観るのも珍しい。1960年代後半、宇宙に夢を馳せ人類初の月面着陸にすべてを賭けた、実直な朝鮮戦争帰りの元空軍パイロットと広告業界の超やり手、口八丁手八丁の女社長とのロマンチックコメディです。自分が幼稚園か小学校に入った頃の時代。そう言えばテレビのニュースは日本の過激派連中と米ソ冷戦、ベトナム戦争、そしてアポロ11号の月面着陸。こればっかでしたね。現代でも名言集の一つにもなっているアームストロング船長が月面に降り立った時の「これは人間としては小さな一歩だが、人類としては大きな一歩だ」というセリフは今でもしょっちゅう耳にします。月面着陸フェイク説と言う都市伝説を織り込みながらシリアスなサスペンス作品でなくライトでなんとも大人のラブコメディ調になっているのがなんか買えます。

アメリカ大統領ジョージFケネディが提唱した宇宙プロジェクト「アポロ計画」はケネディ暗殺後、リチャードニクソンに引き継がれた。だが米ソの宇宙進出競争に関しては完全にソ連に出遅れを取っていた。ソ連では1961年、既に人類発の宇宙船の打ち上げに成功していた。アメリカにとって人類初の月面着陸は至上命令。遅れること8年「アポロ計画」の月面着陸の責任者、NASAのコールデイビスはいまだにテストの失敗と資金不足に頭を抱えていた。それに加えてベトナム戦争の激化により国民のあいだでも「アポロ計画」に関して疑問視する声が聞こえてくる。政治家たちの中には打ち切りを訴える者たちもいる。そんな国民や政治家たちの目を再び「アポロ計画」に向けようと謎の政府関係者モーバークスはPRマーケティングのやり手女社長ケリーバークスを雇う。

ケリーは早速、宣伝計画にコールの協力を申し入れるがあっさりと断られる。だが彼女は無断で無名の役者たちを雇い入れコールや彼のスタッフたちの名前で勝手にテレビインタビユーを受けさせたり、宇宙飛行士たちに有名ブランド品を身につけさせたり、大々的にCM放映をおこなったりと次々と宣伝広告を繰り広げた。思うがままに振舞うケリーにコールは激怒したが彼女のおかげで提携を結んだ大企業からの融資で資金は潤うようになり、何よりケリーの交友関係の広さでアポロ計画に反対の議員たちを切り崩していく。ここに至ってコールはケリーの手腕を認めぬわけにはいかなかった。国民たちの目は再び「アポロ計画」に向いていった。

アポロ11号の打ち上げが近づいたある日、モーが驚愕すべきことをケリーに依頼する。

「スタジオでフェイクの月面着陸を撮影してくれ...。」

 

その昔、自分が中学生か高校生に上がった頃、「カプリコン1」て映画がありました。だからもう50年近く前かな?この作品同様に陰謀論を描いた作品。三人の宇宙飛行士が打ち上げ直前に政府関係者に拉致され監禁されます。発射直前に宇宙船に不備が見つかって世間にそれを隠ぺいしようとしたわけです。飛行士たちは真実を国民に知らせようと脱出するんですが一人また一人と消されて行く...。この作品と違って全編、スリルとサスペンスの政府の闇を描いた作品なんですね。思えばこの頃から陰謀説は付きまとっていたわけです。当初、NASAが全面協力したわけですが作品の内容がわかるにつけ拒否反応を見せたそうです。そりゃそうやわ。飛行士の動きがおかしいとか、この画像がへんやとか。真実か人類の夢か..うーん、どっちなんやろね。

ちなみにこの作品はエリオットグールドやジェームズブローリン、サムウォーターストーン、カレンブラック、それにテリーサバラス(刑事コジャック!これ知ってる人はなかなかのお年) なんかが出演していて結構な大作です。そうそう、あのOJシンプソンも宇宙飛行士の一人として出演しております。この頃はNFLのスーパースターから俳優に華麗に転身した黒人アクターとしてこの頃、結構いろんな作品に出演していたんやけどね。「タワーリングインフェルノ」「カサンドラクロス』「裸の銃を持つ男」等、結構、超大作、話題作と出演作品にも恵まれとった。脇役ばっかりやけどね。この時はまだよもやあんな稀代の大事件を起こすとは思わなんだ。誠実な役柄が多かっただけにねぇ。人はわからんもんやわ。

ダークな作品でなく、コメディタッチでさらりと描いているのが好感持てました。黒猫がNASAの研究所内を走り回り「不吉なもの」とされるのは東西を問わず皆一緒なんですね。フェイク動画を作るスタジオでラストに混乱を招きぜーんぶ台無しにしてしまうのには笑ってしまいました。しかし、月面着陸の陰謀説、ほんまどっちなんやろ?